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自尊心・自己評価・人間関係が向上する「バウンダリーセッティング」の方法

バウンダリーとは、「自分と他者を区分する意識的な境界」のことで、より詳しく言えば、「自分はどの範囲の事柄にまで責任を負うべきか」という認識のことです。

ほとんどの人は、過去の体験や他者から聞いた情報を基にして、無意識的なバウンダリーセッティングをしています。

これは、全財産の入った心の金庫のセキュリティパスワードを、無意識的に設定しているのと同じです。

また、自分に合ったバウンダリーセッティングをすることによって、自尊心や自己評価、人間関係の質を向上させることができます。

バウンダリーセッティングの方法

バウンダリー(境界)は、コミュニケーションの基盤となり、お互いを尊重する感覚や、他者からのガスライティングやコントロールを制限します。

私たちは、それぞれに人間関係の限界があり、その限界を無視すると、否定的な感情につながる可能性があるのです。

健全なバウンダリーを持つ人は、自分のニーズを高く認識している傾向があり、アイデンティティを大切にし、他者からの影響に妥協をしません。

バウンダリーセッティングは重要なスキルですが、学校では教えられておらず、ほとんどの人は実際にバウンダリーセッティングの方法を知りません。

もちろん、バウンダリーに苦しんでいる両親たちは、子供たちにバウンダリーセッティングを教えることもできません。

とはいえ、この記事をご覧頂ければ、あなたの現在の状況に関係なく、健全なバウンダリーセッティングの方法を学ぶことができるでしょう。

1.優先事項のリストアップ

あなたにとって譲れないものは何ですか?
あなたの人間関係の限界は?
あなたが曲げられないルールは何ですか?


上記は、人間関係の最も重要な優先事項であり、バウンダリーセッティングの最初に焦点を当てる部分となります。

バウンダリーには多くの内容があり、

・物理的(パーソナルスペース、接触など)
・感情的(それによってポジティブ、ネガティブになる行為など)
・道徳的なこと(法律を前提とした、より詳細な許容範囲など)
・財政的なこと(金銭の貸し借り、支払いなど)


これらの条件が関与しますので、まずは現状の自分のバウンダリーをリストアップすると良いでしょう。自己認識は変化への第一歩です。

2.直感を意識する

頭の中で聞こえるしつこいつぶやきは、ほとんどの場合、良い思考ではありません。

もし、次にそのつぶやきが始まったら自分を正しい方向へ導くチャンスです。そのつぶやきに対して、意識的に耳を傾けてみましょう。

研究では、私たちの直感は、無意識的に情報を処理して、より良く、迅速な判断を下すということが分かっています。

例えば、知人から食事に誘われた時、頭の中で否定的なつぶやきが聞こえたなら、あなたにとって正しいオファーではないと認識すべきかもしれません。

もちろん、私たちは時々やりたくないことをすることがあります。

自分の限界を超えて人間関係の対応をしている時、あなたは直感に耳を傾けていないことがほとんどでしょう。

つまり、自分のバウンダリーを尊重していない可能性があります。

3.ニーズに責任を持つ

どんなに友人や家族を愛していても、他者に依存することのない人生を計画しましょう。それは、自分の人生に責任を持つということです。

・自分の感情を人のせいにしない
・不利、困難な状況を成長の一部と認識する
・自分の行動後、どうなるのか予想する
・自分を含めた最善のメリットを選択する


自分の人生とニーズに責任を持ち始めると、良い意味で、他者に対して強い期待をしなくなります。

また、自分の状況を自分でつくるという考え方に基づいて、バウンダリーの無駄を省くのです。

4.「NO」トレーニング

「NOという言葉は良くない」という先入観がありますが、他者にNOと言うことは、自分にYESと言うことを意味する場合が多々あるはずです。

とはいえ、シンプルにNOと言うことを不快に感じるのなら、以下のバリエーションを試してみましょう。

「できればいいのですが...」
「残念だけど、それは私には合わないみたい」
「私のことを考えてくれてありがとう、だけど、それはお断りしなければなりません」
「今回はできません」

様々なバリエーションでNOを伝えることができますが、NOの理由については嘘をつかないようにお気をつけ下さい。

白い嘘(相手を傷つけないようにつく嘘)は無害に思えるかもしれませんが、自分が言ったことを忘れたり、自分の嘘に巻き込まれる危険性があります。

5.アイ・ステートメントを使用する

アイ・ステートメントは、相手を攻撃することなく、自分のニーズや感情を伝えることができるので、バウンダリーの適用には効果的です。

そうは言っても、繰り返しアイ・ステートメントを続けていると、言葉が徐々に非難的になり、相手は防御反応を示し、ネガティブな感情を永続させる傾向があります。

アイ・ステートメントは明確であるべきですが、口調と言葉選びに注意しましょう。

コミュニケーションの目的は、相手の罪悪感や恥を誘発することではありません。自分のニーズを主張し、相手と合理的な解決策を決定していくことです。

適切なアイ・ステートメントには以下のようなものがあります。

「あなたが○○した時、私は○○感じました」
「私は本当に○○」
「私は○○願っています」
「今後、私は○○」

6.過度の謝罪を避ける

謝罪をしても、相手があなたについてどう思うかは変わらないことがあります。

例として、2つのバウンダリーによる謝罪を比較してみましょう。

1.申し訳ありませんが、○○なので会議に出席できません。次回は参加したいと思います!

2.大変申し訳ありませんが、会議には出席できません。私は今、大変な状態です。この会議が重要だったことは知っていますし、本当に行きたいと思っています。私は土壇場でキャンセルすることをとても残念に思います。あなたの時間はとても貴重です。私はとても失礼なことをしてしまったと思っています。本当に申し訳ございません。

1.では、不便に対する簡単な謝罪でバウンダリーを示しています。

しかし2.は、バウンダリーが罪悪感と恐怖によって混乱しています。また、バウンダリーセッティングをしているにもかかわらず、他者にバウンダリーを確認するように懇願しているのです。

7.一貫性のあるバウンダリー

相手によってバウンダリーをコロコロ変更して一貫性がないと、あなたの主張や要求は軽く見られてしまいます。

一貫性のあるバウンダリーとは、瞬間的には判断に困ったとしても、最終的に必ず自分のバウンダリーを重んじるという意味です。

良くない例としては、

職場でのバウンダリーセッティングとして、「さぼるような同僚の仕事はサポートしない」と決定しておきます。

ある日、同僚が仕事をさぼって先延ばしにしました。翌日、同僚から助けを求められますが、自分のバウンダリーに忠実にキッパリと断りました。

しかし、夕方、何となくその同僚の仕事をサポートしてしまいます。

この行動によって同僚は、「困ったらあなたに頼めばいいんだ」と認識してしまい、その後も同じようなパターンを繰り返すでしょう。

だからこそ、一貫性のあるバウンダリーが重要なのです。

8.定期的にバウンダリーのメリットを思い出す

バウンダリーセッティングは、他者のために生きてきたり、それに近い人間関係をつくってきた人にとっては、とても重要な項目であると感じて色々と考えてしまうはずです。

時には、相手があなたのバウンダリーを尊重しないこともあります。その際、あなたは「バウンダリーセッティングに、それだけの価値があるのかな?」と、疑問に思うかもしれません。

上記のような状況に悩まされないように、定期的に以下のメリットを思い出すと良いでしょう。

・バウンダリーは自尊心や自己評価を高める
・バウンダリーは否定的な感情から守る
・バウンダリーはニーズを叶える
・バウンダリーで健全な人間関係を得られる
・必ずバウンダリーセッティングはできる


もしも、バウンダリーセッティングに苦労していたら、強力なバウンダリーを持っている人をイメージしてみましょう。

9.専門的なサポートを求める

時には、自分で考えるだけでは不十分なこともあります。コーチングやセラピーは、バウンダリーセッティングを容易にするサポートができます。

また、バウンダリーセッティングができても、自己主張が苦手な場合には専門的なトレーニングをおこなうことも可能です。

もちろん、バウンダリーセッティングに関連する感情的な不安や否定的な思考などを管理するサポートも存在します。

一般的なバウンダリーセッティングに対する障壁は、

・トラウマの記憶
・虐待の経験
・うつ症状、不安障害など
・自尊心、自己評価が低い
・過度なバウンダリー、バウンダリーがない家庭で育った

おわりに

バウンダリーセッティングも、それを実践することも難しいかもしれませんが、それだけに大きな価値があります。

もしも、バウンダリーセッティングと実践に苦労する場合は、次回の記事「問題に焦点を当てた対処法」「アサーティブネストレーニング」などを学んでみましょう。

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