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限りある人生の「時間」について考えたい時おすすめしたい3冊の本について

「もう1月も半分が過ぎたんだよ、信じられないよね」

と笑いながら友人が言った。
周りにいた人たちも一様に頷いていた。

「光陰矢の如し」といわれるくらい時間は早く過ぎ去る。

日常生活のなかで矢が飛んでいる光景を見かけないので実感が持てないですよね、なんて屁理屈を言っている間に3秒が過ぎ去る。

映画監督、小津安二郎はいつも肌身離さずストップウォッチを持ち歩いていた。カットにかける秒数を計測していたのはもちろん、限りある時間への繊細な心配りが表れているようだ。

僕も昨年、中古のストップウォッチを購入した。時間は音も立てずに過ぎ去っていくけど、アナログのストップウォッチは「カチカチカチカチ・・・」と時間を音声化してくれる。時間に対してより意識的になれるアイテムだ。

僕は「時間」にまつわる物語が好きだ。

映画でいえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような時間を超えるものが好きだ。過去にも未来にも次のカットでいけるのは、映画の極めて素晴らしい側面の1つだと思う。

また限りある人生の「時間」について考えたい時おすすめしたい本を挙げるとしたら3冊ある。

①セネカ「人生の短さについて」

②オリバー・バークマン「限りある時間の使い方」

③ミヒャエル・エンデ「モモ」

どれも「時間」に対してより意識的になれる名著だ。

しかし、このような本を読んで「時間」について考えることは、ある種の不愉快さを伴う副作用のリスクがある。まるで自分のこれまでの時間の使い方が悪いかのような責められる気分を味わう可能性もあるからだ。

しかし苦い青汁を飲んで自分の健康をいたわるように、たまには副作用リスクのある名著を読んで人生の時間を考えるのも悪くない。

どれも素晴らしいので全部おすすめしたいところだが、直感的に好みで選んでもらえるように、画像生成AIを使って僕なりに3冊の本を擬人化してみた。

①セネカ「人生の短さについて」

これはあくまでこの本に対する僕のイメージです。いきなり厳かな雰囲気ですね。内容はとても愛があるし示唆に富んで素晴らしいんですよ。でも言い方が容赦ないんです。手痛いビンタを喰らわされるような。でも、ちょっとやそっとの刺激じゃいつまでも変われない!という危機感を持っている人にはおすすめですね。

ちなみにちょっとでも雰囲気を垣間みたい人のために、あえて一言引用するならこんな感じ。

人はようやく生きようと思った時には、死が近づいているのである

セネカ『人生の短さについて』古典新訳文庫より

ね、いや〜な言い方してくるでしょ?笑

②オリバー・バークマン「限りある時間の使い方」

この本はこんな感じね。わりとスマートな、それでいて優しさもあるような。「人生はたったの4000週間しかないから、自分が7-8割くらい満足するようなことをやってたらいつまでも本当の望みは叶えられないから10割満足することを優先的にやろうね」っていう感じの本。セネカさんよりは優しいけど時にハッとさせられるような、とても現実的な感じが良いね。

そして、僕が今回、一番おすすめしたいというか、最近読んで、衝撃的に感動し、このnoteを書こうと思う動機にも至ったのが児童文学本『モモ』。

③ミヒャエル・エンデ「モモ」

小さな女の子が主人公の物語なんだけど、本の全体としては賢者感がすごい。セネカほど厳しくなく、オリバー・バークマンほど現実的過ぎない、それでいて読めば読むほど深い味わいのある物語。

児童文学本なんていう佇まいに思わず見逃しておりましたが、これはまさに、大人になった僕らが読むべき本だと思った。

直接的に答えを指し示すのではなく、時間に対する僕らの意識や想像力の余白を広げてくれるような本です。

この本の具体的な内容について語ることは、みなさんの楽しみを奪ってしまうようでためらわれるので、この本の訳者である「大島かおり」さんのあとがきを引用したい。

人間の心のうちの時間、人間が人間らしく生きることを可能にする時間、そういう時間がわたしたちからだんだんと失われてきたようなのです。このとらえどころのない謎のような時間というものが、このふしぎなモモの物語の中心のテーマです。

ミヒャエル・エンデ『モモ』岩波少年文庫より


以上、3冊の本の紹介でした。

『君たちはどう生きるか』を、あえて言い換えるとしたら『君たちは何にどれくらいの時間を費やしたいか』ということかもしれない。

手厳しいセネカさんもこんなふうに言っている。

人生は浪費すれば短いが、過ごし方しだいで長くなる

セネカ『人生の短さについて』古典新訳文庫より

令和の時代に「タイパ」という言葉が生まれた。

タイムパフォーマンスの略で、費やした時間に対する満足度の度合いを示す言葉だ。

「おすすめ3選」というのはタイパの時代には相性がいいかもしれないが、noteで時間をかけて紹介するのはタイパ至上主義の人には嫌われそうだ。でもタイパ意識が強い人ほど『モモ』という本をおすすめしたい。

おすすめしたい本をわざわざ生成AIで擬人化することが良かったかどうかはわからないし、たまたま全員おじさんになってしまったことも良かったかどうかはわからない。

ただ何にせよ、いろいろ試してみたことで、たとえそれが口を塞ぎたくなるような失敗であったとしても、そこでの気づきを「時間」を超えてみなさんにシェアできるのは、noteの極めて素晴らしい側面の1つだと思う。

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