うつ病は心の風邪か?
心の風邪という表現は誤解を招く
今回、「うつ病は心の風邪」なのか。ということについて考えてみたいと思います。
誰が、この言葉を考えだして、使いだしたかは分かりませんが、この言葉には功罪両方があると思います。
確かに、うつ病を世間に認知症させることに、この言葉がある程度の役目を果たしたことは評価されるべきだとは思います。
それに、うつ病の初期に医師が患者に対して「うつは心の風邪だから心配する必要はありませんよ」と言うことによって患者の不安を軽減する。そんな役割は果たせているとは思います。
しかし、この言葉により「うつ病」が間違って理解されている場合も結構、多いのです。
確かに、誰でも罹る可能性があるという点では風邪に例えられるのかもしれませんが、この言葉は大きな誤解を生んでしまいます。
「うつが心の風邪」なら、風邪を引いたくらいで仕事を休めるでしょうか?それもある程度長期に・・・。
せっかく、仕事を頑張って、頑張って、頑張り抜いて、その結果「うつ病」になって休養を余儀なくされたのに
「アイツは風邪くらいで長期に休んでいる」なんて思われているとしたら、ゆっくりと休養している気にもなれません。
私も、うつ病で休職と復職を繰り返した経験があるのですが、職場の人間の理解不足から辛く、苦しい思いをしたことがあります。
休職から復職をすると、必ずと言っていい程こんな質問をされました。
「うつ病ってどんな感じなの?」「うつ病って風邪と同じなんでしょう?何でそんなに長く休むの?」
これだけならまだしも「うつ病って結局、甘えてるんじゃない?」と言われた時には、愕然としました・・・。
仕事を頑張って、先輩からのパワハラにも耐えて、耐えきれずに、うつ病を発症したのに「甘え」と言われてしまうのです。
いかに、うつ病が世間一般にちゃんと理解されていないかの証拠だと思います。
いったい、風邪で自殺を考える人がいるでしょうか?
リストカットを繰り返す人がいるでしょうか?
私はリストカットの後遺症で左手の親指の違和感が今だに消えません。
身から出た錆だからしかたないのですが、こんなに苦しんだのに「心の風邪」のひと言で済まされてしまうのはどうしても納得できません。
確かに風邪もこじらせれば、肺炎になる可能性もあり、肺炎で生命を落とす可能性もあるので、その点では風邪と表現できるのかもしれませんが・・・。
私に言わせれば「うつは心の骨折」あるいは「うつは心のがん」だと思う思います。
「うつ」により心は確実に折れますから、その点では骨折です。
また、早期発見できれば、治癒率も高くなるが、発見が遅れれば死の可能性が高くなる点では「がん」と同じだと思うのです。
うつ病で入院をした時に、同室の方が、「手術して治るものなら手術をしてもらいたい」と言っていましたが
私もまったく同感でした。体の中の何か悪い物を取り除いてしまえば良くなるのなら、どんなに良いか・・・。
言いようのない不安感・焦燥感・恐怖感のうつ病3点セットに毎日、苛まれながら、そう思っていました。
うつ病も症状の重い時には、つねに身近に死を意識しています。希死念慮に負けそうになる時がしばしばあります。
「うつ」は「がん」と同じように、一生付き合っていかなければならない可能性もあるのです。
「うつ」は脳内のセロトニンが欠乏することで起きると言われています。
だったら、心の病と言うよりも脳の病気ですよね。
高校の同級生で、仕事のミスが原因で「うつ病」になった人がいます。
彼が、「俺、脳ミソがうつになっちゃった・・・」と表現していましたが、まさにその通りですよね。
心の病と言うと、精神的に弱いと思われる方もいるかもしれませんが、「うつ」になる人は人一倍、精神的には強いのだそうです。
強いが故に頑張り過ぎてしまう・・・。弱ければ、途中で投げ出すことも、強いから投げ出さずにやり抜こうとする。
それが自分を苦しめることと分かっていても、責任感から投げ出すことことができない。
私の主治医からはそう聞きました。
「うつ」の原因は科学的にはセロトニンの欠乏なのでしょうが、私は、責任感の強さによる頑張り過ぎだと思っています。
周りの責任を一人で背負い込んで頑張り過ぎてしまう。
私は、うつ病になって自殺未遂を経験しました。
私の先輩は、背負わなくても良い責任を一人で背負い込み、その結果、自殺してしまいました。
私は、一人の元上司と二人の先輩職員を自殺で亡くしています。いずれも、仕事が現在です。
だからこそ、「心の風邪」などと言う安易な言葉で表現して欲しくはないのです。
もっと、うつ病等の精神疾患が世間一般に正確に理解されるようになってもらいたいものです。
そのためになら、私が出来ることは、すべて行って行きたいと思っています。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回以降も、うつ病について書いて行きたいと思います。これからもお読み頂ければ幸いです。
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