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「野菜」は後頭部パンチ。

 この間ぼくは奇妙な経験をした。

ある朝、とても日差しが心地良い日に、ふと意外なことを思った。「トマトが食べたい」と。

人生でそんなことを思ったことはない!!何故ならば、ぼくは生粋の生まれながらの生来の野菜嫌いだからだ。ぼくの記憶にはないが、子供の頃は野菜を食べられていたらしい。無垢であったはずの子供が自我を持ち、小学校に行く頃にはもう食べる気なんて、目薬の一滴ほどもなかった。野菜は美味しくない。とんでもない速度で口の中を青緑色の味が駆け巡り、口の端っこまで息の端まで、青緑に変えてしまう悪魔のような食べ物だ。そんな風に思っていたのに!!あの!!清々しい気持ちの良い美しい朝に!!・・・思ったのだ。「トマトが食べたい」と!!これをなんと捉えよう!天変地異かっ!槍でも降るのかっ!!しかしどうして!食べなければ許されないようなそんな気分だった。食べたい。

 そしてぼくは食べる。疑念を持ちながら、食べる。



美味い。ん?何故美味い。??ん???美味いな?いや、美味いわ。そうだよな?これ美味いよな。ああ、美味いね。いやどうだ?・・・・・・・・・うっまっ!!!!激うっまっっ!!!!!これうっま!!とんでもねええ美味い!!!



ここでのぼくの驚きは、宇宙を貫いただろう。

見えないところからパンチをもらった気分だ。



そして、いまはもう野菜が好きだ。


もうなんでも食べられるはずだ。この間こうなったばかりなので、不安は拭えないが、きっと大丈夫になったはずだ。・・・たぶん。


野菜が好きだ!




読んでくれて、ありがとう。




また。



とまお

いただけた時には、本買います。本を。