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陰謀論映画「アンダーザシルバーレイク」

アンダーザシルバーレイク

全然映画のアンテナ張ってないので、プチ話題になってたの知らなかった本作を早稲田松竹で鑑賞。とてもツボりました。

過ぎ行く日常に課題や使命が与えられている時、それは大部分の場合仕事を指すかもしれないが、大抵の人はそれをこなす。
それらをこなして報酬を与えられ、また明日、また明後日、また来年、死ぬまでの人生の道筋を作る。
逆にそれらがないと考えた時、人生には長い空白ができ、それらを埋めるものが必要になる。

この映画の主人公は脚本家を夢見ながら、なかなか芽が出ず、人生に空白を作ってしまった男の話だ。
舞台はハリウッド、夢追い人が集まる街、シルバーレイク。夢を見つつどこか浮ついた青年に突然訪れる恋。そして突然消えてしまうその女の証跡を辿っていくと、この世界及び自分の存在価値をひっくり返してしまいそうな隠された事実が待ち受ける。

そんなストーリーだけでちょっとそそるのだけれど、わかりやすいアウトラインの中でデビッドリンチ的な不可解な出来事や話の飛躍が混じる点がサブカルセンサーを刺激します。また、村上春樹的な僕と僕をめぐる世界の冒険感もあり、もやもやわくわく感溢れるのもたまらない。

主人公は全く働いていないし何も生み出していない。そんな中で手がかりをおって、その消えた女を捜索するのが、そもそも捜索している女なんて一度会っただけでロクに中身も知らないのに執着してしまう感じ、ゲーム感覚で依存的にそれを解決しようとしている感じは、何ともオタク的だ。

それでも次から次へと課題や関連情報が出てきてのめり込んでいく感じは、ネットサーフィンをしている時に現れる関連動画や、ふと調べ物をするためだけにスマホを触ったら余計な情報まで調べだして止まらなくなってしまう習性を醸し出す。

何かの解説で菊地成孔か誰かが、この主人公はスマホを使わずに足を使って調べる点で、アンチスマホを表現していると言ってて面白かったが、彼の行動それ自体が私はスマホでやっていることだなぁと思わずにはいられませんでした。

次から次へと与えられるいわば「餌」は、広義において我々が享受してきたポップカルチャーへの愛なども虚構である…
なんて都市伝説的なオカルトにまでつながる奇想天外なストーリーとほどよいわからなさがぐっと心を鷲掴みにする。
その辺が人生の空白ともつながってくるのだけれど、この辺は見てのお楽しみに。私たちの空白にもグッと刺さる物語でしょう。

そういえば19世紀に社会保障が生まれたのって、もちろん格差是正や生活改善もあるけれど、産業革命で必要となった人というリソースをしっかり維持するためという体制側の思惑もあったのだと、予備校教師が言っていたのを思い出しました。

最後に、主演のアンドリューガーフィールド結構好きて、アメイジングスパイダーマンやハクソー・リッジ、沈黙にも出ているけれど、
母性本能くすぐる可愛いダメ顔にグッとやられてしまう、まさしくこの役どハマりでした。


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