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詩あるいは現象学的幻想

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詩を集めました。小説より短く、でも僕の真摯な言葉群です。
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記事一覧

完璧な午後に君をオモフ

完璧な午後に君をオモフ 初夏の日差しが、部屋に黄金の陽だまりをつくっている。時々、涼し…

中井田知久
8か月前

君にしか見えない

君はどこを見ていたのだろう。 過ぎ去った過去? 絶望した未来。 青春と老いていく自分の 連…

7

ふと。君を見つめていた。

僕と君の目が合った。どんな気持ちを僕に抱いているのだろう? 不安? 希望? 死なんて少し…

4

ゆっくり沈んでいく

「黒ずむ」という言葉が頭の中から離れない。白いものが黒ずんでいく。バナナが黒ずんでいく。…

5

切り取られた断片

僕は、お前に言いたいことがあるんだ。 僕の過去。お前の過去。すべて、過去の断片で。 未来…

5

悲しげな人形

悲しげな人形はうつむき加減で。 僕の心を表しているようで。 硬直した、あるいは、時の止ま…

6

ゆっくりと狂う

ゆっくりと狂っていくような、 甘い痺れのなかで、 僕は、 悲しみと切なさを感じている。 夢のなかで、 君に会い、 満たされぬ現実は、 昇華しきれない、 ドライアイスのように。 思考は、 川のように、 たゆたい。 まとめきれぬ雑文は、 あてもなく、 僕の指から、 流れ落ちていく。 ドビュッシーのような、 転調を繰り返し、 芸術は、 僕の中で、 産み出されるような。 ただ、 僕は、 行ったことのない田舎の、 見えない星を思い浮かべる。 あれは、 恋だったのだろう。

夜風・時計

秋の夜風は、 気持ちいいんだって、 言ったら、 おじさんなのかなあ? 僕は、 時計を失くして…

3

雨音

台風が去っても、 雨音が耳に残っていて。 囁くような、 ざらりとした感触が、 体に残って…

7

あふれる光

光は蝶のように舞い。 僕は光の蝶に手を伸ばした。 君の気配がそこには残っていて。 でも、…

6

僕の目から一筋涙が零れた

君に振られて、僕の右目から涙が一筋零れた。でも、君の前では、涙を見せなかった。なぜなら、…

3

バランタイン

ウイスキーがうまく感じられるのは、 いつの歳から、 だっただろう? 大学生時代は、 トリス…

4

病んでいた頃

僕が「死」と隣合わせだった、20歳。レーゾンデートル(存在理由)なんか何処にも見つからず。…

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バカ

僕は、君を抱きしめたかった。 君は僕を抱きしめたかったような気がする。 でも、それでも、その想いは叶わなかった。 君は、僕を「バカ」だと言った。でも、僕はバカでもよかったんだ。 少し、手を伸ばせば、君の手を握れた。でも、君はそれを拒んだだろう。 だって。僕と君は恋人でもなく、結婚しているわけではないのだから。 僕を大切にしてくれた君を抱きしめたかった。君の香りを僕の胸で感じたかった。 愛している。陳腐な言葉だが。でも、僕と君の繋がりは、恋人より結婚相手より強かっ