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自主制作3D映画『害魚』の制作秘話!! 主演・小林敏和にインタビュー!



・What's up?

嶋村「最近は何して過ごされていたんですか?」
 
小林「害魚という作品を昨年に撮り終えた後はお仕事でクラフトコーラの販売業に携わりながら、俳優として作品に出演したり、知人とラップの曲を作ったり、ライブに出たりと色々やってましたね。」
 
嶋村「今や副業で俳優やる時代ですからね。昨年の夏に大久保健也監督と一緒に低予算の3D映画作るということで、僕は現場には行けなかったですが、お手伝いスタッフとして参加しました。今回は真摯に3D自主映画『害魚』の製作についてお聞かせください!」
 
小林「押忍!」
 

大久保健也監督

1995年生まれ、大阪府出身。中学校時代に『アバター』を観て衝撃を受け、映画監督を志す。近畿大学文芸学部中退後、フリーランスの映像作家としてインディーズアイドルのミュージックビデオ等を手がける傍ら、ジャンルを問わず自主映画の制作を続ける。2020年に初の長編監督作『Cosmetic DNA』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて北海道知事賞を受賞。その翌年には新宿K's cinema等で全国劇場公開される。長編第2作目『令和対俺』も同映画祭でシネガーアワードを受賞後、新作短編『弄便』はパルマ短編映画祭2023にてグランプリ含む最多部門ノミネート、最優秀俳優賞を受賞。

・3D映画を作ろうと思った動機は?

小林「僕は東京の落合出身なのですが、地元をレペゼンする映画を作りたいと思ってました。監督・主演・脚本予定で2022年の冬に僕が脚本を書いて、2023年にクランクインするってのを大まかに決めて構想を練っていたのですが、大久保健也監督と以前から親交があり、彼や周囲の意見でミニマムなヒューマンドラマに「3D」を盛り込んだら面白いのではという話になり、動き出しました。」
 
嶋村「今の時代、映画やYouTubeもそうだけど、自分主体で何か発信していくことがスタンダードなので、面白い試みをされているなと思いました。最近のインディペンデント映画でも『佐々木、イン、マイマイン』内山拓也監督作品の細川学さん、『J005311』河野宏紀監督などの俳優が企画から携わり、ムーブメントを起こされているのが記憶に残っています。そのような活動が当たり前の現代で3D映画は斬新ですね。」

小林「大久保監督がジェームズ・キャメロン監督の『アバター』に感銘を受けており、飲みの席での勢いで3D映画に挑戦するに至りましたが、僕はユーロスペースやミニシアターに行く機会が多く、主役が企画を立てて作った映画に影響を受けました。映画の作り方って色々あると思うんですけど、自分で試行錯誤して映画を作るっていうのが今の選択肢なのかなと思い立ち、脚本を書き始めました。」

嶋村「なるほど。『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』も然り、MCU作品も最新技術に観客が見慣れてしまって、映像技術が発展すればするほど、作る側の壁が大きくなっていますね。その中でもファンに好まれるのは作家性や社会派、革新性を纏った尖った作品が評価されていますよね。その分、CGを用いた作品は金がかかるのは明白。『害魚』は予算の都合上、一昔の3Dメガネで鑑賞しなければいけないので、懐古主義に近い感覚はありますが、作家性や実験性は尖っているので未体験な映画体験になるのではと思っています。


3Dメガネ

・自主制作×人間ドラマ×3D 『害魚』の見どころ

小林「勿論、3Dでの映画体験です。物語としては外部と内部これがテーマです。害があることに人は遠ざけると思うんですが、毒は良薬にもなり得る。それを映画として提示したいです。今の時代、センシティブな事や不祥事があればすぐ干される時代になってますよね。でも、映画での表現は自由だと思っていて、時代に対抗した暴力的な内容になっています。兄弟間のコンプレックスや人間関係など表面上ではわからないことを今作に盛り込んでいて、言葉で説明しにくいことを「3D」を使って浮き彫りにしています。」
 
嶋村「3D=アトラクションではなく、ドラマ部分の見えないことを浮き彫りにする手法は新しいと思います。大久保健也監督の『Cosmetic DNA』、『令和対俺』はゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも評価されたし、彼の作品の世界観は唯一無二なので、低予算でも世界規模で展開する作風が魅力。最近だと、ムービナーズさんのライターの方にも取材を受けており、その記事の3Dへの熱量は凄まじかったので感銘を受けました。最新技術=金がかかるという概念をぶち壊してくれた『害魚』を試写で鑑賞しましたが、今後、お目に掛かる機会があれば皆様に観ていただきたい。上映可能な映画館は?サブスクでの配信はどうするのか?と課題点はあると思いますが、これからに期待している監督なので、皆さん是非とも大久保監督作品をチェケラ!」


・制作過程の印象的なエピソード

小林「基本的に役者業はオーディションを受けるなどしてきましたが、今回は作る側として全部こなさないといけないので、マジで大変でしたね。企画段階から「3D」で撮るのはいいけど、全く技術的なところが分からなくて、大久保監督と僕との理想と現実が曖昧で映画自体を完成させるイメージが湧かなかったんですが、なんとか完成に漕ぎ着けました。作ることは無理だろと周りから批判されましたが、応援していただいた皆さんにとても感謝しています。また、撮影現場では鰻を捌くシーンがあるのですが、生きている鰻が暴れてしまいリアル害魚でしたね。また、鰻のサイズは3p.4p.5pと大きさがあるのを初めて知り、自分の知識・容量不足を痛感させられました。映画は鰻のように滑らないことを祈っています。」
 
嶋村「僕も本業でも映画製作、自主映画製作をしているので苦労が分かります。助監督で入った作品の現場で俳優の青木崇高さんにビールの泡立て方を教えていただいたりと初歩的な事も自分は何も知らないんだと現場では痛感することは多々ありました。撮影現場で鰻は掴めなかったと思いますけど、『害魚』を観ていただける方々の心を掴める作品になることを応援しています!」

・小林敏和のDREAM

嶋村「僕の自主映画での出演を機に仲良くなって、小林さんには日頃から遊びに連れて行ってもらってますが、俳優以外にも色々やられてますよね?」

小林「俳優業の他に音楽活動として、曲を作っているのですが、自分の歌詞に『いつか作るmovie like デニーロ』というラインがあります。ロバート・デニーロが監督した『ブロンクス物語 愛につつまれた街』という作品が好きで、デニーロの地元をREP(Rrepresent)するスタンスに影響を受けています。それが映画や音楽、YouTubeなどカルチャーが密接に結びつけられるような表現者として、自分に近しい人が商業性に関係なく、共存できる世界を提供したいです。そのためにいくらでも笑われる覚悟は決めています。
自分の地元・落合の知名度はまだまだ高くないですが、面白いお店、コミュニティがあります。それらをREPして盛り上げていきたいと思っています。現在、次回作の映画の構想も練っています!」

『ブロンクス物語 愛につつまれた街』

嶋村「いいですね。競争ではなく共存ができる世界の提供。映像業界の本質は競合と競争だと個人的に思っているので、『カメラを止めるな』のキャスト・スタッフ陣のように全員で一歩進む映画製作が増えて欲しいですね。今のエンタメにおける問題も搾取が根本にあるので、共存は何にせよ今後の課題ではないかと感じています。今後の小林敏和の動向を楽しみにしています!!」

小林「押忍!!」
 
嶋村「小林さんは会う度に色々やられているので『仮面ライダークウガ』のオダギリジョーさんが演じる「2000の技を持つ男」を自称する五代悠介のように「200の肩書のある俳優」を目指して欲しいです!」

勝手に五代悠介のような男になって欲しいと願う嶋村

小林「見ててください!俺の変身!いや、肩書き200は多すぎますね笑」

嶋村「・・・」

小林さんの音楽活動URL↓

・レペゼン魂

クラフトコーラの先駆けである伊良コーラ、サウナが有名で人気の銭湯・松本湯、原料に蜂蜜を使用したクラフトビールのHONEYCOM&HOPWORKS、そして良質な古着・カルチャーアイテムを取り揃えたバムズトウキョウなど小林敏和さんのお世話になっているお店。それらがレペゼンのルーツである。

↑伊良コーラ
↑バムズトウキョウ


【クラファン支援者の方々へ】
製作者として未熟ながら、ご協力いただき誠にありがとうございました。
皆様も製作者の一員です。
これから映画祭等に出したり、上映イベントができればと思っております。
引き続き、よろしくお願いいたします。(小林敏和)

・作品概要

↑『害魚』イメージポスター

【あらすじ】
東京・新宿から程近い、落合で古着屋の店を構える圭ニの前に姿を消した兄・圭一が戻ってきた。
若い頃に両親を失った2人の絆を繋ぐのは川での釣りの思い出だけ。
圭一と圭ニの2人の過去が街の人たちを巻き込み、事態は取り返しのつかない方向へ。
やがて2人の運命の歯車が狂いだす・・・
 
本作品では、アクションでもファンタジーでも無い、言ってしまえばミニマムな人間ドラマを敢えて立体映像で語ります。
低予算ならではの閉塞された限定空間を逆手にとった没入感溢れる画面や、スクリーンの奥に本当に役者が呼吸しているような生々しさの表現を追求します。

小林敏和
1988年1月3日生まれ 東京都出身。
慶應義塾大学法学部を卒業後、芸能事務所にてマネージメント業務に携わる。様々なドラマや映画の現場で活躍する俳優、タレントに影響を受ける。
退社後、音楽グループでパフォーマーとして活動。現在は、映画、舞台を中心に活動中。
『ACTORS BOOK CLUB』を主宰し、映画にまつわる本、VHS、アイテム等を紹介するイベントを定期的に開催。YouTube番組『東京DOPE』でカルチャーの魅力を発信中。

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