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大発明と言われる「Loot」の可能性についてNFT事情に詳しい弊社安宅に聞いてみました

Tokyo Otaku Modeでマーケティングやメディアの担当をしている清水です。

皆さんは「Loot」をご存知でしょうか。短尺動画サービス「Vine」の創業者であるDom Hofmann氏が作ったNFTです。

記事執筆時点で8,000個あるLoot NFTのフロアプライスが7.45ETH(日本円でひとつ約290万円)と今世界から大注目されているのですが、いまいちよくわからない人も多いのではないかと思います。

弊社の安宅がLootやNFTについてとても詳しいということで、Lootについて色々と聞いてみる機会がありましたので、皆さんにも共有できたらと思います!


Lootについて

その前に、そもそもLootについてよくわからない人に向けて、かんたんに解説できたらと思います。

LootはNFTの一種です。Vineを創業したDom Hofmann氏が作りました。

これまでゲームや映画のようにプロデューサーや監督がトップダウンで創られてきたコンテンツが、Lootを活用すると、世界中のクリエイターのみんなでボトムアップ型のコンテンツ創出ができるようになるのです。

NFTというと「NBA Top Shot」「CryptoKitties」などが有名でしょうか。ブロックチェーンの性質を活用して、デジタルアートの売買にも活用されています。そういった背景から、デジタルコンテンツのイメージが強いNFTですが、Lootでは8つの文字情報をNFT化しています。

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※画像はDom氏のTwitterより引用

RPGゲームに出てくるようなアイテム(Lootは「戦利品」という意味があります)が8つ記載されており、これらをブロックチェーン上(オンチェーン)で保持しています。Lootではこの8つ入りのアイテムセット(bag)が全部で8,000個あり、8月27日のローンチ後4時間ほどですべて発行されました。初めに入手する際は特にガス代以外は費用が発生しませんでした。現時点でのフロアプライスは7.45ETH(日本円でひとつ約290万円)と非常に高騰しています。

Lootのページには以下のように記載があります。

Loot is randomized adventurer gear generated and stored on chain.
Stats, images, and other functionality are intentionally omitted for others to interpret.
Feel free to use Loot in any way you want.
Loot is the unfiltered, uncensorable building block for stories, experiences, games, and more, in the hands of the community, at no cost. Loot pursues complete decentralization from day one.

Lootは文字だけのNFTですが、それは意図的で、派生的なプロジェクトが発生することを期待して作られていることがわかります。また、Lootが完全に非中央集権的な存在であることから、その派生的なプロジェクトにフィルタリング等の邪魔が入ることを防ぐことができます。

LootのNFTはオンチェーンに情報が格納されています。拡張や派生したプロジェクトを作りやすいことも大きな特徴です。なぜ作りやすいかというと、情報がブロックチェーン上に乗ると、それが誰でも自由にデータを呼び出せるAPI的な機能になるからです。もしどこかのデータベース上に情報が格納されていると、そのデータを参照する場合はそのデータベースのアクセス権限が必要になります。誰もが参照できるブロックチェーン上にデータが置かれていることがLootの注目すべき点となります。

早速、派生プロジェクトも生まれており、例えばLoot保持者にトークンを付与する「AdventureGold」、Loot保持者に所持するアイテムに応じたキャラクター画像を付与する「Loot Character」、8つのLootのアイテムを、個別のNFTに分けて交換ができる「Lootmart」などが上げられます。

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※画像はLoot CharacterのTwitterより引用

その他にも、多くのクリエイター/開発者がLootから派生させた作品/プロジェクトを発表しており、今現在でもその流れは続いています。日本発では、double jumo.tokyo CEO上野氏による個人プロジェクト「Gakuen Loot」やオタクコイン協会&CryptoGames社が行う「Anime Loot」も注目すべきプロジェクトのひとつです。

安宅の考えるLootの可能性

ここからはLootに詳しい安宅とインタビュー形式でLootの可能性についてお伝えできたらと思います。

ーーまずはじめに、Lootをどのように考えていますか?
安宅:Lootはコンテンツ領域のレゴ・ブロックのようなものです。NFT上のLootという規格に乗ることで、あらゆるコンテンツが同士が、”NFTという価値が担保されたデジタルデータ”で繋がるイメージをしています。

ーーLootはどのような点が革新的だったのでしょうか?
安宅:本家Lootが行ったのはその規格の整備と、ひとつの”戦利品(装備品)”としての「コンテンツ」事例を出しただけにすぎません。
NFTが※ERC721の規格でCryptoKittiesという事例から始まったのに近いと思います。
Dom氏がすごいのは、コンテンツが生まれる「始まりのタイミング」を「”文字”による概念の定義(設定資料)」のみにとどめたところにあります。
※ERC721:ブロックチェーンの一つの規格。こちらを参照

ーー文字だけのNFTというのは非常に珍しいと思います。
安宅:NFTがビジュアル中心になっていたところに、”文字”の羅列だけの「違和感」は逆に映える存在となりました。「なんで、この文字の羅列が何百万円もの価値を持つの?」と思う人も多く、それも注目を集める理由になったと思います。

ーーなぜ文字の羅列が価値を持つのでしょうか。
安宅:それは、Lootを持つことで、メタバース世界の構築に参加できるからです。今後、Lootのような共通で使える大元の初期の設定資料から、参加者たちの手によって、親・子・孫・ひ孫と設定が細分化していくでしょう。その一番最初の部分である「親」を決めていく共創に参加できるです。
しかも、その設定資料ごとに「※ガバナンス・トークン」によってマネタイズや関係者の金銭的リターンが生まれることも注目すべき点でしょう。
※ガバナンス・トークン:議決権のようなもので、トークンを持っている量に応じて、プロジェクトの方向性を決める投票が行える投票券(権利)が得られる

ーー「世界の構築」とはどういうことでしょうか。
安宅:これまでのNFTの場合、とある「ロングソード」の絵を見て、これは「ロングソード」と呼ぶということが既に決まっているでしょう。
一方でLootの場合、NFTでまず「ロングソード」という言葉を設定資料的に定義して、そこに紐づく画像などを参加者が自由に創造し、関連付けていくということができます。
「ロングソード」という世界共通の定義や概念ができあがると、それを許諾なしでいろいろなサービスに展開できるようになります。
ブロックチェーンに刻むことによって、それが改ざんできないオープンな設定として、また新しい活用が生まれていきます。

ーー様々なプロジェクトで同一の設定を使うことができるのですね。
安宅:サービスAで「ロングソード」は「ドット絵」x「大きな剣」「重厚な剣」...でも、サービスBでは「アニメ塗り」x「大きな剣」「重厚な剣」...となったりします。「ロングソード」をさらに細かく定義しようという「親」>「子」の「子」の部分の設計もこれから進んでいきます。
今まさに創造されている「親」が一周したら、今度は「子」の概念の創造が進むでしょう。それにも対価が支払われていきます。まるで国家が高速道路というインフラを整えたあとに、運輸業が生まれビジネスが発展していく、みたいなことに近いですね。

ーー現実世界のように、Lootから派生する世界もどんどんと発展していく。
安宅:本家Lootの「戦利品(装備品)」はそれだけだと世界の0.001%くらいしか定義できていないので、派生Lootとして、「地図」や「スキル」や「キャラクター」など、同じレゴの形をしたブロックが次々に生み出されています。
レゴとレゴが組み合うと、世界が立体的になっていく。文字だけだと情報量が少なくて、想像の余地が大きすぎるが、イラストになって音楽もつくと、それはいま人間がいる三次元世界と同等になってきますよね。オープンソース的に編集がなされるWikipediaのように壮大なメタバースが始まります。

ーー新しいNFTを作るのにどの程度費用がかかるのでしょうか。
安宅:本家Lootが存在するイーサリアムメインネットに話に絞ると、このちょっとした言葉の定義をする(追加で派生Lootを生み出す)のがイーサリアムだと現在※10万円以上(ガス代のみ)かかるので、遊びではできないと思います。ですが、そこから生まれる緊張感が本当に世界を作っていくというコミット感を生み出してもいます。コミットにより、質が高まれば、より世界の価値が高まっていきます。
※ガス代がかかる箇所:Loot の8,000個のNFTと、Loot(や派生Loot)自体をつくるときのコントラクトの2種類があります。

ーーLootは今後どのように進化していくと思いますか?
安宅:いろいろなパターンが想定されますが、主力は派生プロジェクト同士が合体、もしくは新しく派生プロジェクトが生まれていきます。最初の設定では網羅できなかった補助パラメータなどをあとから設定することもあるでしょう。

最初から完全な世界に向かって進んでいくのではなく、コミュニティ内の価値観や意見が分かれた場合は別のプロジェクトとして派生してフォークされていきながらも、徐々に進化を続けていくはずです。設定が受け入れられなければ淘汰されるだけなので、コミュニティに受け入れられるまた新しい設定を作れば、Lootはさらに姿を変えていくでしょう。

今回起こっていることは、エンジニア中心だったブロックチェーンの世界が、アーティストやクリエイター中心になっていき、インターネットやメタバースの世界がリッチかつ立体的になることだと思います。

ーー現状、Lootは非常に高騰してしまっており、「世界の構築」に参加するのは難しいように感じます。
安宅:Dom氏が追加で開発した「More Loot」は100万を超える追加のNFTの枠があり、まだ10万ほどしか生成されていません。いまから本家Lootに参加するのであれば、「More Loot」のNFTを持つのが良いのではないでしょうか。(それでもイーサリアムのGAS代で1万円前後は費用がかかります)

また、Dom氏が新たに生み出した「Synthetic Loot」を使うと、「初期設定資料」NFTを持っていなくても、イーサリアムウォレットを持っていれば誰でも無料で、世界の構築に参加してもらえるようになります。
※Synthetic Loot:NFTになっている設定をWebでもかんたんに呼び出せるAPIのようなもの。複数の設定をWeb上で呼び出せるので、NFTを組み合わせて、ゲームやコンテンツを自由に設計することができる。NFTを持っていないユーザーもウォレットアドレスだけで無料で参加できる

コミュニティに受け入れられている「ロングソード」を定義したLootがあったとして、それ自体をNFTで所有しようとすると、すでに数百万円以上もするので、他の人は「ロングソード」を使うことができないのですが、この「Synthetic Loot」によって、その「設定資料」を誰でもオープンに”利用”することができます。

ーーNFTを持っていなくても、設定資料を参照して利用できるのですね。
安宅:「Synthetic Loot」は、所有ではなく利用なので、派生Loot同士を組み合わせた「レゴ」と「レゴ」を組み合わせて恐竜を創る、みたいなことも簡単かつ無料でできてしまう。そうした価値ある合成物ができあがると、この世界で使える「設定資料」ということで評価があがり、元のLootの価値もあがっていく。

あらゆる派生Lootが「Synthetic Loot」に対応すれば、無料で参加できる世界が拡張していきます。個人が、それぞれの得意な才能を発揮して、世界の構築を行います。プログラミング、イラスト、ストーリー、音楽。人の才能をリアルタイムで見られる体験は本当にゾクゾクします。まるで、あなたはどの世界の一部を創りますか、とLootは問いかけているようです。

※NFTについては以下にも記事がありますので、ご興味ある方ご覧ください!

記事をご覧になって、「NFT」活用によるグローバル展開にご興味ある方は、Tokyo Otaku Modeでお手伝いできることあがあるかもしれませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
https://corporate.otakumode.com/contact

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