Factors affecting foot posture in young adults: a cross sectional study

若年成人の足の構造に影響を与える要因:横断的研究


今回は、サウジアラビアのPT、Fayaz R.Khan.らの報告で若年成人の足の構造に影響を与える要因についてご紹介します。

Abstract


 目的:年齢、BMI、柔軟性は足の姿勢に影響を与える要因であり、若年成人ではあまり理解されていない。本研究の目的は、これらの要因間の関係を明らかにすることである。方法:健常者252足(男性106足、女性146足)、18~25歳で選択した。BMIとFoot Posture Index-6 item version(FPI-6)※を評価し、Beightonスコア(全身関節弛緩性のテスト)、ランジテストを被検者それぞれに行った。結果:回内足(FPI-6スコアで6+)はBeightonスコアと軽度の正の相関関係であり、BMIと軽度の負の相関関節にあった。女性(81.75%)の有病率は男性(18.75%)より回内足が高かった。結論:靭帯の弛緩と足の回内の間には緩やかな関係があり、女性は男性よりも回内足になりやすい傾向がある。体重と回内足の間に相関関係は認められなかった。
 
※Foot Posture Index-6 item version(FPI-6)については、MEDICAL VIEW社の足部・足関節理学療法マネジメントのP119 ~121に記載があります。是非、ご参照ください。
 
キーワード: Beighton スコア、BMI、足の姿勢、足の回内、扁平足

Introduction


 運動やスポーツは健康と幸福にとって重要である。活動をしないと、壊滅的な結果が生じる可能性がある。しかし、積極的な活動は個人の生活の質に大きな影響を与える様々な怪我を引き起こす可能性もある。内側縦アーチが高いか低いかの足の形態は下肢に影響を与え、怪我の原因となる可能性がある。足の回内は、腰痛、変形性関節疾患、外反母趾、一般的な下肢痛 、膝蓋腱炎、足部の痛みの一因となる可能性がある。
回外足は、足首の捻挫や腸脛靱帯症候群と正の相関関係がある。したがって、足の形態に影響を与える要因を理解することは、怪我の危険因子の臨床評価と検出に役立つ可能性がある。BMI、関節の柔軟性、靱帯の弛緩、年齢は足の姿勢に影響を与える可能性のある要因ですが、この分野についてはさらなる研究が必要である。
 Foot Posture Index-6 (FPI-6)は、静的な足の姿勢を正常、回外、または回内に分類する信頼できる評価方法である。FPI-6 と足の形態に影響を与える要因との関係について報告した論文の対象者は、成長や形態学的特徴が大人と異なる子どもが大半である。このことより、この研究の目的は、若年成人被験者の足の形態指数、BMI、年齢、および(足首および全身の)柔軟性の間の関係を発見することである。

Results


 この研究には、18歳から25歳までの252名の被験者(女性146名、男性106名)が集められた。全体的な結果は、下表をご参照ください。

Demographic characteristics and test scores.
FRI-6のスコアが6+以上の被験者について、FPI-6とBeighton スコアの間に有意な弱い正の相関関係があった。FPI-6とBMIの間に有意な弱い負の相関関係があった。FPI-6と年齢の間、FPI-6とランジテストの間に相関関係はなかった。

Discussion


足の姿勢と性別
Hagedornらは、成人の圧力中心偏位指数(CPEI)を測定し、女性は男性よりもCPEIが低い(足の回内が多い)と報告している。女性が扁平足の有病率が高い理由として、特に若い女性はハイヒールを履いている機会が多い。関節の可動性の増加は、足の回内と関連があることが示されている。これは、全身の過可動性が足の回内に関連しているというFayaz R.Khan.らの発見と一致している。靱帯の弛緩も足の回内と関連している。米国での調査結果ではその研究では、男性は女性よりも扁平足の頻度が高いと報告され、Fayaz R.Khan.らの調査と異なる結果となった。対照的に、Redmondらは、性別がFPI-6と相関しないことを報告した。しかし、これはその研究における被験者の選択によるものである可能性があり、その報告は3歳から96歳までの被験者の測定値を含むオンラインデータベースから収集されたものである。Rodríguez らの報告は Redmond らの発見と類似しており、その研究には幅広い年齢層 (18 ~ 65 歳) の被験者も含まれていた。
足の姿勢とBMI
 SHIBUYA ら.Hagedornら.Hawke ら.は、 BMI は足の姿勢と関係がないことに同意している。現在の研究では、BMIの増加は足の回内運動の可能性を増加しなかった。これらの変数間に負の相関があることが報告されている。しかし、自己申告データを使用した別の研究では、BMIは扁平足と直接関係していたと報告もある。接触足底圧は肥満に伴って増加するが、足底分布の割合と圧力中心の位置は正常な BMI の場合と同様であった。足の脂肪組織の増加は、扁平足と錯覚を引き起こす可能性がある。

感想


 回内足は女性の方が多いだろうなっと考えていたが、実際に研究している論文で確認することができて勉強になった。議論の中で、他の研究が紹介されており、これらの報告も興味深いと感じた。年齢など条件によって結果、結論も大きく変わってくるなとも感じました。
  足部は千差万別。性別や環境、職歴などが大きく作用すると思います。
 現在、インソールについて絶賛勉強中の身ですが、最初から頭ででっかちにならず、結果は結果としてしっかり受け止め、よりよい介入を提供できるように頑張っていきます。

次回

10月18日(水)
『外脛骨障害に対する保存療法』について報告します。

報告者:小林博樹

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