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版のおはなし ①

清澄白河にある製版会社の特殊阿部製版所です。
今日は『 版 』についてお話したいと思います。

弊社は社名に『 製版所 』という単語が入っているとおり、
印刷するために必要な『 版 』をつくっている会社になります。
※弊社は 紙以外への印刷用 の製版に特化した会社です。

――     紙以外への印刷とは? ――
● 化粧品関係(シャンプーのボトル、アイシャドウやリップケースなど)
● チューブ(ハンドクリームや歯磨き粉など)
● 食品パッケージ(ゼリー飲料、ヨーグルト、アイスのカップなど)
● その他(電卓のボタン、ボールペンのクリップ部分のロゴ…など)

曲面への加飾を得意としており、さまざまな商品の版作成実績があります。
おそらくみなさまも弊社の版を用いて印刷された商品を、
一度は手に取ったことがあるのではないかと思います。


印刷用の『 版 』をつくることを『 製版 』といい、
つくられた『 版 』のことを『 刷版(さっぱん)』といいます。

でも、そもそも〔  印刷するための『 版 』  〕とは何でしょうか?
印刷って、データを読み込んで、業務用の大きなプリンターで印刷する、
そんなイメージがありませんか?

実は『 印刷 』にはさまざまな手法があります。
ざっくり分けてしまうと2種類になり、
版が不要な印刷と、版が必要な印刷です。

■ 無版印刷

〔  特徴  〕
  ● 版が不要
  ● 短納期が可能
  ● 小ロット多品種向け
  ● 無駄な紙や溶剤を減らせる
     ※試し刷りや、刷版時の廃棄溶剤などが発生しない

〔  デメリット  〕 
  ● ロット数が多くなるとコスト高
  ● 印刷するモノによってはズレが生じたり、デザインを表現できない可能性

■ 有版印刷

〔  特徴  〕
  ● 版が必要
  ● ロット数が多くなるほど安価
  ● 仕上がりが綺麗な傾向
  ● 無版ではむずかしい印刷への対応が可能

〔  デメリット  〕 
  ● 版代がかかる
  ● 版作成工程プラスされるため、納期が長くなる可能性
  ● 小ロットだとコストが高くなる
  ● 製版後はデザインの変更ができない

さらに細かく印刷方法を細分化すると、以下のようになります。

最初の入口は版があるかないかの2つです。


版があると、版代のコストもかかりますが、
版作成の工程も増えるので、その分、納期が延びます。
また、デザイン内容を変更するたびに、新しく版をつくる必要があります。
無版印刷ならば、版がないので一部文字を変えたいと思ったら、
データ修正だけですみます。


ここまで見ると個人で小ロット発注なら無版一択では?と思いませんか?
しかし有版も無版もそれぞれメリット、デメリットがあり、
また、印刷方法によって各々得意な印刷表現があります。


たとえば「紙の名刺」は有版でも無版でも印刷できます。
無版ですと安く、短納期で発注することが可能ですが、
複雑なデザインやグラデーションの再現を行う場合は、
ベタ(塗りつぶし)部分にムラが出る場合があり、
有版印刷の方が適していたりします。
(といっても最近は「デジタルオフセット印刷」というデジタル(無版)なのに、有版並みに綺麗な印刷表現が可能な方法があるそうです…!)


どんな材質のモノに?
どんなデザインを?
どんな風に?
どれくらい印刷したい?
その内容によって最適な印刷方法は変わってきます。


印刷を発注できるサービスはたくさんあって、
データをアップロードすればボタンひとつで印刷が頼めるという
とても便利な世の中になりました。


ですが、たくさんある印刷方法の中から、最適な方法を選ぶのは、
なかなかむずかしいのではないかと思います。
はじめてデザインをカタチにしようと思ったのならなおさらです。


弊社ではお客さまが求めるものに応じて、
最適な印刷方法をご提案させていただきます。
また、素材の持ち込みもOKですし、1個から印刷できます。


他社さまでお断りされた案件であっても、
ぜひ、一度お話をお聞かせいただければ幸いです。

https://tokuabe-print.com/contact/


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