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短編 おさい銭がチャリンとなれば、アズ スーン アズ


 若い頃、ボクの親戚の人はアメリカに住んでいて、夢も英語で話していたのに、いまはまったく駄目と話していました。また商社マンの人も、あんなに英語を話していたのに、日本に戻ったらすっかり忘れちゃった、なんて話をよく聞きます。
でも若い頃習ったものは、子供の頃、よく泳いだことを思いだし、大人になっても多少泳ぐことができるように、いくぶん原住地に行っても思いだしてくるかもね。

寒いのを逃れて、先日ボクは、タイのバンコクに行ってまいりました。夜ともなれば、いっぱしの大人なので、欧米人が好きなバービア街にも行ってきました。ファランのみなさんが、お姉ちゃんたちと楽しく快談しております。
ファランとは、タイ語の一般的な単語で、ヨーロッパ系の人をいうらしい。

「シェィキラッベイビー shake it up baby 」
やあベイビー、腰振ってるかい、なんておなじみのセリフを、内気な日本人、言えるわけもなくつつましくビールを注文。しばらく、お姉ちゃんが相手をしてくれました。

そんなことはともかく
海外旅行が簡単に行けるようになっても、島国で育った日本人、仕事や生活用件がなければ、そうそう行ける機会がなく英語を話すこともありません。せっかく習った英語も読めるのに、あとは英語発音だけがネック。
そんな感じで、やっと旅先の英語に慣れてきたら、帰国するのが普通の人じゃないかな。帰ってしばらくは、ビアひとつと注文、余韻が残っているだけ。

それにしても 、店に入ったら、eat here、this one の簡単な言葉を必ずといって聞かれます。スターバックスや普通の店に入っても、ここで食べますか、持ち帰りですか。一つとわかっていても、ワンと念を押されます。だから最初から、eat here、this one と述べておりました。でもこの one は数字だけでなく、示すだけの one でもあるのかな。


 革命の要件

 おさい銭がチャリンとなれば、美しい言葉もグレイ度が上がるというもの

美しい愛の言葉を説く宗教でも、いつしかときが経ち、つかさどる者たちも片手間な公務員みたいなお仕事になって、口パクみたいな物言いになり惰性的になっても、御布施の方はかなりリッチで、結構いい生活をしていました

これではいかん、
そんなカトリックに反抗の狼煙を上げたプロテスタントだったのに、世の中の常、自然の道理で、一が二に、三が次に核分裂するのは仕方がなく、有力なカルヴァン派を交えて、血みどろな戦いが始まりました

でも
そこは大人の世界

どんなに長く続いた雨も永久に続くわけもなく、水をかき回し澱ませてもいつしか澄みきってきます

そんな感じでお互い妥協案を出し、国の王様が決めた宗教をご本尊にして、各自の信教の自由を認めました

なのになぜか国内ではいままで以上に宗教の取り締まりが厳しくなって、異端審問所が繁栄し、ほとんど妬みやジェラシーの密告で多くの無実の人が魔女狩りの血祭りにあげられました

火あぶり、熱いぞ

頭のてっぺんを剃ったカッパみたいな僧侶たちが、愛を知らないオカマのように残酷な処刑器具をあみ出し、サディスティックに嬉々としていとなんでいました

中世から拷問器具はこと欠かない、特に鉄の処女なるもの、中は空洞の人形で、中の内壁のまわりに鋭い釘がほどかされ、左右からバタン閉められたら、中に閉じ込められた人の悲鳴も聞こえてこない、(ギャアー)

( 一向宗に手をやいて、天下取りが遅れた織田信長を教訓に、宗教の自由を認めても、一度決めたら変えることは許さないで、国民を骨抜きしたのが徳川家康だった
さすが為政者、大人だな )


でも信教の自由になっても変わらないもの、つかさどる者たちは以前として、美しい言葉を口パクでおっしゃって、ダチ仲間の貴族たちと第一身分で、ふんずりかえっていました

こりゃあかん、と市民たち
反抗の狼煙を上げたのはご存じの通りです

それからはいつものパターンで、市民の反抗グループの内部分裂、やがて軍人のナポレオンが覇権を握り、本格的に資本主義が始まりました

新しいものが生まれたら、対抗するものが出てくるのはいままでの通りで世の習い

フランス革命のスローガン、自由、平等、博愛

自由を尊重しすぎて勝手に他国に立ち入りして植民地活動や、金儲けのために労働者を家畜扱いにしたら、
そりゃ誰でも怒ります

今度は平等を尊重し、信じてくる社会主義者たちが、遅れてきた発展途上の国民国家の中で現れてきました

それから幾たびかの戦争や言い争いの中で、政情は以前の宗教戦争のようでした
またそこは大人の世界で、いつしか妥協的になって話し合いが持たれ、「各国の最高権力者たちが決めた」資本主義や共産主義をご本尊にして、少数他派は抵抗しないかぎり見ぬふりをしました

そしてまた、そこはそれで、人間の考えることは同じで、宗教と同じく、おのおの国家体制を保つため、魔女狩りみたいにときおり「赤狩り」とか「粛清」を行なって、テロリストの名のもとに異端審問扱いにしました

こうやって宗教戦争のあとに似て、
各国には専制的な「金持ち」や専制「独裁者」がはびこり、いままでどおり 1 パーセントの上級国民の第一身分が国民国家を仕切っていました

さらに「驚くべきこと」に、
貧しい人や虐げられた人がいても、国民はあたりまえ当然のように為政者の言葉を受け入れ拍手もして、いつしか自分たちも頑張れば、あんなふうに上級国民になれるんだと夢見ていたのです

( じっさいは羨望と怨みは裏返し、国王の力が弱くなったイギリスで革命が行われなくて、絶対君主のフランスとロシアに革命が起きたのは単なる偶然ではなかった
昨今の経営者のケタはずれな給料や高額プロ野球選手、成金のお笑い芸人、それに恐れ多くも北朝鮮の世襲指導者と世間知らずの日本の世襲議員たち、以前とちがってジェラシーや偏見を持たれても、必ずしも国民大衆を代表していないようです )

少しはましなのかと、フランス革命前のデジャヴー

このよく出てくるデジャヴーは、フランス語で déjà vu 、英語に直訳すると already seen

でも
誰かが、
きっと、
こりゃあかんと声上げてきて、
どうなることやら アズ スーン アズ

どこまで続く泥濘でいねい

人間の業、(合掌)






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