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棚卸資産:燕三条の町工場の一例

会社の決算書には棚卸資産という項目があります。
トクニ工業では、主に2つの項目で計上しています。
原材料
仕掛品(半製品)

原材料は主に鉄板になります。
鉄・ステンレス・アルミ・チタンなどの材料になります。
常時ストックしているものと、特注オーダーした材料の残りなどです。
材料の在庫は、年間売り上げの約5パーセント程度になります。
材料単価にもよりますが、多くはステンレスの材料になります。
定尺板と呼ばれる材料をストックしているのですが、材料屋さんにあれば1日2日で入荷されるのですが、コイルの状態であったり在庫が切れていると納入までに時間がかかってしまいます。
そのため、常時使う定尺品は一定程度在庫しています。
他には端材の評価があります。製品をブランク加工し、残った材料の部分になります。同じ材料の指示でオーダーが入れば、その材料を使う事が出来ますから、端材を保有していることで、材料の節約にもなります。但し、端材をため込みすぎると、把握しきれなくなり、また、保管スペースも必要となるため、負荷が多くなりすぎないようにするのが肝要です。

仕掛品とは加工途中の製品になります。
精密板金加工の工程としては、
プログラム作成
   ↓
ブランク(展開形状に切断)
   ↓
曲げ
   ↓
溶接
   ↓
表面処理
   ↓
組立・梱包

といった具合に進んでいくのですが、案件ごとに必要な工程が変わってきます。そういった中で、各製品ごとに加工の進捗度合いに応じて仕掛品評価をしていきます。あまり細かくやりすぎても、棚卸評価をした翌日には加工が進んでいきますので、ほどほどに。

そもそも棚卸は、何故するのでしょうか?
決算書に棚卸資産を計上する必要があるため。
自社の棚卸資産を把握するため。

決算書に記載される棚卸資産は、期末の棚卸資産になります。会社を継続して経営していると、前期にも棚卸資産はあるわけで、前期と比較して棚卸資産が増えたか減ったかによって評価が変わってきます。
前期末棚卸資産に比べて期末棚卸資産が多いということは、棚卸資産が増えたことになります。棚卸資産は直接課税されるわけではありませんが、棚卸資産が増えることによって売上原価が少なくなり、利益が増加します。その結果、所得税法人税が増えることに繋がります。
対して、前期末棚卸資産に比べて期末棚卸資産が少ないということは、棚卸資産が減ったことになります。棚卸資産を圧縮することで節税をすることになります。
但し、一定程度の在庫、棚卸資産は必要になりますので、無理して圧縮するだけが正解ではありません。どのくらいが適正かは、各会社によって異なってくると思いますので、経営に支障のない程度に在庫管理するのが良いでしょう。

自社の棚卸資産を把握するメリットは損切にあります。
何年も仕掛在庫として登録している商品は、果たして売れる当てがあるのでしょうか?めどが立たない様であれば、廃棄処分し損金計上すべきです。決算期のタイミングもあるとは思いますが、売れる当てのない棚卸資産が増えていくのは、会社の現状を正確に把握できなくさせるリスクがあります。3年間、在庫としている商品があったとします。今後3年以内に売れる当てがありますか?ないのであれば、廃棄処分すべきです。
不要なものを処分することで、新たなスペースも生まれ、新たな挑戦へのモチベーションに繋がっていくかもしれません。


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