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noteフォロワーの話

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第52話 noteフォロワーの話-茶室の来訪者

第52話 noteフォロワーの話-茶室の来訪者

「霊というのではないと思います」

アキノさんが働く茶道教室は、江戸時代の城趾近くにあった。

茶道教室では朝一番に打ち水をする。
庭から門の外まで水を打って、客に備えるのだ。

ある年の初夏、打ち水をしていたアキノさんは、背後にふと人の気配を感じた。

平日、朝一番の来客はほとんどない。
門も閉めた気でいたため、やや油断して鼻歌を歌っていた。

「あ、やばい、と思って」

あわてて営業スマイルを

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第47話 noteフォロワーの話-街中の殺人者

第47話 noteフォロワーの話-街中の殺人者

ヨシユキさんは一度、「殺人者」を見たことがある。

「そうとしか感じられませんでした」

独身時代、親戚が開いている雑貨店を手伝っていたころの話だ。

あるとき店に、若い夫婦と2人の子ども、それに旦那名お母さんらしき5人家族がやってきた。

カラリと表の戸を開けて、一家が入ってきた瞬間、ヨシユキさんは鳥肌が立つのを感じたという。

「どんな人がやってきたのか、見えてもいなかったんですけど」

奥で

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第41話 noteフォロワーの話-地に憑くもの

第41話 noteフォロワーの話-地に憑くもの

アキノさんの義姉が家を買ったことがあった。

大きな池の近くにある中古の一戸建て。
一目で気に入り、契約を決めた。

築年数の古い物件だったが、リフォームしてみると、とても素敵な住まいになった。
2人いる子どもたちも大喜びだが、アキノさんは当初から不気味なものを感じていたという。

近くに住んでいることもあり、引っ越しの手伝いを頼まれた。
当日、所要を理由に断った。
姑から不興を買うことはわかって

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第39話 noteフォロワーの話-脚

第39話 noteフォロワーの話-脚

エリさんが小学生のころ、近所に「開かずの踏切」があった。

複数の路線が通るせいで、空いている時間が極端に短い。
急いでいる子どもは、しばしば遮断機をくぐって通ることがあった。

「学校ではずいぶん注意されたけど」

線路がカーブしていることもあって、やってくる電車が見えにくい。
とにかく危険な踏切だった。

エリさんが小学5年生の秋、その踏切で事故が起きた。
運動会の翌日だった。
遮断機をくぐっ

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