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君にしか見えない

君はどこを見ていたのだろう。
過ぎ去った過去?
絶望した未来。

青春と老いていく自分の
連続的な過程のなかで。
君は泣いていた。

過ぎ去った、
母胎から、
硬い鱗から。
傷つきやすい心を、
さらけだして。

ただ、
ただ、
初夏の湿度の高い空気の中で、
君は手を伸ばしていた。

何かに救われるように、
何かに溺れるように、
何かに期待するように。

眩しい太陽に、
手を伸ばして、
君はいってしまった。

腐ったこの世界に。
僕を残して。

僕を拒んでいたの?
僕を一緒に連れて行きたかったの?

今ではわからない。
君にしか見えない、
極彩色のなかで。

サヨナラ青春。
サヨナラ君。

僕は、
40年たったときに、
君に会いに行くよ。

それまで。

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