"13種類のナルシスト"パターンと対処法
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)とは、10種類の診断可能なパーソナリティ障害の1つであり、強大な自己イメージと共感(エンパシー)の欠如によって定義できます。
ナルシストは、内面的な自己価値を見いだせないため、他者からどう見られ、認識され、扱われるかを優先し、特別で重要な存在だと思われるために周囲に気を配り、賞賛を受けようとします。
そんなナルシストは、ナルシスティックサプライ(ナルシスト供給:絶え間ない注目と賞賛)が得られないと、ナルシシズム崩壊を起こします。
ナルシシズム崩壊は、防御的、否定的、激怒、衝動性、激しい暴言、他者への害を与え、その後すぐに収まり、個人的な不安と恥が暴露されるのです。
これはナルシスト傷害と呼ばれていますが、この防御メカニズムは、健全な人間関係の形成と維持の邪魔になる可能性があります。
ナルシストチェック
DSM-5によると、NPDを持つ人は、以下のうち少なくとも5つが当てはまります。
壮大さ
・現実・誇張された成果の自慢
・しつこく優位性を示す
・自分を賞賛するよう導く特殊性と自尊心
ナルシストの権利
・自分の重要性、優位性、独自性は、他者からの特別扱いや、多くの注目を得るべきであるという信念がある
共感の欠如
・共感を感じられるが、必要性を感じない
・共感を役立つと信じていない
空想の成功
・自己評価、自尊心、自己価値は低いが、権力や富の獲得などについて、大げさに考えることを好む
賞賛の必要性
・自己価値の感覚が低いため、自分自身を構築するために、他者からのフィードバック(賞賛)を求める行動に従事する
見下す行為
・傲慢になることで、自分の劣等感を補う
・業績の自慢、成功の誇張、自分自身を持ち上げるために他者を見下す
優越感
・賞賛や優位性の達成だけでは不十分
・自己評価、自尊心、自己価値を高めるために、他者よりも優越感に浸る
他人からの搾取
・ニーズを満たすために嘘をつき欺く
・自分でやらずに他者にやらせる
・他者に非現実的な要求をする
適応・不適応ナルシスト
ナルシシズムは様々な状況や方法であらわれる可能性があり、一部のナルシストは、人生の成功のために、その特性を活用しています。
適応ナルシストは、目標を達成するのに役立つ方法でナルシスト特有の自信と権利の感覚を使います。
不適応ナルシストは、ナルシストの強みをポジティブに使うのではなく、ナルシシズムのネガティブな特徴をあらわします。また、自分の強さを感じるために認知的戦術、対人コントロール、軽蔑などを使用します。
13人のナルシスト
ナルシシズムは様々な状況や条件下によって発生するため、NPDと診断されたとしても、人によってナルシシズムの表現方法が大きく異なることがあります。
NPDは公式のDSM-5診断ですが、より具体的なタイプのナルシストを以下にご紹介していきます。
1.あからさまナルシスト
・ナルシストの原型
・強大さの提示、業績の誇張、他者を計画的に感動させるよう行動する
・過度な自己評価は、自分を特別で優秀だと信じ込ませる
・自分の欠点は認めないが、他者の指摘はする
・注目を集め、自慢のために聴衆を構築する
・外向的な人格や人柄を演じる
・魅力とカリスマ性で偉大さを納得させる
・共感の欠如による暖かさや心地良さの欠如
・表面的な人間関係
2.傷つきやすいナルシスト
・計り知れない感情的な脆弱性
・慢性的な嫉妬心、心配性
・恥ずかしがり屋で控えめ
・自分を卑下する
・他者の幸福、所有物、人間関係に対して自分自身を比較し判断する傾向
・一人で過ごすことが多くNPDのタイプの中では高い自殺率
3.警戒心ナルシスト
・常に脅威に目を光らせて警戒をするハイパービジラント(過度な用心深さ)の特性を持つ
・他者からの批判や誹謗中傷を常に監視する
・極端に拒絶を恐れている
・他者の無害な行動に軽蔑や侮辱をする
・過度な警戒心により、他者が居るとリラックスできない
・社交、人間関係が苦痛
・他者から注目と賞賛に値する自己評価を持っているが、社会的な拒絶などのリスクに対処できない
4.大げさナルシスト
・誇張された、気取り、優越性、時間への配慮の欠如
・標準的なNPDよりもアサーティブ、外向的、搾取的な場合がある
・自己能力と知性を強く信じているため、専門家や上司に強い不信感を示す傾向がある
・賞賛を与えてくれる人々を引き寄せ、自分の重要性、目的、能力、アイデンティティについての虚偽または誇張された信念を養う
5.自己顕示症ナルシスト
・注目の的になることに固執している
・他者からの賞賛を切望し、注目されるために多大な努力をする
・自分の信念と同様の仲間に囲まれていたいと思っている
・笑顔の方法、身に付ける物、話術、行動の方法などを他者に教授する
・人生に関するすべてのキャラクターをコントロールしたいと考えている
・自分が特別で優秀であると完全に信じている
・人間関係の破壊、写真や画像の爆撃などをするが、悔い改めない
6.性的ナルシスト
・自分の性的満足とニーズを優先する
・性的パートナーへの共感の欠如
・性的尊敬に対する特殊な感覚
・性的パフォーマンスに対する賞賛への期待
・好きな時に好きな場所でセックスをする権利があると感じている
ナルシストとのセックスは、最初はロマンチックで情熱的ですが、実際は、ナルシストがパートナーを制圧する方法なので、一方的で、取引的で、潜在的に攻撃的になります。
・肉体的な親密さを重視する
・性的パフォーマンスに自信を持っているが、感情的な親密さについては困難を示す
7.執念深いナルシスト
・意見の相違、バウンダリーセッティング、拒絶、批判に過敏
・決して認めないが、上記によって非常に傷つく
・不合理であると認識する人に対して、攻撃性や脅しで対応することがある
・他者のキャリアや評判の妨害、怒り、脅迫、悪い噂を流す
・対象者に自分の認知的戦術が通用しなかったとしても、対象者についての意見は変わらない
8.悪性ナルシスト
・NPDと反社会性パーソナリティ障害の両方の症状を示す
・傲慢さ、権力と賞賛への固執、共感の欠如、他者をコントロール、搾取、虐待の喜びを持つ
・典型的なNPDよりも多くの障害、人間関係の困難、治療に対する強い抵抗の傾向がある
9.敵対的ナルシスト
・敵対的な性格とナルシストの特性が融合している
・他のナルシストタイプよりも魅力が欠如しており、権利意識、傲慢、共感の欠如、他者の幸福を無視するという特徴を持つ
・敵対的な性格により非常に防御的で、他者の意見から最悪の事態を想定し、あらゆる軽視に怒りをもって反応する
10.ソマティックナルシスト
・肉体に対する認識から優越感、権利、自己評価、自己価値の感覚を引き出す
・自分の姿と周囲の物理的な空間を使って、ナルシシズムを表現する
・自分の美しさ、強さ、フィットネスに自信を持ち提示する
・外見に執着し、他者の外観を批判する傾向があり、根本的な不安と低い自己評価と自尊心を持つ
・セックスで自己価値と優位性を示すことがあるが、性的ナルシストのように自己価値を築くためにセックスを利用しない
11.脳ナルシスト
・知的な専門家として認識されることがナルシスト供給となる
・自己中心的で、知識の自慢、他者に対して過度な訂正、他者の知能を軽視する傾向がある
・一般的には賢いが、根本的な不安と洞察力の欠如を隠すために、実際よりも教育を受けているかのように振る舞う
12.スピリチュアルナルシスト
・信仰と他者をコントロールし、影響力から自己価値を得る
・スピリチュアリティを使って、恥、恐怖、ガスライティングによって他者を傷つける
すべての会話にスピリチュアリティと信仰を散りばめ、本人のスピリチュアルなアプローチで他者を判断し、それ以外は無視し、自分が正しいことを証明するために聖書なども使用する。
誰でもスピリチュアルナルシストになることができますが、彼らは、ある程度の権力や地位がある人、大きな人生の転機の経験者などが、人生を生きていくサポートとしてスピリチュアルに目を向けたという人々です。
13.共同体ナルシスト
・共同環境の中で壮大で膨らんだ認識を持つ
・並外れた可能性と能力を信じており、自分を地球上で最高の存在、ヘルパー、社交者、慈善家と考えている
・実際は、焦点のほとんどは自分のニーズを満たすことなので、かなり偽善的
ナルシストの対処法
ナルシストに対処するのは困難で疲れる場合がありますが、練習してパターンなどを学んでいくと、より楽に対処できるようになります。
ナルシストに対する健全な対処法
・対立を避ける
・バウンダリー(境界)セッティング
・自分自身を教育する
・セルフケアの実践
・ナルシストから離れる
対立を避ける
ナルシストは批判に対して強烈で攻撃的な反応を示す傾向があります。苦しみを減らすために、可能であれば対立を避けましょう。
バウンダリーセッティング
バウンダリーセッティングをする時は、適切な行動と不適切な行動について明確にしましょう。容認できない行動、例えば「陰で私について話さないでください」など、必要に応じて何度でも主張をしましょう。
自分自身を教育する
ナルシシズムとその影響について学ぶことで、人間関係の経験を活かし、自己検証をし、正当性を感じ、ナルシストの行動を詳細に認識できるようになります。
真に受けない
ナルシストの意見を内面化するのは、不健康な自己批判のパターンにつながる可能性があります。ナルシストの意見は単なる判断(必ずしも事実ではない)であることを思い出してください。
サポートを求める
あなたに起きた経験を検証できる他者の存在は、感情的なサポートを得るために重要です。ただし、近い関係者からサポートを受ける際は、さらなる対立を避けるため、共有する情報に注意をしましょう。
行動を強化しない
ナルシストにとって望ましい行動を強化しないように注意しましょう。つまり、笑顔や同意によって、それらの特性に好意を寄せることは避けてください。
セルフケアを実践する
ナルシストは認知的戦術として、無関心、後回し、軽蔑を使用するかもしれません。これらの影響に対処するために、セルフケアを実践しましょう。ジャーナリング、運動、趣味なども良いでしょう。
ナルシストは変わることができるか?
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)は、パーソナリティ障害であるため、多くの人は変わらないと信じていますが、実際は、NPDの人が治療をする意思があれば、他者への共感やナルシスト行動について取り組むことができると思います。
しかし問題なのは、自己認識のギャップにより、多くのナルシストは治療を求めることがなく、ナルシスト行動の正当性を信じている場合、それが変わる可能性は低いのです。
多くの場合、不安障害やうつ症状などの治療からナルシストの特性がわかり、最終的に治療へと向かうパターンがありますが、そのようなケースによる治療の成功は、確率に依存するしかないというのが実情です。
ナルシズムを管理するために
パーソナルセッションやセラピーは、あらゆるタイプのナルシストや、彼らと交流する人にとって有益です。
ナルシシズムに関連する思考パターン、感情、行動の調整は、認知行動療法(CBT)などの技術を通じておこなうことができます。
ナルシストと交流中もしくは交流の可能性がある場合、ダークトライアドに関する特徴や対処法などを学ぶことも有意義となります。
おわりに
ナルシストとの人間関係に苦労している場合は、ナルシシズムについて学んだり、コーチやセラピストを見つけることから始めましょう。
私的な見解ですが、自分にナルシストの傾向を感じている人には、大きな希望があります。
なぜなら、ナルシストには長所があるからです。
人は皆、ナルシストの短所を変更する方法に着目をしてしまいますが、先述の適応ナルシストのように長所を伸ばす方法もたくさんあります。
その人に合った治療法を実施することで、より良い人生を送ることができると考えています。
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