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息子は犬を「にゃー」と呼び、大人は仕事を「いい感じに」と言う

息子は犬を「にゃー」と呼び、大人は仕事を頼むときに「いい感じに」という。どちらも似ているなあとふと思った。

息子は絵本ではじめて猫と出会った。耳がちょこんと頭にのっていて、ヒゲが生えており、四つの足で歩く。
それが息子にとっての猫だった。だから、外で猫をみても「にゃー」と指を指しながら叫ぶし、犬をみても「にゃー」といって追い回した。

たしかにどちらも耳とヒゲがあり、四足でとことこ歩く。
「あれはワンワンだよ」と言っても、ちっとも「ワンワン」と言わない。
息子はまだどちらの鳴き声もきいたことがないのだ。

息子の中にはいくつかのポイントがあって、それを満たすと犬も猫も狐も全部「にゃー」なのだろう。
 
「猫のような耳とヒゲを持ち、四足で歩くと猫である」というのは、「この仕事、いい感じにお願いします!」の「いい感じ」も同じだ。

例えば、サービスのコンセプトにあっていて、ユーザーの心を掴むような企画なら「いい感じ」の仕事になる。
20%キャッシュバックをしようが、人気Youtuberを呼んでリアルイベントをしようが、どちらも「いい感じ」の企画なのだ

外で犬のかたちをした「にゃー」をみた後、家に帰って息子の食事を作ることにした。
冷蔵庫には、茄子、玉ねぎ、にんじん、そぼろがあったので、あんかけそぼろご飯にすることに。いつもは妻が料理を作るが、今日は時間があるのでわたしが担当した。

「調味料ってどれくらいいればいいの?」と聞くと「いい感じに味付けして」と言われた。

多分、醤油と砂糖と水と片栗粉を入れればいいよな、と思い作ってみる。
とろみがついているし、見た目と匂いもそれっぽい。

息子に食べさせる。一口目は大きな口でぱくっと食べてくれる。
が、すぐにうえーという顔をして口から吐き出した。
気を取り直して二口目をスプーンすくって口の前にだしても、ふんっと顔をそらして食べてくれなかった。

コンセプトはあっていたけれど、エンドユーザーの心は掴めなかったらしい。

 

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