フルリモートを継続できない企業にはどんな課題があるのか
多くの企業で出社回帰が起こっています。求人情報や転職エージェントの情報からもその傾向が読み取れます。弊社もまた、フルリモートから出社推奨に切り替わりました。
出社回帰の背景
日本の出社回帰の背景には、以下のような事情が挙げられます。
組織文化とコミュニケーション:日本の多くの企業では、直接的なコミュニケーションや対面でのやり取りを重視する文化が根強くあります。そのため、リモートワークでは伝達効率が低下すると感じる企業が多いかもしれません。
マネジメントの課題:リモートワークにおいて効果的なマネジメントやパフォーマンスの評価方法が確立されていない企業も多いです。その結果、従業員の生産性を確保するために出社を促す傾向があります。
セキュリティの懸念:情報セキュリティやデータ保護の観点から、特に機密情報を扱う業務では、リモートワークのリスクが懸念され、出社を好む企業があります。
労働規範の変化への抵抗:日本の労働市場は伝統的に非常に安定しており、変化に対する抵抗感が存在します。リモートワークへの移行は大きな変化を意味し、これに対する抵抗が出社回帰の一因になっている場合があります。
社会的・経済的圧力:経済活動の正常化を目指す政府の方針や、実店舗を持つ商業施設などの経済圏の活性化を目指す動きも、出社回帰を促す背景になっています。
これらの事情は、コロナ禍におけるリモートワークの経験を受けて、日本の多くの企業や組織が直面している課題です。今後も、これらのバランスを取りながら柔軟な働き方の実現を目指す動きが続くことが予想されます。
リモートワーク下でのカメラオフ文化
人間がコミュニケーションを取る上で最も使われる情報は視覚情報です。人間の脳は情報処理の大部分を視覚に割いており、研究によれば、人間が周囲の世界から受け取る情報の約80%が視覚によるものです。
視覚情報には、表情、身振り、ポーズ、視線の動きなど、非言語的なコミュニケーション要素が含まれています。これらは人とのやり取りにおいて重要な役割を果たし、意図や感情を伝達するのに役立ちます。
さらに、視覚情報は言葉だけでは伝えきれない微細なニュアンスを伝えることができます。例えば、相手の気持ちを理解するために表情を読み取ったり、興味や注意の焦点を視線で示したりします。視覚情報は、言葉を超えた豊かなコミュニケーションを可能にします。
弊社ではハイブリッド勤務を推奨しており、オンライン会議も頻繁に開催されています。しかし、弊社ではカメラオフのまま会議を行うのが主流で、この記事ではこの状態をカメラオフ「文化」と呼ぶことにします。
カメラオフ文化の弊害
弊社の場合、会議だけでなく、1on1ミーティングや個別のオンラインコミュニケーションすべてにおいて、カメラオフが主流です。そのため、「文化」と表現しました。
※弊社の場合、と一括りに書いてしまいましたが、カメラオンの重要さがわかっている方もいらっしゃって、その方はカメラオンでコミュニケーションを取られていると思います。
カメラをオフにした場合、無言の時間が流れたり、会話がぶつかったりすることが多く、余計な時間が発生します。
一方でカメラをオンにした場合、相手が今まさに話し始めようとしているのか、一時的に話せない状態なのか、考え中なのか、などの状況把握が容易になります。そのため、カメラオフの状態と比べて、スムーズに会話が進む印象です。
しかし、カメラオフ「文化」と表現したように、弊社ではすでにカメラオフが定着化している状態であり、この文化を変えることは容易ではありません。
カメラオフ文化へのアプローチ
この問題に取り組むための一つのアプローチとして、カメラオンを奨励する企業文化の構築や、カメラオンでのコミュニケーションのメリットを社内で広く共有することが考えられます。また、カメラをオンにすることに抵抗がある従業員のために、プライバシーを保護するための対策や、ビデオ会議の環境を改善するためのサポートを提供することも有効かもしれません。
とはいえ、顔を出したくない人は一定数存在しますので、その場合にはアバターを使うなど、最低限の視覚情報が得られる状態にすると良いかもしれません。
ITリテラシーの重要性
出社回帰≒リモートワークが浸透しなかった理由として、ITリテラシーの低さも関係しているのではないかと私は考えています。
※ITリテラシーとは、情報技術を理解し、それを日常生活や仕事で効果的に利用する能力を指します。
テクノロジーは常に進化しており、新しいアプリケーションやサービスが次々と登場しています。それらに対応し、最新のツールを効果的に利用するためには、自発的に学び続け、柔軟に適応する姿勢が必要です。
この継続的な学習と適応ができないために、リモートワーク下でコミュニケーションツールを導入したにもかかわらず使いこなせずに形骸化してしまう、といったような問題も発生します。
結果として、いつまで経ってもオンラインコミュニケーションが改善されず、「コミュニケーションのために出社しよう」という動きが出てしまうのではないでしょうか。
というわけで、フルリモートを継続できない(できなかった)企業の課題について、自社を例にして考えてみました。
皆さんが勤めている企業はいかがですか?
アフターコロナでフルリモートが継続できている企業にお勤めの方には、ぜひともそのコツをお聞きしてみたいです。
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