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年齢を経て語学を学ぶということ~韓国語教室で出会った60代のアジョシの話~

私は39歳で台湾に語学留学をしています。3か月が経とうとしていますが、毎日満身創痍でこんなにも語学ができないものかと泣きながら学びを続けています。そんな時ふと思い出した人がいました。

その人とは韓国語教室で出会った

 私は8年前から7年前にかけて2年間ほど韓国語教室に通っていました。週1回80分という授業時間でした。入門のハングルの読み方は独学で行っていたため、基礎のクラスに後から一人入りました。先に学んでいたのは3人。同じくらいの年齢の女性が二人と、男性が一人。私が今回思い出したのはその男性でした。
 その方(もう名前が思い出せないのでA氏とします)Aさんは定年退職後、韓国ドラマ(特に時代劇)にはまって韓国語を学び始めたとおっしゃっていました。

60代での学びは大変そうに見えた

 Aさんはよく言い間違いをするし、発音練習や会話練習の時もたどたどしさがありました。毎週、その週にあった出来事を文章にし、みんなの前で読むという時間がありましたが、その時も辞書で調べたのかなと思える難しい単語を使ってはうまく言い表せなくて「ああー難しいなぁ・・・」とつぶやかれていた姿を思い出します。

40手前にして私の学びは

 現在、私はクラスの中でそのAさんみたいになっています。発音練習の時もクラスメイトにめっちゃ直してもらっているし、先生にあてられた時も習った単語以外は簡単な単語も発音が違って通じない。いつも問題はみんなの回答が聴けるように最後にあてられる(でも、これ地味に解答がなくなってしまうのでキツイ)明確に、クラスで一番中文がへたくそです。皆さんの足を引っ張っている自信があります(嫌な自信だ・・・)。特に会話は、先日びっくりしたのですが、入門1の子たちより圧倒的にしゃべれてないことがわかりました・・・私本当に初級1にいていいのだろうか?
 記憶力はそんなに衰えていないのだけど、とにかくとにかく発音ができない・・・ほかの人が話していることが聞けないし、自分の出している音がわからない。これは・・・身体能力の衰えでしょうか???

Aさんはすごかった

 そうやって思うと、学びを続けていたAさんのすごさが伝わってきます。小さいことですが、授業の中で頓珍漢なことを言ったり、流れが自分の所為で止まったりするとどんどん自信がなくなるんです。Aさんの「ああーむずかしいなぁ・・・」とつぶやく姿が今の自分に重なります。Aさんはけしてあきらめなかった。そして楽しそうだった。
 私はどうでしょうか?楽しめているのかな?一つ一つ私の中に単語が増えて、言えることが増えて、聞けることが増えて、街で私の言葉が通じることが増える。それはとても楽しいことです。それが語学学習の楽しみだし、私にとってはそれが目的でここに来たのに、それを少し忘れてしまっていたようです。

あとクラスの雰囲気も重要

 Aさんと一緒だった韓国語教室の人たちのウェルカム感がすごかったのです!とってもフラットにAさんに接していたし、Aさんは毎回来ないのに「みんなで御飯いきますがAさんどうですか?」って聞いていたり、授業でAさんがつまってもみんなで助け舟だしたりしていました。
  でもこれが「わーこのおじさん、喋れないのに・・・」みたいな雰囲気だったら?私自身が今「わーこのおばさん、喋れない」と思われても仕方がない状態なので、想像するだけで身が竦む思いです・・・楽しめないし、挫折しそう・・・よほど生活に必要な目標がない限り学びを続けるのは難しいでしょう。

年はみんないずれとる、その時にどうしたい?

 今になって、Aさんの努力やすごさがわかった私です。もっとお話しできるときに気が付いていたら「Aさんはすごい!」といっぱい伝えていたと思います。そして、私もいつかはAさんの年になるのです。その時に、私はまた新しい言語を学びたいと思えるような人間でありたいと思いました。
 今は台湾華語を精いっぱい頑張ります。Aさんみたいに、楽しみながら、一つひとつの単語を覚えるたび、聞き取れるたび、話せたたび、通じるたび、喜びながら学んでいきたいと思います。

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