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自社商品を作ってみたものの:失敗事例

当時10年以上前になりますが、燕三条地場産業振興センターの教育プログラムで、自社商品の開発を行うというものがありました。10名弱の人が参加し、それぞれの企業に適した商品開発案を出し合いました。
薄型の金属製のプランターを作って、パーティションや壁面埋め込み式のプランターでした。タイミングよくNICO(にいがた産業創造機構)で商品開発に対する補助金を募集していました。そこで、まだラフなアイデアだったのですが、金属板でモックアップを作成し、NICOの審査会でプレゼンを行いました。
商品開発のプレゼンは初めてのことで、分からないなりにも精一杯行いました。その結果、やはりモックアップがあってリアリティがあったためか、補助金が採択されることになりました。
そこで、補助金を使って商品開発を進めました。カタログ作成や展示会への出展、脱臭効果試験の実施、特許申請(結局2度申請しましたが通りませんでした)など、およそ半年間での突貫工事でした。
自社商品は完成し、地元の新聞にも紹介されました。が、肝心の売り先がありません。事前に植栽や建築の分野に取引先があるわけでもなく、おおまかな提案はできるものの、実際のニーズを把握した上での商品開発ではありませんでした。
そのため、商品開発もひと段落し、補助金も使い切ったところで休止状態となりました。

反省点としては
・具体的なユーザーが不在だったこと
・プロダクトデザイナーが商品開発に携わらなかったこと
・商品PRの内容・方向性が定まっていなかったこと

やはり、販路がない中での商品開発はリスクが高いと感じました。
どんな商品も、最初はユーザーが確定してない中で、売れるかどうかわからないというのが正直なところだと思います。ただし、特定の分野で一定の実績を出しているのであれば、一定の販売目標は建てられるでしょう。全く未知の分野への挑戦は、やはりリスクが高くなります。

プロダクトデザイナー不在で、ものづくりに携わるスタッフだけで商品開発すると、どうしても作りやすいものになりがちです。使い勝手やデザインや耐久性など、考慮すべき点は複数あるのですが、どうしても単調になりがちで、使う側の視点に立った商品開発がおろそかになりがちです。また、試作検証の場も必要で、試作品を作り、使ってみて良い点・悪い点を出し合い改善する。当たり前のことですが、時間もお金も必要になります。限られた時間で成果を出さなければいけない補助金事業は、資金面ではありがたいのですが、結果ありきで進めなければならないため、あいまいなアイデアのままでは結実しにくいと感じました。

商品PRの内容・方向性ですが、まず、ものを作ることとものを売ることは異なるということを確認しなければなりません。
どんなにものを作るのが上手でも、売り方が下手では商売として成り立ちません。
誰に売るのか?
いくらで売るのか?
どうやって売るのか?
どこで売るのか?
売り手には売り手なりの様々なノウハウがあります。そしてそのノウハウは一朝一夕には身につける事が出来ません。経験を積みながら身につける必要があります。

それらを持たずにやみくもに商品開発を行い、新商品ですと世に出しても結果が出ないのは明らかです。
そこで、それらの足りないノウハウを身につけるか、別の方法で解消していくか分かれてきます。
後になって理解したのですが、全て自前でやる必要はないのです。
強みを活かし、弱みを補完する。そのような取り組みが有効だと年を追うごとに気づくようになりました。
商品開発をしたい人・企業に対し、ものづくりの側からサポートする。そのような取り組みの中で、成果を出し、達成感を得る。結果的にはリスクも分散されますし、様々な商品開発プロジェクトへの参加も可能になりました。

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