四半期の株価を振り返るその1 FSLY 2020お盆版

決算投資法では、四半期ごとにやってくる決算をベースに銘柄を必要に応じて入れ替えていくことになります。よって、四半期ごとに注目している銘柄をレビューしていくことは自分の力をブラッシュアップしていくことには必要なプロセスであると言えます。

四半期のグロース株を振り返る

7月後半から8月まででかなりの数の決算を迎えたこともあり、途中の段階ですが、この四半期を振り替えてみることにしました。個人的に決算をウォッチしている銘柄の中から、2020年8月9日現在ですでに決算を終えている銘柄、かつ年間の売上高成長率が30%以上となる47銘柄をピックアップしてみました。この銘柄を仮に、決算直後の始値で買って、7,8月の決算直前の終値で売ったとした場合の騰落率のトップランキングを下記に示します。参考までに5月から7月までのS&P500は+14%、NASDAQ指数は+24%というブルマーケットでした。今回はまずは、トップのFSLYからみていきたいと思います。

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FSLY (Fastly)

FSLYがどのような事業を行っているかや、どうして注目を浴びているかは、ブログ、Youtubeに詳しい説明(例えば、やすブログ記事1やすブログ記事2)があるため、ここでは詳しく説明しません。

IPO後1年ちょっと

IPOは2019/5/20にしています。すなわち、IPOから1年2ヶ月ちょいというところです。IPOしてから若いことは上昇銘柄を探す上でポイントの1つです。よく言われていることは、IPO後株価上昇する銘柄はIPO後数年以内に大きく上昇することがあります。この点は、自分でデータで検証したことがないため、いずれ検証してみたいと思いますが、FSLYはその法則に当てはまります。

IPO時の幹事証券はMORGAN STANLEYなど

若いIPO起業なので、IPO時の幹事証券をみてみましょう。MORGAN STANLEY、CITIGROUP、BofA SECURITIES、CREDIT SUISSEなどです。有力IPOには、MSかGSが入るため、この点も有力なIPOだったことがわかります。

四半期決算前のチャートを振り返る

前回の四半期を振り返る前に、その前の段階について、振り返ります。下記に週足のチャートを示します。このチャートをみると、わかるようにこの四半期のはじめまでは、一時的な増減(コロナショックも含む)はありますが、総じて、5月の決算を迎えるまでは、上昇トレンドとなっていませんでした。この点は、おそらく次回取り上げるLVGOとは異なるところです。

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四半期決算のチャートとプレスリリースを振り返る

次に日足のチャートを振り返ってみましょう。

FSLY日足20200809解説

①2020/5/6の引け後の決算発表でした。決算発表は、売上、EPS、ガイダンスともにアナリスト予想よりも上回りました。売上高成長率は38%程度でしたが、2Qのガイダンスでは中値で50%以上となり、大幅に引き上げてきた素晴らしい数字でした。チャートの①が決算後の5/7となりますが、ここは分足チャートをとっていないので、私のあやふやな記憶で正確ではないかもしれませんが、29.3(+27%)で寄った後、一旦押して安値26.64(+16%)まで落ち、そして再び上昇に転じて、引けは33.58(+46%)という展開であったと記憶しています。正直、翌日の朝にこのチャートを見たときに、なぜ寄りで買わなかったか後悔しました。そして、今はなぜ翌日買わなかったか後悔しています。当時の心境としては、企業内容がよくわかっておらず、46%も上がった株をここから買うと叩き落とされそう、押し目を狙った方がよいかなという気持ちでした。

新高値の観点でみると、引けの33.58は新高値ではありません。当時の新高値は、2019/9/6の35.25となり、決算で大幅上昇したといえども、まだ、新高値は取れていません。好決算での上昇のため、出来高はかなりできています。35.25を終値ベースで抜けたのは、決算後4営業日目となる5/12となります。

新高値を抜けた後は、5/27の安値で36.03まで押すのの、過去の新高値である35.25を試すことなく、そのまま上昇していっています。

公募増資

②では、上がった株の宿命として公募増資が5/18に発表されます。5/21に価格決定、5/25にクロージングとなります。やはり公募増資のあたりは株価も少しもたもたしている印象を受けます。クロージング後はまた上昇に転じます。

その後の株価上昇

その後のめぼしいプレスリリースは、③の6/17のエッジキャパシティのマイルストーンである100 Tbpsを達成のものぐらいしかなく、その後は、次の決算へ続きます。6/17のプレスリリース自体は、今後の成長が期待できるものですが、③の時点ですでに上昇トレンドに入ったところでの材料で、それそのもので新しい上昇トレンドを作っているように見えません。この時期は他の銘柄でも上昇しており、セクターの全体的な上昇トレンドに載った感じがします。

その後は、7/9に一時$100超えをするも、跳ね返されて、その後しばらく下落するも、ダブルボトムをつけて、決算前に$100超えを果たして決算を迎えたという展開でした。

どこで買えたか

もちろん、結果のチャートを見れば、後講釈でいろいろ言えると思います。まずは決算日に買えるかどうかということを考えてみたいと思います。今回は決算日で大幅なギャップアップから始まったので、その点について考えてみたいと思います。今回47銘柄をピックアップしましたが、そのリストについて、決算前夜の終値から決算直後の始値での上昇率20%以上の銘柄をみてみます。FSLYは47銘柄中2位となり、他の好決算銘柄と比べても、決算結果がかなり好感されていたことがわかります。右側の騰落率は、この銘柄を仮に、決算直後の始値で買って、決算直前の終値で売ったとした場合の騰落率を示します。

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このうち、PGNYは不妊治療の福利厚生ソリューションの企業であり、コロナの影響をモロに受けている企業です。他はすべてネット系の企業となります。TWLO, SNAPともに最初に示した表の中では、トップ10に含まれているので、決算日に20%以上ギャップアップする銘柄で見通しがよさそうなものを買うという選択は悪くはないと思います。しかしながら、急上昇したFSLYを見つけるというにはもう1つな基準な気がします。せめてトップ5が並ぶとかあればもっと強気で買っていけると思いますが、他はまずまず銘柄という印象です。ここらへんは、他の銘柄をレビューしながら、決算日でどういう判断をできるかの理解を深めていきたいと思います。

では、新高値の5/12で買うか、あるいは、5/27の過去の新高値近辺に売られたところで買うかです。この銘柄に自信があれば、新高値で買っていく方法もあるでしょう。しかしながら、この局面は多くの銘柄が新高値を超えていく展開でした。例えばDOCUはすでに4月の途中で新高値を超えているので、5月決算で超えたFSLYは早いわけではありません。ちなみに、前の表のW, TWLOも5月に超えています(SNAP, PGNYは未だ超えず)。大幅ギャップアップと新高値を組み合わせて買うという選択もあるかもしれません。ここらへんは、データ数も少ないので、今後さらに研究していきたいと思います。

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