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なぜDeFiの次はNFTなのか?理由5つを最新事例から徹底解説

Tokyo Otaku Modeの安宅です。今回は、最近話題のブロックチェーン技術の「NFT」について解説をしてみたいと思います。Twitterなどでも話題になっていましたが、日本が誇るアニメ・漫画・ゲームといったコンテンツとブロックチェーンの相性はとても良く、まさにいま、コンテンツに「DeFi」や「NFT」を組み合わせることで、インターネットを介して、世界との距離がさらに縮まり、新しい経済圏が生まれるチャンスが到来しています。

ただ、この領域は技術的な話が多く、ややとっつきにくさがあるので、一部のマニアックな世界で行われていて、思ったようには世間に広がっていないように思えます。そこで、今回は、技術的な専門用語はなしで、なるべく分かりやすく丁寧に「NFT」について解説してみたいと思います。


「NFT」というデジタル革命の足音

多くの人はまだ気づいていないですが、ここ数ヶ月で世の中がまた大きく変わろうとしています。

以前、私のYouTubeチャンネルでも紹介した、インターネットに次ぐ革命と言っていたブロックチェーン活用の「DeFi」。この最新テクノロジーを活用した「DeFi」で、ブロックチェーン技術には、仮想通貨・暗号資産以外にも使いみちがあることを知った方も多いと思います。

今回、徹底解説する「NFT」は、実は数年前から着目している人もいて、私もいくつかのプロジェクトをスタートアップさせたりと、当時から実証実験をしていた一人なのですが、「DeFi」が一般的になってきたことで、いよいよインターネット上のあらゆるデータに価値づけを行える「NFT」も、より一般に浸透していくのだろうということで、時は満ちた感じがします。

「DeFi」にしても「NFT」にしても、ブロックチェーンはこれまでになかった概念で、大げさではなく「社会変革」を起こすレベルの”事件”なので、今後の社会に適応していくには、ほとんどの人にとって、これまでの常識を捨ててるような大きな意識の切り替えが必要です。

あの元マイクロソフトのビル・ゲイツでさえ、最近でこそ中立的な立場になってきましたが、過去には、「誕生日プレゼントでビットコインを受け取ったが、すぐに売却した」など、否定的な目で見ていたのですから、「ブロックチェーンやそれを生み出したビットコインや仮想通貨はあやしい」、その先にある「「DeFi」や「NFT」といわれてもよくわからない」という考えをするほうが、自然なことといえます。

でも、それだと時代に取り残されてしまいます!

そこで、この記事で、「NFT」が持つ無限の可能性について書いていきます。この1記事をご覧いただければ、「NFT」がいかに可能性に満ちていて、なぜいま急激にマーケットが広がっているのかも理解できると思います。また、あらゆるインターネット上の活動に価値付けがなされることで、経済的にも「大きな社会変革」が起こりえることも、あわせてお伝えできたらと思います。

「NFT」は、日本が世界に誇る「コンテンツ」を、インターネットを介してもっと価値を広げていけるだろうと、私は4年前くらいからリサーチや実証実験を行ってきていていますので、「DeFi」や「NFT」の全体像を把握している日本人のうちの一人だと思います。今回は、現時点で最新・最濃度の「DeFi」や「NFT」の内容をお伝えしたいと思います。

あらかじめお断りしておくと、この記事をご覧のみなさまは、資産運用観点で、「DeFi」や「NFT」は投資するべきかの判断をされたい方も多いかもしれませんが、この記事は、そういった投資判断のためのものではなく、あくまで「DeFi」や「NFT」がどう現実社会に変革をもたらすのか、リアルな実体をお伝えすることが目的の記事です。ということでこの記事を見ての投資はおすすめしませんし、もし投資なさる場合でも自己責任でお願いします。

この記事がみなさまのビジネスやインターネットやブロックチェーンがもたらす未来に役に立つことを願って。それでは、早速いってみましょう。


その1:NFTの成功事例がこれだけ出てきた

はじめに、「NFT」を活用したビジネスの成功例をざっと紹介しましょう。紹介する前にひとつだけ考えてみてほしいことがあります。

いまあなたが所有している「モノ」で一番高い品物はなんでしょうか?(株などの金融資産は除いてくださいね)

車?家?絵画?高級な趣味の品?

おそらくほとんどの方は、リアルに存在し、物理的に手で触れることができて、存在を確認できるフィジカルな「モノ」をあげるのではないでしょうか。

でも、それはもう少ししたら時代遅れになると思います。最近は、フィジカルな存在ではない、デジタルな「データ」に大きな価値がつくようになりました。これがブロックチェーン技術の「NFT」によって実現してきています。まだ一般の方は「NFT」化された「データ」をひとつも持っていない状態ですが、これから10年以上かけてほとんどの人が技術的な背景はわからなくても、気づいたら「NFT」を手にすることになる未来が予測されています。

その最先端=エッジの部分で、価値のついたデジタルデータがすでに大きな金額で売買されているのです。

いまは富裕層を中心に盛り上がっている感は否めませんが、将来は、それこそ100円や1円単位のNFTが、世界中のあらゆる人々が持つようになる見込みです。これから紹介する金額の大きさは、今後もたらされる社会的な影響の大きさととらえると、ことの重大さが理解できると思います。

最初に紹介するのは、アートの世界で起こった「NFT」を活用したデジタルイラストです。

デジタルアーティストであるbeepleさんは、2020年に約3億7000万円相当のクリプトアート作品をNifty Gatewayという場所で販売したのです。

さらに、2020年10月にbeepleさんの動画作品を約720万円で購入した、とあるアートコレクターは、2021年2月末にそれを約7億円で売ることに成功し、二次流通市場、いわゆる転売でも大きな話題を集めた事例となりました。

そして、beepleさんの作品は、由緒正しき歴史あるオークションハウス、あの「クリスティーズ」でも正式に「NFT」活用によるデジタルイラストがオンラインセールにかけられたのです。 
 
金額が途方もない感じで、遠い世界のように感じるかもしれませんが、これは最先端=エッジ部分の話なので、今後、こうしたことがもっと一般化していくととらえてもらうと良いと思います。

モノの価値は、需要と供給で決まることは広く知られていることですよね。アートは基本的に一点モノで、もう二度と作られないという、供給が限られるため、希少性が高まります。そして、そうしたアートを欲しがる人たちが増えれば増えるほど、需要が高まり価値が上がっていきます。

ただ、これまでインターネット上の「デジタルなイラスト」は、コピーがし放題で、いくらでも複製できることで、供給が無限にできてしまいました。需要がいくら高いものであっても、供給がありすぎて、価値はゼロ円に近づいていってしまったのです。

「NFT」を用いると、この供給を決めた数に制限をかけることができるので、需要に対して適切に制限をかけることで、いままで金銭的価値がほぼ0円だった「デジタルイラスト」にも、リアルなモノと同じように価値をつけることができる仕組みが実現したのです。

次の「NFT」の成功例は、ほとんどの人にとってアートよりももっと身近なものです。

アメリカのプロバスケットボールのNBA公式が、トレーディングカードを「NFT」化してデジタルトレーディングカードを販売し、記録的なセールスを作ったのです。2021年3月現在、「NBA Top Shot」という「NFT」トレーディングカードの売り上げは、数ヶ月前のスタートにも関わらず、すでに累計で245億円にもなり、ビジネス的にも大成功を収めているのです。

コロナ禍で、昨年はNBAの観客は大幅に減少したこともあり、デジタルな領域でのビジネスを模索していたタイミングもあったのでしょう。もともと物理的なトレーディングカードの市場も大きかったこともあり、ファンには馴染みのあるトレーディングカードのフォーマットをほぼそのままに、デジタル化したことも成功要因のひとつでした。デジタルならではとして、画像ではなく、動画にしている点はにくいですね。リアルなカードがなくても、SNSやスマホなどを通じて、気軽に仲間やコミュニティで自慢できる設計が絶妙です。

そのカードが世界で1枚しかない、あるいはシリアルナンバーで数が限定されていることを「NFT」で証明しているため、供給が制限されることが誰の目にも明らかとなっています。そのカードを誰が所有しているかの情報も、デジカメで撮影日時がデータ的に保存されているように、デジタルなカードの見えないところに、こうした「メタ情報」がセットされています。画像や動画自体は複製できても、本物であるオリジナルの供給が制限されることで、デジタルなトレーディングカードにも価値がつくのです。コピーしたものはレプリカで価値はないのです。

オリジナルの価格は驚くべき金額をつけるものもあります。例えば、有名選手のカードが1枚なんと約2,100万円で売買されたりしています。

これらはFLOWという現時点でもっとも有力なチェーンである「イーサリアム」とは別のブロックチェーンで作られました。FLOWを作っている開発会社Dapper Labsは2,000億円もの時価総額がついて、いきなり250億円を資金調達したことで、さらに話題を呼びました。

時を同じくして、世界的に有名なストリートファイターのデジタルトレーディングカードも、グローバル企業のカプコン公認で発売になりました。

大手企業もいよいよ本格的なビジネスシーンでのNFT活用の事例が増えていっています。ちなみに、こちらもイーサリアムとは別のWAXというブロックチェーンが用いられています。

成功事例はまだまだあります。バーチャル上のゲーム「Axie Infinity」内の仮想空間の土地が1.6億円相当の価値がついたのです。

現実社会でいえば、デジタル上にある「銀座の一等地」を大枚をはたいて購入したようなものです。

このゲーム内では土地を購入したユーザーは、自分の土地を貸し出して利回りを得たり、コンサートなどゲーム内でイベントを開催して地価を高めることができるため、オーナーがビジネスを興して稼げる仕組みにもなっているのです。すると、ゲーム内であっても、自然と人がよく集まる場所の土地に価値が出てきます。「NFT」によってその土地の所有権が誰の目にもあきらかになることで、価値が担保されます。ゲーム内でいろいろな商売が本格的にはじまったときに、その土地の価値は1億円でも安い、とみなす先見の明がある人も出てくると、需要の高まりで、高い価値がつくことになるのです。

こうした大きなお金が動くと、ニュース性があるので、一種プロモーション的に活用されている事例もあるので、すべての情報をうのみにするのは要注意です。ただ、これまでもオンラインゲームの世界では、熱狂的な人気ゲームの特定の土地や家が「RMT」といって、ヤフオクのような場所で高額なお金でやりとりされていた歴史をみると、けっして、いまだけ起こっているおかしな現象ではないことは確かです。

そして、いよいよ日本でもNFTの大波がやってきました。

あの少年ジャンプの集英社が、『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生の物理的な描き下ろしイラストを、マンガアートというフォーマットで、世界中でこれだけという枚数を限定した「NFT」を販売しだしたのです。これはコンテンツ業界にとっても、とても画期的な話で、世界的にも大人気の作品と作家先生が、枚数限定のアート的なアプローチでNFTを活用しだしたことで、世界的に日本のアニメ・漫画・ゲーム系コンテンツの新しいビジネスが一気に育ってくる可能性が出てきたのです。


その2:DeFiでインターネット上の金融インフラが整った

「DeFi」はインターネット上に価値のやりとりをなめらかにする金融機能を生み出し、デジタルの経済活動をスムーズにしつつあります。

そして、「NFT」はあえてデジタルデータの供給を制限することで、需要と供給を適切にバランスさせ、これまでゼロ価値だったデジタルデータに価値をつけることに成功しました。

そして、「NFT」は今後のインターネット上のあらゆるデジタルデータに結びつくことで、すべてのデータに価値づけを行う、画期的な存在なのです。

つまり、「DeFi」によってインターネット上の経済活動が行えるようになったときの主役が、まさに「NFT」によって価値づけされたデータだということです。

すべてのインターネット上のモノやサービスは、デジタルデータなので、元をたどっていくと「0」と「1」という数字の羅列です。極端な話、それらのデータを「NFT」化することで、すべてのデータが価値を持ち出すことになります。

考えてみると、むしろ、いままでリアルでは価値があったのに、インターネットでデジタルになった瞬間に価値がゼロになってしまうことが「変」だったのですね。

例えば、YouTubeの動画も、一本作るための時間や労力を考えると、普通は無料にはならないはずですが、残念ながらいまのインターネットだと、YouTubeであっても、広告というリアル社会のなにかの宣伝をすることで、間接的に得られる収益です。

広告費は、リアル社会のモノやサービスの販売から出てきているので、つまるところデジタルの価値ではなかったのです。

この記事を見てくださっているあなたは、きっとTwitterやInstagramなどで、日々「いいね」や「リツイート」を行っていることと思います。そうした「いいね」や「リツイート」がたくさん集まると、世の中の世論を作り出すこともありますよね。

でも、ひとつひとつの「いいね」や「リツイート」に対してなにかリターンがあるかというと、いま、金銭的価値はゼロです。

ブロックチェーンがもっと進化していき、インターネット回線のようにISDNからADSL、そして光回線や5G/6Gのように、手数料が激安になっていくと、「いいね」や「リツイート」を「NFT」化することで、1円以下の薄い価値がつきだしていきます。

Twitterでもブログでも世の中に価値ある情報を発信している人は、そうした「いいね」が集まることで、多くの人々に貢献していることで、それだけで生活ができるくらいの収益をあげられるかもしれません。

「NFT」がもたらすおそるべき可能性をシンプルにいえば、インターネット上のあらゆるデータに、本来のリアルでは持っていた価値が急につきだして、リアルと同じように、価値が移動して経済活動が本格化しだす、ということなのです。

いまはたまたま高額なアートのような存在が目立っていますが、これは最先端=エッジの部分なので、これだけの現象だけを見ていると、「NFT」がもたらすダイナミックな社会変革の本質を見誤ると思います。

すべてのデータが「NFT」によって価値がつきだす、これが「NFT」が「DeFi」の次に起こすもっとも革命的なことなのです。

さて、「DeFi」はこちらの動画でも紹介している通り、「インターネット上に銀行のようなものをみんなで作ることができてしまった」のです。

見方をかえると、人が社会で経済活動をするときに必要な金融の仕組みが、インターネット上に実現したということです。これまでインターネット上では、実は経済活動をするための仕組みがなかったのです。

これは、インターネットに物々交換しかなかった時代から、一気に現代のキャッシュレス時代になったくらいの、大きな変革をもたらすのです。

「通貨」という概念がなかった物々交換の時代を想像してみてください。あなたは漁師です。

今日も魚を釣ったので、たまには魚でなく肉を食べたいとします。村に行って、釣った魚を欲しがる肉を持っている人を探しますが、そんな都合よく魚を食べたい肉を持っている人は見つかりません。そうこうしているうちに、魚の鮮度が下がってきて、価値が減ってしまい、あなたは肉にありつけることができませんでした。

もしここに、「通貨」の概念があったらどうだったでしょう。

あなたが釣った魚をいったん卸問屋に売ることで、お金を得るとします。あとで、そのお金を持って、肉を売ってくれる人のもとにいけばよいだけです。つまりその時の魚の価値を保存して、別の価値のあるものに交換できるという機能を「通貨」は持っているのですね。かんたんにいうと、売買や取引のマッチング成功率が大きくあがるのです。その瞬間にマッチングしなくても、いったんお金の形になっていれば、あとでマッチングすることができ、容易になるのですね。

しかも、インターネットを通じると、いままでは狭い村の中だけで声をかけてマッチングするかどうかだったのが、すぐに世界中の人々に誰でも手軽に知らせることができ、そのやりとりにかかる手間も、ワンタップでできてしまいます。

これが、いままではインターネット上の経済活動が、物々交換レベルの時代だったことから、「DeFi」が登場したことによって、いきなりキャッシュレス時代になってしまうというイメージなのです。

せっかくそうしたインターネット上の金融の仕組みを作ったのだから、もっと使ってほしいと考えると、インターネット上での経済活動、つまり「価値のやりとり」をもっと行ってほしいと考えるのが、「DeFi」を作っている側の考えです。せっかく金融の仕組みがあっても、それを活かせる「経済活動」がなければ、宝の持ち腐れになってしまうからです。

そこで注目されたのが、インターネット上のあらゆるデータに価値をつけることができる「NFT」なのです。「NFT」を組み合わせれば、価値あるデータの「やりとり」が「DeFi」を通じて、インターネット上で一気に花を咲かせることができるのです。

繋がりましたね!

これまでのインターネットは情報がコピーし放題だったから、供給が無限となってしまって、需要が多少あっても、価値が無料に近づいていってしまっていたところに、「NFT」という「DeFi」と同じブロックチェーンから生まれた仕組みによって、インターネット上のデータに価値がついてしまうことになったのだから、なんという偶然なのでしょうか。私は、「NFT」と「DeFi」は、同じブロックチェーン技術から生まれたのに違う役割が絶妙にマッチしてしまった、奇跡の出会いだと思うのです。


その3:「Hashmasksに学ぶ「NFT」x「DeFi」連携

冒頭で紹介しきれなかった「NTF」活用の成功事例のひとつ、「Hashmasks」は、デジタルアートの領域でクリエイターら70名が創り出した最近ホットなアート作品群です。

私はこのプロジェクトのすごいところは、「NFT」をいともかんたんに「DeFi」と連携させることで、「NFT」の持つ新たな可能性を示したことにあると思っています。

最初に「Hashmasks」という作品についてざっくり解説しましょう。

作品自体はとてもシンプルです。計16,384枚の同じような線で描かれた人物に、クリエイター70名が独特のテイストで色を塗っていった、現代風のアート作品です。

この作品を「NFT」化して販売したところ、合計で15億円の売上を記録したのです。驚くべきは、完全デジタルだけの作品にもかかわらず、高額なイラストは1枚約7,000万円もの高値がついたのです。

このプロジェクトはすごくいろいろな仕掛けがなされていて、「NFT」という新しいテクノロジーを使うことで、これまでのデジタルアートにはできなかったことがいくつもできることを証明しました。

最初の販売以降はいっさい追加発行されない限定のイラストデータであることは、ビットコインの発行上限枚数の2,100万枚を彷彿とさせるものです。需要と供給のバランスを調整して、制限をつけることで価値づけを行うという明確な意図がみてとれます。

さらに、作品を購入したオーナーはその作品の名付けの親になれるという、これまでのアート作品ではあまり例をみない型破りな設計になっています。もちろん作品名の変更もできます。

仕組みはこうです。

「Hashmasks」の作品を1枚持っていると1日10枚のNCT(Name Change Token)がもらえます。このトークンを1,830枚、つまり半年くらい貯めると、作品の名前をつけたり変えたりする権利がもらえます。

名前をつける、あるいは変更する権利を行使することで、このトークンは消滅します。所有者によって作品に名前がつくことで、16,384枚の中で、ちょっとしたストーリーが生まれ、注目を集めやすくなったり、イラストのイメージにあうセンスある作品名がつくことで、価値があがったりもします。

名前をつけるのに、半年も待ちたくない場合は、「DeFi」ブームで一気に有名になったトークンの交換所、Uniswapにいくと、このNCTがイーサリアムなどと交換できるようになっています。

そこで、1,830枚を買い集めると、他のオーナーに先駆けて作品名を変えられます。すると、このトークンに需要と供給が生まれ、一定の価格がつくことになります。

2021年3月上旬時点で1枚あたり10円ほどなので、このイラストを1枚持っているとNCTを通じて、1日100円くらい利息や配当がもらえる不動産収入のような仕組みを生み出したのです(注:日本では法的な確認が必要な領域です)。

これを、デジタルイラストの領域で実現されたことが面白く、「NTF」と「DeFi」を無理なく連携させている見事な設計です。

しかも、作品に名前がついたイラストは、このNCTに費やすコスト以上に価値が上がることがわかってきたので、イラストのオーナーはこぞってNCTを買い集め、いちはやく早く命名しようとして、さらにNCTの価値が上がるという仕組みになっています。

NCTは10年後に配布されなくなることが決まっていて、つまり作品名をつけたり、変えたりする回数に上限があるのです。

長い期間に渡って、NCTが消費されていったときに、最終的に作品名を変えるためのコストはどんどん高まっていくことが予想されるので、作品自体の価値と、NCT自体の命名という機能としての価値の、両面を楽しむ設計になっているのです。作品名によってオーナーも一部作品づくりに参加できる点も面白いですよね。

Hashmasksはこれ以外にも、オーナーが自由にこのイラストを使ってTシャツを作って販売して良いなどの、商用利用も認めていたり、作品に謎解き要素が組み込まれていてコミュニティでワイワイ盛り上がる設計になっていたりします。また、作品やクリエイターの詳細が徐々に公開になる予定で、作品の周辺での演出や動きが緻密に設計されているのです。

さらに、Hashmaksが「NFT」なのに「DeFi」と連携できている、もうひとつの画期的な点が「NFTX」という別サービスとの連携です。

Hashmasksの作品群は、16,384枚存在するため、どうしても注目を集めるイラストと、そうではなく、注目度が低く、価値が低いロングテールな作品とに分かれていきます。

これはHashmasksだけに起こる現象ではなく、例えば、ソーシャルゲームのカードやトレーディングカードの市場などでも同じく、人気があるカードは上位20%で、残り80%はあまり人気がなくて価値が低いロングテールができてくるのです。

オーナー視点では、このロングテールの作品を1枚だけ持っていても、なかなか注目が集まらないので、資産運用的な観点でこのイラストを購入したオーナーからすると、保有し続けるメリットが薄くなってしまいがちです。すると、ロングテールの作品を持っているオーナーたちの作品を「売りたい」という気持ちが強くなって、安い金額でもとにかく売ってしまいたいということで、Hashmasksのあらゆる作品が全体的に価値が下がってしまうのです。

そこで、「NFTX」が提供するのが、こうしたロングテールの作品をひとつのグループとしてまとめてしまって、その作品全体を株式投資における「インデックス」のように、ひとつのトークンに換えて、暗号資産として投資対象にしてしまう、ということです。

仕組みが少しややこしいので、丁寧に説明しますね。集中して読んでみてください。

私が1枚のHashmasksのイラストをNFTXに預けると、MASKというトークンを1枚もらえます。MASKを1枚使うと、今度はそのHashmasksのイラストが返ってくるので、ちょうど質屋のようなイメージでしょうか。

ほかのイラストのオーナーがまた1枚預けると、MASKトークンを1枚付与されます。こうして16,384枚の作品のうち、いま現在、800枚が預けられることになりました。MASKを1枚使うと、この800枚の中からランダムでイラストを得られるので、物々交換のガチャのような設計にもなっています。自分のイラストに飽きたら、このNFTXに預けるとMASK1枚を得られ、そのMASKを1枚使うと、ランダムでHashmasksのイラストが1枚手に入るのです。

賢い方は気づかれたかもしれませんが、このMASKというトークンすなわち暗号資産は、800枚預けられた作品の平均価格に応じた、価値を持ち出すのです。1MASKあれば、作品1枚と交換できるわけですから。

MASKはSushiswapというUniswapに次ぐ「DeFi」のトークン取引所で活発にやりとりがなされていて、Hashmasksの作品自体にはそこまで興味はないけど、プロジェクトとして面白いから投資対象として参加したい、という投資家を呼び込むことに成功したのです。

すると、800枚の作品の平均価格よりも、1MASKの価格が高まっていきました。

そうなると、本来注目を集めなかったロングテールの価値が低かった作品自体の価格もあがって、Hashmaks全体の価値が下支えされるようになりました。

単なる「NFT」だったはずのアート作品が、「DeFi」と連携されることで、このような価値を下支えするような現象をもたらすことは驚くべきことですよね。

いずれにしても、「NFT」がブロックチェーンでデジタルであることで、こうしたインターネット上の金融機能と結びついて、投資的側面をアートの領域にいともかんたんに接続できるという、とてもいい成功事例であることが伝わればと思います。


その4:「NFT」にしかできないことがこれだけある

ここまでコンテンツや作品を中心に「NFT」化の話をしてきましたが、NCT(Name Change Token)のように「何かしらの権利」も「NFT」化することで価値あるもののやりとりが、グローバルにかんたんに行えるようになります。

例えば、アニメの世界で言えば、国ごとにアニメ放映の権利を「NFT」化して、それぞれの国でオークション形式で権利を販売することで、販売価格や機会の最大化を行うことができます。

「NFT」を活用すると、すべてデジタルでインターネットを介することで、これまでグローバルでの販売が難しかったものでも、スムーズかつかんたんになっていくのです。

これからは、リアルもデジタルもコンテンツや権利が「NFT」化されることで、あらゆるインターネット上の活動に価値がのっかることで、リアル社会と同じような、本当の経済活動が始まるということなのです。

その大きな舞台になりそうなのが、二次流通市場です。アートの世界では当たり前のように行われている、いわゆる最初のオーナーから別のオーナーへと次々と転売されていくセカンダリーといわれる流通市場です。

日本のeコマースでいうと、楽天が一次流通市場、メルカリが二次流通市場というイメージです。どちらも巨大な市場ですが、「NFT」の場合は、二次流通市場に大きな特徴をもたせることができることに注目です。

それは、すべての取引が透明化され、所有者が移転するたびに、その取引の一定の割合を、最初にその作品を作ったクリエイターにもロイヤリティを返すように設定できるということです。

例えば、最初に私が1万円であなたになにかの作品データを「NFT」化したものを販売したとします。

あなたは、1ヶ月後に、その作品をあなたの友だちに2万円で転売します。いままでだと、最初に作品を作った私には何も得られないことが普通でしたが、「NFT」であれば、作品が転売されるたびに手数料、例えば5%を私に戻すこと、と最初に決めておくことで、あなたが私の作品を2万円で友だちに売ったときに、私が1,000円を受け取り、あなたは19,000円を受け取り、友だちに作品が渡る、ということになります。

これは、その友だちからまた別の知り合いに転売されても、未来永劫、最初に作品を作った私に手数料が自動的に入り続けるのです。すると、NFTがなかった時代よりも、クリエイターに還元される価値が多くなるほか、転売自体も誰も損しないので、いろいろな作品の所有者が変わることもポジティブに捉えられる世界がやってくることでしょう。このクリエイター還元の機能は素晴らしいですよね。

そうした二次流通の大きな舞台が、「OpenSea」「Rarible」などです。

特に、有力な「OpenSea」では、2021年1月の売上高が約8億円だったのに対し、2月には約92億円になりました。このNFTの二次流通市場の伸び方が大きなことが理解できると思います。

二次流通市場が盛り上がれば、一次創作者への還元が増えるということで、より一次創作者がよりよい作品や活動に専念できるようになる好循環を生み出すのです。

そして、Hashmasksが生み出した、「NTF」であるのに、保有しているとトークンがたまっていくことで、実質的に利息や配当を自動的に出せる点も見逃せません。現実のアートでは持っているだけで配当を得られる、ということはできなかったため、これも「NFT」ならではのメリットといえるでしょう(注:日本では法的な確認が必要な領域です)。

例えば、リアルな絵画の場合でも、美術館に貸し出しを行うことで、オーナーへ美術館から手数料収入を得られることはありますが、こうしたことも、インターネット上でブロックチェーンを使えば確実に手数料を受け取ることができます。

例えばVR空間の中のバーチャル美術館に、自分が持っている作品を飾った場合、その作品を貸し出しているオーナーに手数料を自動的に支払う仕組みが作れるのです。

ちなみに、「NFT」は必ずしもデジタルなものだけが、「NFT」化できるわけではありません。すでに作られたリアルな紙の絵なども、ナノダイヤモンドなどの特殊なスプレーを吹きかけることで、作品自体を変更せずに、特殊なアプリで読み取ることで、デジタル上での確認ができる仕組みが発明・研究されていたりします。

もっと簡易的に行うには、作品に一体化させ消えづらいインクでQRコードをプリントしておくことで対応することも可能です。


その5:「DeFi」x「NFT」が世界を平等にする

実は、私はインターネットの初期の頃、インターネットがこの社会をとてもフラットにしてくれて、世界が平等になるとワクワクしていました。ところが、インターネットが出てきて20年くらい経ってみると、意外とそうでもなく、むしろ富の偏りや、国よりも権力が強いグローバルな企業を生み出す、ちょっとイメージしていたのとは違ったテクノロジーだと認識するようになりました。インターネットは、構造的に、ある種の欠陥を持ち合わせていたのです。

ブロックチェーンから生み出された「DeFi」と「NFT」は、そんなインターネットが生み出した偏りを、当時理想とされていた社会へ戻してくれるかもしれない、「希望の光」だと考えています。

それは、ブロックチェーンの根幹の思想が、非中央集権的で、どこか1社や1人のメリットだけではなく、コミュニティにいるみんながフェアに貢献に対するリターンが得られる、というコンセプトがあらゆる領域に浸透しているからです。

「DeFi」も「NFT」も、そのプロジェクトの運用のされ方を、「DAO」という「自律分散型組織」ということで、物事の進め方や報酬などのインセンティブ設計を、非中央集権で運用することで、インターネット初期の頃の理想を取り戻そうという魂がやどっているのです。

「DeFi」も「NFT」も、人から人へとダイレクトに届けられる仕組みになっていて、あいだを取り持つ存在はいなくてもやりとりが成立する世界が、ブロックチェーンなのです。

実は、これまでのインターネットは、こうした人と人をつなぐ間にたつ存在が必要でした。そして、賢い人たちが賢く活動していけばいくほど、コンテンツやデータを一手に集めるグローバルな企業が巨大化していき、巨大な権力を手にしてしまう構造になってしまうのです。

巨大企業が市場を独占してしまうと、気づけば国の権力を上回るようなことも起きてしまい、ときには健全な経済活動を阻害するようなことになってしまいます。

インターネットの特性上、あらゆるネットサービスは世界的な巨大企業のサービス上に成り立っていますが、こうした中央集権的なサービスによる市場独占は、今後「DeFi」や「NFT」が浸透してくると、より牽制が効くようになるはずです。

なぜなら、ブロックチェーン技術が浸透していくと、人と人とをつなぐ中間の存在がいらなくなっていくため、もっと個人と個人が直接つながって、運営が分散化された形に変化していけるからです。そして、よりそのコミュニティや業界で、中央集権的なサービスと非中央集権的サービスとが適切に牽制しあうことで、健全に運用されるようになっていくことが見込まれています。

すでに、動画配信サービスや、グローバルSNSや、インターネット・ブラウザなどを、すべて非中央集権的な仕組みで、どこか巨大企業の1社が運営することなく、関わるみんなで運用するといったプロジェクトは世界中で進行しています。

しかも、その仕組みのルールや計算式がだれもがオープンに確認できるため、よりフェアな世界となっていきます。しかも、そのうちのいくつかはブロックチェーン上で自動実行される仕組みとなっていて、そのコミュニティの参加者によって中央を作らずに、うまく運営していく成功例も出てきています。

現代は、資本主義社会となって、人は、資本家と労働者の2つに分けられてしまいました。私も経営者ではありますが、会社でいうと株主=資本家へ貢献する「いち労働者」でもあります。

これを俯瞰して見てみると、”人の上に人がいる”状態なのです。大昔の奴隷の仕組みと考えると、かなり緩やかになっているとはいえ、人が人を支配する構造に変わりがないのです。近代になって、人権がある程度確保されたとはいえ、資本家にとって都合よく「労働」させられる「労働者」の立場は、資本家の下側にいる存在です。

「DeFi」や「NFT」は、労働者も投資家になれ、混ざり合う、そんな「人の上に人がいる」という構造そのものを壊してしまうくらい、インパクトを持ったシステムです。「人類皆平等」を実現する仕組みともいいかえることができます。

記事をご覧になって、「NFT」活用によるグローバル展開にご興味ある方は、Tokyo Otaku Modeでお手伝いできることあがあるかもしれませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
https://corporate.otakumode.com/contact



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