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PMconfの続きをmeetyでしてもらってみた

PMcomfに登壇されていたリクルート川崎さんの発表がめちゃくちゃ面白かったので、続きの話をしてもらうためにmeetyでカジュアル面談を応募してみました。めちゃくちゃ勉強になったので、まとめます。

フォーカスした内容は0→1のプロダクト立ち上げを成功させるための手続きについてです。過去の失敗談を踏まえた落とし穴や、それを回避するためのアドバイスなど踏まえ、成功のポイントを教えていただきました。

着想を得るためにはまずは一次情報に触れよう

エアレジハンディを着想する前の現場では、飲食領域の別課題に対して事業開発をやっており、飲食店経営チーム向けのCRMやマーケティング周りのプロダクトを考えていたそうです。いわゆる飲食店でアプリインストールでポテトをプレゼント!みたいなサービスがあったりしますが、あんな感じのプロダクト開発をされていたそうです。

導入してもなかなか現場がうまくワークせず成果を上げるのが難しかったそうです。アプリをインストールさせるというけれど、経営にとっては重要でも、現場担当者にとっては負担そのもの。インセンティブがないとなかなか浸透するのが難しいな・・そんな実感を持っていたそうです。またユーザーにとってもご飯を食べに来ただけでアプリをインストールするのは不自然にです。三方良しの設計になっていないからうまく回らないんじゃないか・・そんな感覚を得ていたそう。

一方で、飲食業界は構造的にも人材不足が深刻な問題で、慢性的に人が足りていない状況です。(なんと一人雇うのに数十万円のイニシャルコストがかかるのに、最近のバイトは当日に辞めてしまうことも多いそう・・!)

経営は人材不足を解消できるようなプロダクトを求められている。現場担当者は目の前のタスクでくらくらしていて、作業が少しでも減ることに対してはモチベーションがある。ユーザも注文のために手を挙げて店員さんに見つけてもらうのはなんか面倒。この3種類のステークホルダに対して三方良しのスマホオーダーシステムがウケるんじゃないか・・・?注文という営みをスマホで解決する方法ってあるんじゃないかなというアイデアを着想していたそうです。

着想を育ててn=1と重要な変数を見つけよう

アイデアの検証は「もし注文という作業に問題意識を持っているとしたらどういう店舗だろうか」からスタートします。そもそも注文が多くて困る飲食店とはどういうものなのか?それは一人当たりの仕事量で線引きが決まるハズだ。一人当たりの仕事量は、来客数×注文回数で決まる。それぞれ、多い店はどういう店なのか・・と分解し、「注文が忙しい店舗の特徴仮説」を言語化する。その妥当性を検証していきます。

なるべくそういった特徴を持つ店舗に足を運び、特徴仮説を修正します。いざ店舗にヒアリングしてみると、「とても席数の多い居酒屋は注文に負担を感じがちだ」「二階建ての店舗は注文に負担を感じがちだ」というような具体的な発見があり、20店舗ほど回るとだいたい「店舗の忙しさを決める重要な変数は何か」の感覚を得てきたそうです。

いずれ、「もうめちゃくちゃ大変なんですよ・・・」と問題意識に共感してくれるn=1が見つかる。その深い課題と、解決できそうなソリューションのセットを見つける。そのn=1を見つけることが一番大事だったそう。

変数を見極めてポテンシャル感覚を得よう

n=1が見つかったら、その同じ課題を抱えるユーザーはどれくらい要るのか?の感覚を探りに行く。これまでのヒアリングから、「店舗の忙しさを決める重要な変数は何か」がわかっている。(わからなければそれを探そう)

その変数ごとに、どれくらいのラインまで課題に共感してもらえるか?の線引きを確認していく。具体的には、「席数」という変数であれば、100席のお店は課題を感じているが、80席ならどうか?50席ならどうか?と定性的に確認する。「客単価」という変数であれば、10,000円ならどうか?5,000円ならどうか?と切れ目を確認していく。課題に関する共感の度合いや、解決案に対する引き合いを確認していくが、だいたいこの時点で線引きは感覚値としては得ることができる。

この時に大事なのは、食い下がらないこと。トップ営業になりきったつもりで、「聞いて聞いて相手のニーズに自分の提案が刺さるかをちゃんと確かめる」ことが大事。

この線引きの感覚を得たら、どれくらいのマーケットに求められるプロダクトになりそうか、ポテンシャルの大きさは概算で理解できるようになる。肝は、「いわゆる市場調査はしていない」こと。市場調査しなくてもここまでのことは推測ができる。もちろん、より定量的に確認する方法はあるし、投資家や経営層がそれを求める場合には情報収集してもよい。でもこの時点で求められるプロダクト案ができた確信がほとんどあって、定量調査は人を説得するための作業、くらいの気持ちで取り組んでいた。

改めて大事なこと①n=1に出会うこと

プロダクトがいけそうかも、となると必然的に多くの人を巻き込むことになる。時には営業チーム全体に「これ本気で売ってきてください。目標はこれこれで・・」と伝えることが必要になる。そういう時、自分としてもその依頼をするということにとてもプレッシャーを感じるし、人からは「なぜこれが重要なの?」がめちゃくちゃ問われる。

そのプレッシャーを乗り越え続けて自信を持ち続けたいときに心の支えになるのは、「めちゃくちゃ問題意識に共感してくれて、解決案のリリースを本当に喜んでくれるn=1」しかいない。

やがては「どんどん売らせてほしい!」と引き合いが強くなってくるけど、どこかのタイミングで不確実な中でその判断をして多くの人の時間を奪っていかないとスケールしない。そういった面で、実践的に心から支えになってくれるn=1を見つけることはとても大事なプロセスだった。

改めて大事なこと②常に何を検証するのが明確なこと

これがブレてしまうと、結局はものごとがうまく進まない。1年半かけて行った実験で、色々調べたのに結果的に必要な情報が集まっていなかった・・という経験もした。

人間はとにかく忘れてしまうものだから、期間が長引くような話であればあるほど、何が大事で何を検証するべきなのかをちゃんと明確にしておくことがトータルのコストを下げることも多い。「何を検証したらどんな判断ができるのか」が明確になり、できれば意思決定者と合意できていることが望ましい。

補足:実践的なテクニック

①投資家=経営層のリスクを起点に考える

投資家、経営層は自分の行動について金銭リスクを負うわけだから、彼らにリスクを負わせない、または負わせるとしても「何に対して負わせるのかを明確にする」ことが責任として求められる。

前者でいうと「2週間で検証するのでそれだけください」とミニマムなコストを依頼するとか、後者でいうと「2000万円のコストをかけたいので、この検証点が〇、〇、〇だったら2000万円ください」と予め握ることが大事。

②日ごろの顧客接点を大事にして「ついで聞き」する

本業がありつつ、新規事業開発を片手間でやっている人も現実的には多いけれども、それは思ったよりもけっこう大変なことだと認識したほうがいい。

だからこそ、日ごろから新規事業の仮説を明確にしておき、チャンスがあればその仮説検証に使う、という姿勢が実践的には重要。

ユーザーインタビューがあるときには「ちなみに最近こういうことを考えているんですけど・・こういうのどう思いますか?」と聞いてみる。新規事業を成功させるためのタスクを本業に結び付けて、ちょっとでもシナジーを生み出していくことが大事。

③事業開発の営みが変わる変数

新規事業開発に携わっています、と伝えると、
・どういう人とどんな体制でやっているのか?
・どういう前提や制約の中でやっているのか?
についてシチュエーションを深堀りされた。この辺りの状況で実践的な工夫は異なる。

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