男「お前のせいだから。こんな事になったの」
 
女「ごめんなさい」
 
男「お前が甘やかして健二を育てからこんな事に・・・ろくに働きもせず、家でずっと居座り続け、その結果、あいつが、あんな事を」
 
女「私の名前は片桐幸子。４２歳。主婦。私がなぜ、夫から怒られてるのか・・。それは、私の息子である片桐健二が、通り魔事件を起こし、たくさんの人を殺めたから。事件が起きたのは今日の昼過ぎ、家に引きこもりがちの息子が珍しく散歩に行ってくると言って出かけました。その数時間後、私が再び息子に会ったのは、テレビ越し。ニュース番組で手錠をかけられパトカーに乗せられる息子の姿と・・・息子はパトカーに乗る前、カメラに向かって笑ってました。この笑顔で、息子は世間からは異常な犯罪者と見られましたが、私にはその笑顔が強がってるようにしか見えなくて」
 
男「だから、あの時お前に言ったんだ。産むのは辞めようって。俺は産むのを反対したのに、お前が産むって決めて」
 
女「夫が言うあの時というのは、健二がまだ私のお腹のなかにいる時の事、私たち夫婦はある検査を受けました。その検査というのが」