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ホバークラフト作ってみたよ!【第9話】

このお話は、物語でなく実話です。

モノづくりが好きな人は楽しめると思います。何を作ったかというと、パーソナルホバークラフト…しかもキャビン付き…???そんなの見たことないんだけど…それもそのはず、このパーソナルホバークラフトは、80年代のお話しなんです。今回はその9回目、ビジュアル多めです^^


INDEX

  1. 自動車屋が創ったホバークラフト

  2. “ほな、やりまひょか”

  3. “なかなかイイじゃないか” 

  4. 強制操舵 ・ 非常ブレーキ、‟何やそれ ?”

  5. 自動車エンジニアが設計したら、エアクッションヴィークルはこうなる

  6. スタイリングだけじゃなく、センスが良いカラリングで行こう

  7. 1年がかりの 「設計承認」

  8. 放映日ギリギリのきわどい撮影

  9. 久米島 ・ イーフビーチが呼んでいる

  10. 撮影日がシェイクダウン航行 “トホホ‥‥(汗)”

  11. マーケティングもイノベイティブに

  12. ものすごいパブリシティに、業界も騒然

  13. 初めて見るエアクッションヴィークルに大興奮

  14. “カタログもハイセンスね”

  15. 世界に144個しかないジッポー SENSOR ACV 300 S ライター

  16. 販売会社設定に全国へ旅ガラス

  17. 海を汚さないエンジンオイル

  18. これぞ逆転の発想 ・ エンジン倒立搭載

  19. ‟ブルネイ王室ご用達~ !”

  20. トランポだってお洒落に

  21. レースに初出場、ノーマル艇でトップ

  22. “フロリダで生産して、アメリカとカナダで売らせてくれ”

  23. アメリカへ旅立った SENSOR ACV 300

  24. フロリダ州の新天地で

13.初めてみるエアクッションヴィークルに大興奮

アーバンリゾートフェア神戸にて、海王丸をバックにデモ走行の様子

SENSOR ACV 300 の販売体制を整えているときに、正規ディーラー候補会社を対象にして、各地で10回ほど試乗会を開催した。これは販売を手掛けたい人が対象だから、一般の人は判らない。 
 よって、同時期に、多くの人に SENSOR ACV 300 を知って貰い潜在ユーザーを発掘する作業も抜かりなく実施した。展示会 ・ イベントデモンストレーションのほか、一部の会場では試乗会も実施した。
 ACV (ホバークラフト) を初めて身近で見る人達は大興奮だ。陸上での同乗試乗会は SENSOR ACV300 U で行い、当社のドライバーが操船し横に来場客を1人づつ乗せて2~3分旋回する。

水と陸を自由に行き来するロケ―ションならなおイイが、人が集まる場所でそういうセッティングは不可能だし、1人でも多くの人に乗って貰いたいから、陸上の大きなサークルの中で旋回した。
 サークルは直径30mくらいで、見物の人たちが外周を囲む。ACV は細かい舵が切れないし停止距離も長いから、低速走行だけど万一暴走すると危険性もあるので、旋回する周囲に8人のスタッフを配して中心部へ押し戻す。空気膜に乗って滑ってる状態だから、押せば素直に動いてくれる。

 ほとんどの人が乗るのは初めて、“空飛ぶ絨毯もこんな感じかな ?” と大満足してくれた。みんな興味津々で順番を待ち切れない様子だった。まさに 「行列が出来る試乗会場 (笑)」 だね。 展示やイベントの要請も多くいただき、あちこちで多彩に実施した。

〇 東京国際ボートショー (幕張メッセ)
正規ディーラーの1社がボート販売業界の老舗だが、ボートショーのど真ん中の自社ブースで展示してくれた。端っこのブースというんじゃなく、ど真ん中だけに反響が大きかった。

東京国際ボートショーにて

〇 出光エナジーボックス (銀座 ・ 三原橋)
スポンサーの1社 「出光興産」 が、銀座 ・ 三原橋に所有するエナジーボックスという展示場で、かなり長期間展示してくれた。このときは SENSOR ACV 300 S の グリーン ・ ホワイト ・ パープルという希少なトリコロール仕様で、改めてカッコ良さと美しさを見せることができた。

出光エナジーボックスにて
出光エナジーボックスにて

〇 東急プラザ (渋谷)
渋谷のど真ん中 「東急プラザ (ファッションとグルメの総合ビル)」 の入り口でも展示した。販売促進グッズのほとんどを東急ハンズから購買していたので、そういう縁もあっての展示だ。この場所は多くの人たちが出入りするゲートウェイで、時代の先端を行く “渋谷ッコ” たちが “何コレ、超カッコいい~、シブいヤ~” とか言ってたのかな。

東急プラザにて

〇 アーバンリゾートフェア神戸 (神戸港)
確か神戸市が主催したビッグイベントで、多彩なデモンストレーションを実施した。レッド ・ ブルルー ・ ホワイトのトリコロールカラー SENSOR ACV 300 U の展示と同乗試乗会。グリーン ・ ホワイト ・ パープルのトリコロールカラー SEMSOR ACV 300 S によるデモンストレーション走行だ。 このデモ走行は、何と、神戸港のど真ん中にある埠頭と埠頭の間の海域を航行するもので、埠頭は黒山の見物人で埋まった。係留中の 「海王丸」 を背景に、SENSOR ACV 300 S が航行するシーンは、2度とみられないでああろう貴重なものだ。

アーバンリゾートフェア神戸にて
アーバンリゾートフェア神戸にて

〇 アベビッグフェスティバル (静岡市)
これも静岡市の主催だったと記憶しているが、静岡市の真中を流れる安倍川で夏祭りが行われ、地元の正規ディーラーが参加した。このイベントでは、安倍川の水と砂利の中州を自由に出入りするデモ走行が、多くの来場者を魅了した。

アベビッグフェスティバルにて

〇 三菱ファミリーモータースポーツフェア (筑波サーキット)
三菱自動車が、筑波サーキットを舞台に開催したモータースポーツフェスティバルの会場でも、SENSOE ACV 300 U の展示とデモ走行をした。ジムカーナ場で、ドリフトじゃなく90°真横に滑る走行を見たモータースポーツファンは、ビックラこいただろう。ちなみに、三菱自動車の有力ディーラーの1社が、当社の正規ディーラーにもなっている。

三菱ファミリーモータースポーツフェアにて

14. “カタログもハイセンスね”

SENSOR ACV 300 S & U の写真 ・ ビデオ撮影もそうだが、2タイプ ・ 2言語のカタログ制作も、広告代理店に丸投げしないで、自社企画 ・ 自社制作で実施した。もちろん、実際の作業は専門家に委託したが、有能なクリエイターに恵まれてみんなイイ仕事をしてくれた。

カタログは、SENSOR ACV 300 S & U それぞれに作り、最初から輸出も考えていたので英文仕様も同時に制作した。SENSOR ACV 300 の製品開発でもそうだが、このプロジェクトは技能とセンスを併せ持ち、かつ、“どうしたら最良のものが出来るか” 考え実践するクリエイターたちに恵まれていた。

カタログ制作でも、当社はどういうモノを作って ・ 誰に ・ どういう風に伝えたいか‥‥意図を明確に示したら、あとは細かいことに拘らすクリエイターに一任する。

頭脳 ・ 感覚 ・ 技巧を併せ持って、こちらが何を求めているか解釈してソリューション (解決策) を出してくれるクリエイターは最高だ。自称クリエイターが溢れ返っている社会で、本当のクリエイターに巡り合ったのは最高だ。知人のグラフィックデザイン会社に委託したが、担当デザイナーが素晴らしかった。

 ポスターであれカタログであれCMであれ、自動車会社などが大手広告代理店に委託する作業なんか、カンプ (デザインやレイアウトの仕上がり見本) やコンテ (シナリオをもとにして、画面ごと実際の撮影に関する細かい指示を書き込んだもの) を何種類も作って協議しても意思決定に時間が掛かる。
 当社は、コンセプトが明確であったうえに、会議して決める訳でもないし、意図を敏感に汲み取ってくれた優秀なクリエイターに負うところが大きい。

 SENSOR ACV 300 S は、世界初のジェットファイターキャノピー付シングルシーターだから、そのインパクトを表現する強烈なデザインだった。表1 (表) ・ 見開きのP3 ・ 表4 (裏) がブラックベースで、カンプを見たときはビックリしたけど、すぐに “これイイね、これでいこう” と承認した。

ブラックベースのACV300Sの表紙
ACV300S コンセプトページ
ACV300S スペックページ
ACV300S 見開きページ

SENSOR ACV 300 S & U は、1艇を持ってればアッパーボディとシートを交換するだけで、簡単にスタイリングチェンジできるという世界初のコンバータブル仕様だが、U ではガラッとイメージを変えて、グリーンベースにした。S カタログも U カタログも “カタログもハイセンスね” と言って頂けた。

グリーンベースのACV300Uの表紙
ACV300U コンセプトページ
ACV300S スペックページ
ACV300U 見開きページ

 カタログで使った写真は、すべて4社のスポンサーロゴマークを貼った写真が使用されているファクトリー仕様だから、注文を頂いたユーザーの多くが “これが欲しい” と要望されたけど、スポンサー各社の商標権との関係で実現しなかった。買ってから、カッティングシートでステッカーを自作して、ファクトリーモデルと同じルックスにしたユーザーが何人かいたのは嬉しかったね。

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今回はビジュアル多めで見ごたえありましたね!
80年代の華やかな雰囲気をちょっと味わえたかな…カタログの構成なども当時の自動車などと同様の作りだったのでしょうね、それぞれの製品によって明確に作り分けられたカタログが新鮮です^^
思えばウインタースポーツも花盛り、夏もマリンスポーツで盛り上がりたい、そんな時代だったのでしょうね、なんか眩しい感じがしました、こんな日本がそのまま続いていたらなあ…なんて思いながら様々なカタログや写真をみていました^^

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