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仕事は楽しむもの ~価値観を変えた「3つの転機と5つの越境」

こんにちは。製造業で情シスマネージャーをしているまさです。

先日、こんな会話を同じ会社の人としました。

A氏 「まささん、仕事楽しそうだね」
まさ 「楽しいですよ!というか、仕事を楽しんでいるという感覚ですね」
A氏 「仕事を楽しむなんて、信じられない。ワシにはわからん!」
まさ 「へっ?そうですかねえw」

会話中に私が違和感を感じたのはこの言葉です

[仕事を楽しむなんて、信じられない]

一日の3分の1以上の時間を費やしている仕事。この膨大な時間を楽しいものにしようとしないのか?純粋に疑問でした。

私は、仕事は生活の大部分を占めるもの。だからこそ、楽しむべきだと考えています。このコラムでは、仕事を楽しむための私の考え方と、それを実現する方法をお伝えします。


▶仕事は楽しみたい派です

私は決して社畜ではなく、1時間の通勤も苦痛です。家族との時間も大切にしています。しかし、仕事を楽しむことで、周囲も私もより生き生きとした時間を過ごせると信じています。

「楽しみながらイキイキと働くあなた」と「終業時間までロボットのように働くあなた」家族や恋人など、周りの人は、どちらのあなたを応援したいと思うでしょう?

私は前者でありたい
だから、私は昔から「仕事は楽しみたい派」なのです。


▶3つの転機と5つの越境

そういう私もかつては、仕事を楽しめない時期がありました。新卒で大手企業に入社した私は、最初の3年間、仕事の楽しさを知りませんでした。地味な事務作業が中心で、仕事の意義を見出せずにいたのです。

私が配属された部門は企画部門。華やかなイメージとは裏腹に、新人の私の仕事は新聞記事の切り抜き。毎日スクラップブックにして20部コピーして配布していました。その他は現場部門との会議の準備や議事録書きやワープロでの資料作成という非常に地味な仕事ばかりでした。

毎日同じ職場に出社して上司からの指示を淡々とこなすことを繰り返す毎日。そこには当然のことながら「仕事を楽しむ」という価値観は生まれません。

一方、営業やフィールドSE部門に配属された同期入社のメンバーは、顧客対応やシステム開発保守の業務で毎日遅くまで残業、残業の日々。そんな仕事に没頭(埋没?)する同期の姿を見ると、自分だけ違う会社か別世界にいるような疎外感を感じるようになっていたのです。

仕事ってこんな感じなのかなあ、まあいいか

そんなモヤモヤしていた仕事に対する価値観が変わり始めたのは、ある仕事の小さな変化がきっかけでした。ボーっとした私にも「仕事の楽しさ」を感じ取れる転機が訪れたのです。


ここからは、私の仕事の価値観を変えた
「3つの転機と5つの越境」を紹介します


①爆誕!プレゼン職人

 入社して3年目から私はある仕事に没頭し始めます。それは「他人が発表するプレゼンのスライドをひたすらパソコンで作成する仕事」でした。当時、会社はMacintoshに対抗するマルチメディアPC「FM-TOWNS」を発売。私は、OHPの代わりとなるデスクトップ・プレゼンテーションの普及に努めました。

私が当時没頭したのが、毎日上司から送られてくる手書きの原稿をデスクトッププレゼンテーションソフトで再作成し、お絵かきソフトで図を描き、スクリプト言語で画面効果を設定し、レーザーディスク動画を組み込む制作作業。プレゼン当日は、重い機材をタクシーで運び、会場でセットアップと動作確認を行ってました。

今となってはパワポを使ったプレゼンは当たり前ですが、当時の私の仕事はCOBOLでシステムを開発するエンジニア中心の社内からは理解されにくく、「ソフトでお絵かきしてる奴」「会社で遊んでる?楽でいいねえ」などの皮肉も言われました。しかし、孤独ながらも自分の居場所を見つけ、前向きな気持ちになれたのも事実です。

そんな私が「プレゼン職人」になって少しだけ仕事の楽しさを感じることができたのは、この2つの「越境」を経験したからだと思っています。

①スキルの越境
周りの人と違う、自分しかできない特殊スキルを身につける

②仕事場所の越境
事務所を飛び出して他の部門の人と触れ合う


②環境をずらして立ち位置をシフト!

 そんな「プレゼン職人」は、やがて新たな展開を迎えます。入社2年目の私は、組織変更により新設された「デザイン本部」へ移籍しました。この本部は、プロダクトデザインの標準化とデザイン思考の導入を目指し、後に総合デザイン研究所へと発展しました。

私は、プレゼン職人として、従来のスライド制作を続けつつ、展示会やイベント向けの大型作品の制作と、マルチメディアプレゼンテーションの普及と標準化に取り組みはじめました。

例えば、1993年にシンガポールで開催された「Asia TELECOM 93」での自社ブース紹介プレゼンの制作では、シナリオ作成から絵コンテ、デモ、現地でのオペレーションまで全ての工程に関わりました。

また、その後に行われた社内の成果発表会では「マルチメディア・プレゼンテーションの標準化」について発表し、ビジネスプレゼンにおけるデザインの標準化とスライド作成のノウハウを参加者に共有しました。

いつの間にか「プレゼン職人」は、仕事で得た知見やノウハウを「マルチメディア・プレゼンのスタイル」まで昇華させていたのです。

他人のためのプレゼンをひたすら作ってた自分が、自分が発表するためのスライドを自分で制作して、自分で発表することになったのはこの時が初めてでした。自分の仕事の幅が広がったという実感が沸き、仕事に「楽しさ」を感じ始めたのもこの頃からだったと記憶しています。

私は、ここで2つの「越境」を経験しました。

③国境の越境
仕事で海外出張して異なる文化や思想に触れて刺激を受ける

④仕事環境の越境
作るだけ人から、作って伝える人へ。立ち位置をシフト


③挑戦!社内ベンチャー


そしてある時、別部門の人からこんな声をかけられるのです。

「今度さぁ、社内ベンチャーで組織立ち上げるんだけどぉ、来ない?」

「プレゼン職人」時代に使用していた社内開発のソフトを外販する新しい社内ベンチャー組織のリーダーから声がかかり、そこに参加する機会を得ました。1995年、Windows95が登場した年でした。

Windows95の発売に日本中が熱狂した当時、会社も自社パソコンの存在価値を高めるために、法人市場でのソフトの品揃え強化を迫られていたようです。独自OS専用だったそのプレゼンソフトも、Windows95に対応することでプレゼンソフト市場の一角で勝負に出ようという挑戦的な取り組みでした。

もちろん異動に迷いはなく、当時の上司に相談し、半年後には社内ベンチャーの一員としてスタートする事が出来たのです。

社内ベンチャーの仕事は、一言で言うと楽しかったです

私のミッションは、CD-ROMソフト「プレゼンテーション素材集」の商品化と外販。デザイナーさんと一緒にイラスト部品などの素材やテンプレート画面を何度もやり直しながら制作しました。外部にお願いする予算もなかったのでひたすら内製です。

この2年間のプロジェクトは初めて経験する事ばかり
数えきれないくらい多くの失敗をしました
💦

CD-ROMの企画や方向性で、メンバーと衝突してしまうことは日常茶飯事でした。また、CD-ROMソフト「プレゼンテーション素材集」の最終工程では、リーフレットの印刷ミスを見落としたによる刷り直しが発生、CD-ROMの発売が延期し、納品されたCD-ROM 500枚を無駄にしてしまったのです

さらに、パソコン量販店の店頭でのデモンストレーションなど、ソフトの販促活動をする中でも、仕事に対する甘さが原因で、量販店の方から激しいクレームを頂いたことがありました。

そんな失敗を経験しながら、2年間の期間限定プロジェクトは予定通り終了、私自身もこの素材集を発売して卒業することになりました。

結局そのCD-ROMは全く売れなく、成功とは言えませんでしたが、30歳を前にして、転機と行動の重要性を実感しました。

仕事をしているといつか転機は訪れる。
大切なのは、それに気付いて行動を起こすかどうか。
小さな行動を起こせば、何かが少しずつ変化していく

⑤組織の越境
自分の意志で組織を異動して、キャリアを高める


▶越境学習で変わる価値観

ここで先ほどから出ている「越境」というキーワードについて書きます。

何かを超える「越境」という行為は、仕事においては、様々な限界を超えることを意味します。企業が人材を育成する際には、この「越境」を通じて、課題解決能力や革新的なアイデアを生み出す力を養うことが重要とされています。

「越境学習」とは、まさにこのプロセスを指し、企業の従業員に新しい価値観と出会わせてくれる学びの手法なのです。法政大学の石山恒貴先生の著書「越境学習入門」では、この概念が深く掘り下げられています。

越境学習はホームとアウェイを行き来する
そもそも越境という言葉は、境界を越えるという意味ですので、その境界が何であるのかもポイントになります。境界とは、あくまで自分にとってのホームとアウェイの境界であって、それを越えるのが越境学習だと私は考えているのです。

【特別対談】「越境学習」をめぐって 石山恒貴 法政大学大学院教授 × 齊藤弘通 産業能率大学准教授(前編)より

冒険者たちを育てるプロセスこそ越境学習
未知なる領域に足を入れ、思いもよらないような出会いをしたり、これまでの常識が通じない世界で、自分の意外な能力に目覚めたり、仲間と共に困難を乗り越える経験を通して、新たな智恵を授かったり、広い世界を知ることで、自らの新たな使命に気づいたりする〝冒険

【特別対談】「越境学習」をめぐって 石山恒貴 法政大学大学院教授 × 齊藤弘通 産業能率大学准教授(前編)より


1年前に越境学習という言葉に出会って以来、私は「プレゼン職人」としての経験が、まさにこの学習方法の体現であったと感じています。そして、越境学習を通じて、仕事を楽しむという新しい価値観に目覚めました。これは、私たちが日々の生活の中で経験する小さな「越境」から、大きな変化が生まれることの証です。


▶仕事の楽しさを見出す秘訣


仕事に対する価値観は人それぞれです。仕事をただの収入源と見なす人もいれば、趣味の世界で充実を感じる人もいます。これらの価値観を否定するつもりはありません。

しかし、仕事を楽しむことに否定的な人々は、しばしば仕事の辛さや苦しさを当然と捉え、その対価として給与があると考えがちです。

仕事を楽しむ=楽をする、真剣さが足りない、手を抜く、緩い

私からすると、それは違っていて、仕事を楽しむことは、決して楽をすることではないと思うのです。

それは、自分の枠を超え、新しい挑戦をすることです。仕事を楽しむことなく、同じ環境で満足している人は、変化を求める必要がないかもしれません。しかし、「仕事の楽しみ方を知らない人」は、その可能性をまだ見つけていないだけです。

私が何とかしたいのは、「仕事の楽しみ方を知らない人」です。

入社して10年以上同じ部署で働いている30代40代の社員が、社内で活躍できなく隅に追いやられている光景や、上司の前で言いたいことが言えずに委縮している姿、素直すぎるがゆえに会社の評価が低い社員の姿を見るたびにこう思います。

越境しようよ

私は最近、社外の情シス部門のマネージャーの方と積極的に交流しています。そこで良く聞くのが「社外の情シスと交流する機会は初めて」という言葉です。

私たち情シス部門は、企業のデジタル化とIT戦略の中心となる存在です。ヘルプデスクや基幹システム、ネットワークの運用保守を担う人々も、自らの枠を超えて新しい世界に越境することで、仕事の真の楽しさを見出すことができるはずだと信じています。


▶情シスにおすすめの越境学習

私の経験から、情シス部門におすすめの越境学習法を紹介します。

  1. ワークショップへの参加:
    短時間で密度の濃い交流が可能で、自己開示や対話を通じて、リーダーシップやコミュニケーションスキルを磨く絶好の機会です。

  2. コミュニティへの参加:
    自分の専門分野を深めたり、新しいスキルを学びたいときに最適です。ただし、目的に合ったコミュニティを選ぶことが重要です。

  3. 組織異動
    自分から進んで異動を希望することで、新しい環境での経験が自己成長につながります。

  4. 転職
    大きな決断ですが、新しい環境での挑戦は、自分の可能性を広げるチャンスです。

  5. 兼業・副業
    異なる業界や職種での経験は、新たな視野を開きます。

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一方で、以下の方法は越境学習としては効果が限定的かもしれません。

  • 社外セミナーや勉強会
    参加すること自体は有益ですが、参加するにとどまり実践的なアウトプットが伴わない場合が多いです。

  • ビジネススクールや社会人大学
    学ぶことは重要ですが、実務に直結しない知識は活用されにくいです。

  • ボランティア活動、ワーケーション
    自発的な参加であれば有意義ですが、強制された活動は本来の目的を見失いがちです。


▶おすすめの越境学習本

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