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【編集後記】慢心の積み重ね。(グランスタ東京の配信を終えて)

「いらっしゃいませ。」

「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」

小売業であれば毎時毎秒口にする言葉である。
来店していただいたことへの感謝を伝え、また来ていただきたいという気持ちをお伝えする言葉である。

しかし、日々の来店客の対応に追われ、その言葉に意味を込められているか。
空虚な文字列が流れるように口から発せられているだけなのではないだろうか。

私が、JR特に東京駅に感じていた印象をそのような言葉を聞いたときに似ている。
在来線や新幹線、地下鉄に私鉄と多くの路線が乗り入れ、中長距離バスも発着し、日本で最も大きなターミナル駅の一つである。
そのような駅の改札内で「集客に困る」「お客様に来てもらえない」という悩みなどなかったのではないだろうか。2007年に開業し、十数年ぶりの大規模リニューアルを2020年に迎える。その年に人々は移動しなくなり、1987年民営化以降初めての赤字転落に陥る。
これほどエポックメイキングなことはないだろう。
また、これほどわかりやすい警鐘をならしていただけるのことに感謝しなければならないのではないだろうか。

構造上しかたないことだが、自然と油断や慢心が生じていた中でのこの移動抑制で、立地にものを言わせてきたJR東日本の商業施設開発・運営全般を一度総括し、問い直す時期に来ているのだ。

電車が止まっていても、用事がなくても「行きたい」「また来たい」と思っていただける施設へなる必要がある。

「いらっしゃいませ」「ありがとうございました。またお越しくださいませ。」を問い直す時は今なのだ。

(K.T)

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