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ガスライティングの種類と7つのサイン

ガスライティングの概念は古くから存在し、心身に対して深い意味を持ち、その多寡(多い少ない)に関わらず、深刻なトラウマや人間関係にダメージを与える可能性のある認知・心理的虐待のひとつです。

人生を豊かに生きていくためには、ガスライティングが何であるか、どのように起こるのかという認識はとても重要です。

現在、心理学者やメンタルヘルスの専門家などは、学術的および臨床的にガスライティングを研究していますが、この言葉は1938年パトリック・ハミルトンの戯曲、1944年の映画「gasslight(ガスライト、ガス燈)」からきています。

「ガスライティング」という用語は、欧米では様々な形態のトラウマや対人コントロールに関する話題に登場します。

ガスライティングという言葉の意味、様々な種類、ガスライティングが起きていることを認識する方法についてご紹介していきましょう。

ガスライティングとは?

アメリカ心理学会(APA)は、「ガスライティングは、他者に自身の観察・視点・現実を疑わせることを強要する感情および心理的操作のひとつ」と定義しており、「The Gasslight Effect」の著者、イェール大学エモーショナルインテリジェンスセンターのDr.ロビン・スターンは、「ガスライティングされている人は、自分自身に関して疑問を投げかける傾向があり、簡単に言えば、ガスライティングは対象者の現実を操作する行為です」と説明しています。

ガスライティングの種類

ガスライティングは、職場から寝室まで、あらゆるタイプの人間関係で発生する可能性があります。

親密な関係性のガスライティング

National Domestic Violence Hotlineによると、「親密なパートナー(ガスライター)からのガスライティングは感情的虐待であり、被害者はガスライティングによって、自分自身や現実の認識が信頼できなくなると相手にコントロールされやすくなり、ガスライターと別れたり、虐待に異議を唱えたりする可能性が低くなる」とあります。

恋愛において、「虐待的なパートナーとの関係にあった人は、ある程度のガスライティング経験が存在しています」と、ヒューストン大学のアンソニー・フランクリンは言います。

2019年にAmerican Sociological Reviewに掲載されたケーススタディによると、「親密な関係におけるガスライティングに使用される認知的戦術は、多くの場合、根底に不平等と性差別がある」と記載があります。

人種ガスライティング

人種ガスライティングは、人種差別に関してのトラウマを植え付けたり、対象者を軽視・軽蔑することを目的とした対人操作のひとつです。

人種ガスライティングは、
・マイクロアグレッション
・攻撃的な態度
・低い信用度
・知的能力への攻撃
・人種差別の経験を軽視する

などがあります。

マイクロアグレッションは、1970年にアメリカの精神医学者チェスター・ピアスによって提唱された、意図的か否かに関わらず、何気ない日常の言動に現れる偏見や差別、見下しや侮辱、否定的な態度を言います。

例えばそれは、白人の友人がアジア系アメリカ人の友人に、「この辺りは都会だから、差別されることはないから心配すんなよ」と言っているような状況です。

これは、2017年にPolitics,Groups,and Identities誌に掲載された研究レビューの中心となった議論です。

議論では、人種ガスライティングは、人種に対する抑圧的な規範、態度、行動を正常と見なす社会的、経済的、文化的、政治的システムを永続させると結論付けました。

医療ガスライティング

「医療提供者が患者の症状を心理的要因のせいにしたり、病気や症状を完全に否定または却下すること」、この医療ガスライティングの定義は、2022年にBMJ(British Medical Journal)によって提唱されました。

これは非常に興味深い事実です。

なぜなら、この定義が提唱されるまでに要した時間は、西洋医学で「医学の父」と言われているヒポクラテスが活躍した紀元前400年頃から、約2400年も経ってからのことだからです。

ロサンゼルスに拠点を置くセラピスト兼心理療法士のロリ・ゴットリーブは、自身の身体症状を医師に共有してから、最終的に慢性疾患と診断されるまでに多くの時間と労力を必要としました。

彼女は、「医師の対応は必ずしも悪意によるものではなく、慢性疾患に関しては、まだ行き届かない部分があり、女性、特に有色人種に対して行き届かない部分はもっと大きいと思う。医師は総体的に注意を払っていないだけです。」と述べました。

Academic Emergency Medicineに掲載された研究では、重度の胃痛で救急病院に行った女性は、同じ症状を持つ男性よりも約33%長く待たなければならなかったことがわかりました。

同様に、英国の臨床診療研究データでは、女性は男性よりも癌と診断されるのを待つ時間が長いことがわかりました。

Center for Intersectional Justiceによると、性別、人種、民族、性的指向、障害、階級、その他の形態の差別に基づく不平等も、ガスライティングには重要な役割を果たしていると考えられています。

政治ガスライティング

政治ガスライティングは、政治問題に関して世論をそらしたり、混乱させるような不誠実な対応を意味します。

政治メディアと公務を研究するジョージメイソン大学のDr.ファラ・ラティフは、「政治ガスライティングは、誤解を招く情報操作を使用して、政治問題に関する世論を弱体化させ、揺さぶり、混乱させる」と定義しています。

ガスライティング 7つのサイン

あなたがガスライティングをされている可能性がある際のサインを、いくつかご紹介しましょう。

自分自身や他者に、以下のいずれかが起こっている場合、ガスライティングの事実を検証する価値があります。

1.頻繁に謝罪している

ガスライティングの主な特徴は、対象者を混乱させ、自分自身を疑わせることであるため、「頻繁に謝罪をする必要がある」と感じることは、ガスライティングをされていることを示している可能性があると、ケント州立大学のDr.アンジェラ・ニール・バーネットは言います。

その際、頻繁な謝罪は、特にガスライターに対して向けられる行為となります。

2.感情や気持ちの無視・軽視

感情や気持ちを無視・軽視されることは、ガスライティングの対象者の自己疑念と不安を強化し、コントロールされやすくなります。

例えば、医療提供者によって症状が却下されたり、軽視・無視された場合、これは医療ガスライティングの明確なサインである可能性があります。

3.頻繁に自分の気持ちを疑う

「私は少し過剰なのかな?敏感すぎるのかな?」などと、定期的に自問をしている場合、ガスライティングを受けている可能性があります。

あなたの気持ちや現実を疑うことは、ガスライティングの重要な特徴です。

4.自己価値に疑問を抱く

ガスライターは対象者が自分の気持ちを疑うように、自己価値と自己能力を疑問視させていきます。

ガスライティングの被害者は、多くの場合、上司、友人、パートナー、親など、他人の承認や賞賛に基づいて自己価値や自己能力を評価しています。

5.悪いおこないをかばう

これは、恋愛関係や夫婦間、親密なパートナーのガスライティングでよく見られます。

ガスライティングをされている被害者は、虐待者の行動を許し、時には自分自身を責めることさえあります。

また、政治家や政党の支持者なども、その政治家の不正や、守られない公約などについてかばうことがあり、それはひとつの政治ガスライティングにつながります。

6.優柔不断で困っている

ガスライティングは不安を引き起こし、自信を損なう可能性があるため、ガスライティングの対象者は優柔不断でシンプルな決断が困難な場合があります。

これは、ガスライティングを受けている人が、思考停止のような状況に陥る理由でもあります。

7.落ち込んでいる理由がわからない

ガスライティングは、絶望、悲しみ、モチベーションの喪失など、うつ症状のような経験をする可能性があります。

ガスライティングを受けている人は、不意に心の落ち込みを感じても、ガスライティングを受けていることに気づいていないため、自分が落ち込んでいる理由がわからないかもしれません。

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