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【Last Season Essay 2023 #6】MKG 小野仁子

新歓もほとんどなかったコロナ禍の2020年、日本一という大きな目標を掲げるWARRIORSに自ら飛び込んだ割に、自分は慎重で臆病な人間だと思う。
そんな自分がこうしてラストシーズンを迎えることができているのは、本当に有り難いことだと最近よく考える。

少し高校時代の話をさせてほしい。
公立のいわゆる進学校でアメフト部のマネージャーをしていた自分は、思うような設備も時間も確保できない中で圧倒的な練習環境と人材を揃えた私立に勝つことの厳しさを嫌というほど味わった。何より、高3の秋に私立強豪校に敗退した時の、3年間の時間や努力が無に帰したようなやるせなさもよく覚えていた。勝ちたかった。本気だった。アメフトに注ぎ込んだ高校3年間は、私の青春にしてトラウマでもあった。

そんな自分がWARRIORSに入ろうと思い立ったのは、高校3年間をトラウマのまま終わらせたくないという身勝手な動機からだった。
思えば「東大アメフト部」のイメージを、勝手に高校の時の経験に重ねていたのだと思う。国内トップと言われる東京大学。きっと勉強や研究に重きを置いていて部活にかけるお金も時間もないし、人材も勉強しかしてこなかった人ばかりでスポーツ推薦のある私立には遠く及ばない。
「高校の時は目標を達成できなくて悔しかったのでWARRIORSで日本一になりたいです!」などと調子の良いことを言って入部した気がするが、半分は嘘である。日本一を目指してみて、達成できれば一番良いけれど、無理そうだと思ったら見切りをつけて程々にやって、今度こそなるべく傷付かずに終われるように、という打算があった。

結局、見切りをつけるタイミングは訪れなかった。
WARRIORSは日本一になれるチームだと信じられるようになったからである。
このチームにいれば、そう信じざるを得ない。
優れたコーチ陣や、チームのために動いてくださる法人の方々、OB・OG、協賛してくださる企業や地域の方々、どんな時も応援してくださる保護者の方々、他にも様々な形でWARRIORSの勝利を信じ、支えてくださる方々がいて、それら多くの方々の尽力によって整えられた、驚くほど恵まれた練習環境があり、何よりも一緒に本気になれる仲間がいる。
そんな中で過ごしていくうちに、気づけば自分自身、本気で、WARRIORSで、日本一になりたいと思うようになっていた。

中でも自分にとって転機となったのが、3年目に当初のSAパートから、個人の都合でMKGに転向したことだ。スタッフのパート間の転向は、チームにとって(少なくとも業務上は)メリットのある話ではない。にも関わらず、3年目にして新しいパートに来た自分がチームにどんな貢献ができるかを一緒に考えてくれる先輩や、変わらず仲間として接してくれる同期たち、仕事の勝手がわからない自分をも先輩として慕ってくれる後輩がいる、WARRIORSはそんなチームだと気づくことができた。チームに恩返しがしたいと思うようになった。
試合に勝ちたい。その勝利に自分の仕事で貢献したい。今目の前にあるWARRIORSというチームときちんと向き合うようになって、日本一という漠然としていた目標の解像度が上がった。

そうしてラストシーズンを迎えたわけだが。
最上級生の立場でシーズン中にこんなことを書くべきではないのかもしれないが、日本一が潰えた今、正直なところ虚しいと思う瞬間がないわけではない。
だが、虚しくなるほど本気で日本一になりたいと思った。もう本気の挑戦なんてできないと逃げようとしていた自分を再び本気にさせてくれたWARRIORSの、今も一員だという自負がある。
まだ、戦いは終わっていない。まだチームの仲間やお世話になってきた方々に恩返しらしいこともできていない。まだ後輩たちに、日本一への挑戦権を繋がなければいけない。

WARRIORSに入部してからこの文章を書いている今まで、本当にあっという間だった。エンジンがかかるのが遅すぎたのは、今となっては数ある自分の反省の一つである。やり残したことの多さに比して、残りの時間は短すぎるかもしれないが、今更考えてもしょうがない。
今日本気で部活に取り組むことができることに感謝して、残された一日一日、やるべきことを着実にやっていこうと思う。(MKG 小野仁子)

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