『奇跡』を待つことは いけないことなの？

この胸を締め付けて 離してくれない この願いは 手離すべきなのかと 何度も考えては やめる。

決めたんだ。

彼を信じるって。

逃げない。

いつになってもいい。

私は『奇跡』を 待ち望み続けてやるんだ。

何度も 考えては 考えた。

「私から 伝えてもいいのかなぁ？」

溢れ出しそうになる 想いを抑えては 彼に唇を塞がれる。

私の言葉を 包み込むように。

そんなの 狡いよ。

何も 言えないし 出来ないじゃない。

私達は お互い 不器用だけど 想いを違えたことは ないって 解ってるよ。

だから 余計辛いの。

少しの切欠と言葉があれば 二人で どこまでもいけるのに。

あなたは それを 私に させてはくれない。

もう キスだけは要らないよ。

その『一言』を 聞かせてよ。

星が綺麗な夜だった。

隕石の１つでも 落ちてきて あなたの気持ちに拍車をかけられたらいいのに。

見えない あなたの心の中を 照らしてくれたらいいのに。

こっちを見て 告げてよ。

その唇で。

吐息混じりの愛の一言を。

いつも通りに 行き付けのフレンチのお店で 食事をして お互いの近況報告をして 今日も お別れなんだろう。

私達は お腹を満たして お店の前にある ベンチに座った。

きっと 物欲しそうな顔をしている。

仕方ない。

欲しいんだから。

あなたは 何かと 葛藤しているようだった。

暫く 無言の一時が過ぎた。

(もう お別れか…仕様がないよね…)

諦めかけた その時『奇跡』は 突然に訪れる。

小惑星がぶつかり合って 新たな星が誕生するみたいに。

「君は どうおもってるの？」

私の心臓は 速度の下降を忘れた。

それと 同時に そんな聞き方をしてくる あなたに少し苛立ってしまう。

「それ 私にきく？ そんじゃ 君は？」

可愛げの欠片もない。

「えと…ていうか…わかんない…なんていえば…なんだろうな…」

ほら 動揺してる。

悪いところが 如実に出てしまっている。

でも 引っ込みがつかない。

「え？ なにそれ？ ナシじゃない？…答えになってないよ。」

何故か 強気な私。

「愛してる！」

時は止まる。

頭の中で エンドレスリピートされる その一言を ただ 聴いていたかった。

「え？！…今 なんて言ったの？」

悪戯な確認作業をしてしまった。

「何も。」

素直じゃないなぁ。

認めたら 早いのに。

「嘘だ。」

確信に変えたくて もがいている。

「嘘じゃないよ。」

どういうこと？

もう 解らないよ 私。

「だって 聞こえた！」

信じた過ぎて そんな返しになってしまう。

「それは おかしいね。」

おかしくないよ。

あなたが 言ったんでしょ？

「嘘…聞こえた。」

何がなんでも 認めてよ。

「それじゃ 気のせいじゃない？」

まだ しらばっくれるか。

「聞こえた。」

そろそろ いいんじゃない？

「聞こえない。」

聞こえてるクセに。

「聞こえた。」

これが 最後だよ？

「ちゃんと言うよ…愛してる。」

こんなに解りやすい『勝利』は 清々しくて 心地好いものだと 改めて 知った。

私は『奇跡』を待ちながら 徐々に近づいていたんだ。

私にとっての『奇跡』は いつだって あなただったんだから。

やっと 言ってくれたね。

※この作品は『supercell』様の『#Love feat.Ann,gaku』を参考に創られております。
また『Sending(センディング)』とのリンク作品になります。