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  • #1日3アルバム開拓 2023/6/28〜

    音楽聴くだけ

  • #今週のおかわり

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Stevie Wonder - Songs In The Key Of Lifeが現れた話

はじめに  今日は、南米や北欧にたまにいるコンポーザー志向の強いテクニカルなギタリストを聴いている流れで、たまたまHarpeji(ギターとピアノの間の子みたいな楽器)をググっていた。そこでこの動画に遭遇。あまりにさっきまで聴いていた楽曲たちにグルーヴが近く、何気なく調べるとなんとStevie Wonderだった……という出来事が先程あった。え、Stevie Wonderってこんな曲やるんですか。  すぐに曲を調べると、『Songs In The Key Of Life』に

    • Sara Wakui - Time Won`t Stop(2022)を聴いた

      ”ハイ”なジャズベースの何か  ミクスチャーという言葉が便利なのでつい使いがちになるけど、私はあくまでジャズだと感じます。少々ハイになりすぎというか、ぶっ飛んでいるけども。   ジャズのコード感と、マスロック的な複雑なビート。ここで、ミニマルさや不穏さにとどまるのではなく、展開していく。そして、ハーモニーが解決していく快楽も担保している。  この組み合わせはある種、過剰なほどのドラマを演出する。聴いているときの心の揺さぶられ方、そして快楽はナチュラルなものではなく、ある

      • 『声フェチオタクが考える勝手に乃木坂ちゃんの声質分類』〜前提とくぼした編〜

        はじめに  某くほ氏のポストを受け、私も書かせていただきます。  当方、別に何かの専門家ではなく、ただのオタクですが、ちょくちょく声色のかけ合わせという話は結構よく考えているので、そうした観点から持論を書かせていたただきます。 前提がてら小噺  さて、大前提として、こうした声色の印象というのは、レコーディング後のミックス等諸々のプロセスでずいぶん印象が変わってくるものです。音源、すなわちシングルとしてリリースされているもので、我々が耳にする彼女たちの声はしっかり「メイ

        • YAMAHA SEQTRAKレビュー(ファームウェアv1.1)~ガジェット系の皮を被ったガチグルーヴボックス~

          はじめに  解禁と同時に予約したYAMAHA SEQTRAK。今年のNAMMショーに合わせて各社から新製品が発表されていましたが、XやYoutubeなどの盛り上がりとしては本商品が一番だったのではないでしょうか。  キャッチーなPV。無骨な銀のQY70を造っていたヤマハらしからぬteenage engineering(以下TE)などに通ずるポップなデザイン。そして何より5万円台という価格はかなり魅力的。   筆者が入手したのはホワイト×オレンジです。色味について触れてお

        Stevie Wonder - Songs In The Key Of Lifeが現れた話

        • Sara Wakui - Time Won`t Stop(2022)を聴いた

        • 『声フェチオタクが考える勝手に乃木坂ちゃんの声質分類』〜前提とくぼした編〜

        • YAMAHA SEQTRAKレビュー(ファームウェアv1.1)~ガジェット系の皮を被ったガチグルーヴボックス~

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        • #1日3アルバム開拓 2023/6/28〜
          18本
        • #今週のおかわり
          3本

        記事

          Frank Sinatra『In the Wee Small Hours』(1955)

           音楽が時代を反映していると言うけれど、正直時代と言うのは大げさだと思っている。しかし、作品に関わった個人の生きた環境みたいなものがにじみ出ることは本当だと思っている。  ストリングスのタッチ1つから、少なくともこのアルバムに関わったプレイヤーの気持ちが垣間見える。   単純にその時代の録音機材がそういう音という言い方もできるかもしれないけど、それでももっとある種シビアというか堅い音を目指すこともありえたように思う。  でも、そうではなく、ある種の軟らかさのある空気や香りを密

          Frank Sinatra『In the Wee Small Hours』(1955)

          EP『Choose Your Beverage』リリースによせて

          はじめに  皆さん。改めまして、Take Over The Bookmarkことトトムです。この度、2024年1月7日に、1st EP 『Choose Your Beverage』を配信することといたしました。いえい。 ↑各種サブスク等 ↑Bandcamp  ジャケットはリワさん(Xアカウント:@riwaind_kubobi)によるものです。改めてお礼申し上げます。めちゃくちゃカワイイ。最高。 経緯等  SoundCloudのアカウント自体は大学に入る前から持って

          EP『Choose Your Beverage』リリースによせて

          年間ベスト2023

          総括はじめに  来年からは某楽器店勤務です。来年以降はたぶんギターを売るということから、音楽の趣味がまた変わるだろうと思いつつ、記録として短めながらも今年の年べスをお送りします。  今年は「#1日3アルバム開拓」と銘打ち、夏ごろに結構「頑張って」音楽を聴こう、文章を書こうとしていましたが、やはり正直あれを維持するのは私には不可能でした。あれはキツいというか、あまり健康的な聴き方ではなかったな、と振り返って思います。とても味わえるようなペースではなくなってしまっていたし。

          年間ベスト2023

          #1日3アルバム開拓 Walkin` with a song - 岡野昭仁

          73.Walkin` with a song - 岡野昭仁  いろんな自分自身よりも下の世代の音楽を研究して作ったんだろうなということがよく伝わってくるアルバムで興味深い。  と、ここまで書いてからクレジットを見たけども、いろんな人の手が加わっていた。そういうプロジェクトだった。  「こういうことでしょ?」とある意味、単純化してそれを岡野昭仁氏の曲として再構築しているから、そのリファレンスになったであろうアーティストの個性みたいなものが程よく漂白されて、スタンダードな感じに

          #1日3アルバム開拓 Walkin` with a song - 岡野昭仁

          33rdSGアンダーライブ~己の輝き~(随時追記)

          はじめに  センターが違えば、こうもライブの雰囲気は変わるか。そんなライブだった。そもそも、横浜アリーナ3Daysという前例のない規模のアンダーライブで、どのように「いつものアツさ」を届けるのかというところには、非常に気になっていた。しかし、そうした予想はある意味裏切られた。  団結よりも、個性を。そして、争いよりも己の輝きを信じる。マスターピースは己の中にあり、それを出すことの責任を自分で負う。そして輝く。  いわゆる、選抜を目指すようなそういうハングリーな物語からくるア

          33rdSGアンダーライブ~己の輝き~(随時追記)

          君たちはどうコールするか?

          33rdSGアンダーライブ 来る、2023年9月29日より開催される、乃木坂46 33rdSGアンダーライブ。  個人的に横浜アリーナというのは、大きすぎず、小さすぎず、きわめて「ちょうどいい」会場だと思っている。どの位置からもメンバーが見えて、比較的密にメンバーとコミュニケーションをとれているような感覚がある。まあ、配信でしかまだ見たことが無いわけだが。  早速余談ですが、配信で観た時に、スタンドのファンと、外周を歩くメンバーが一緒に映るやつが私は結構好きです。「オタ

          君たちはどうコールするか?

          🍊

           買っておきながら、なかなか読むタイミングがなかった『推し、燃ゆ』を開き、半分ほど読んだタイミングでこのnoteを書き始めている。正直なところ、現時点ではそこまで自分自身この本にはハマっておらず、途中から気が散って、自分にとっての推しとは何なのか、という話を急にまとめたくなり、離脱した。 1.  以前まとめたこともあるが、私は基本的に、アイドルがもともと好きだったタイプではない……と、綴っていたのは過去のことで、今では時には自ら、街で見かけたアイドルの宣伝トラックから、サ

          ”私たち”だけの光~乃木坂46神宮2023~

          はじめに  4日目に現地で参加した際、「今回は先輩のいない中でまわる初めての真夏の全国ツアーでした」とMCで改めて話されたとき、その時初めてその事実を思い出した。言われるまですっかり忘れていた。  というのも、その日のライブが、あまりに安定感があり、「乃木坂46」というものを雑味なく、着飾らず、ありのままで味わわせるようなものだったからだ。演出家の変更が関係したのかはわからないが、掛け値なしに近年で一番ストレートにあらゆることが伝わってくるライブだった。過剰なほどの「らしさ

          ”私たち”だけの光~乃木坂46神宮2023~

          『LIGHTHOUSE』を観て

          『LIGHTHOUSE』を観て、もっと共感できるかと思った。しかし、正直な話、私はそこまで共感できない話も多かった。正確にいうと、私にはない経験が多かった。 そこで、私はずいぶん幸せな人生を送ってきたのだということを自覚した。番組を見ながら、自分自身の人生を振り返ると、「社会性がない」と悩むだとか、漠然と生きづらいみたいな感情(気づかないようにしてるのかもしれない)を持ったことがさほどないことに気が付く。 なんとなく、ずっと自分は「そっち側」の人間だと思っていた。周囲から

          『LIGHTHOUSE』を観て

          YAONNOMA~週末天使~

          はじめに  言わずもがな、週末天使というのはtoconomaのことである。SUMMERSONICの真裏、日比谷野音に舞い降りたおじさん天使。私が勝手に言ってるのではなく、実際にMCでそんな文言をおっしゃっていたのを借用しているだけなので許してほしい。  インスト界のさだまさしかと思うほど軽妙なMCと、タイトな演奏で音楽堂をダンスフロアに変えてしまう彼らは、週末だけに舞い降りる。そして、今日が終わればまたフルタイムの会社員に戻る。  まるでセーラームーンのようなバンドに観客

          YAONNOMA~週末天使~

          #1日3アルバム開拓 2023/8/16

          69.WAVE - Otis McDonald  Otis McDonald。というのは名義らしく、本名はサンフランシスコを拠点に活動するJoe Bagaleという方。Youtubeオーディオライブラリーに独占契約かつ著作権フリーで30曲も放出しているということで、Youtubeにアップされる動画のBGMとして相当数使われているよう。本人のX(旧Twitter)をみると、毎週新曲をドロップしているようでなかなかの活動頻度。  展開という意味ではシンプル。しかし、いわゆる悪

          #1日3アルバム開拓 2023/8/16

          #1日3アルバム開拓 2023/8/9

          66.The World Is Getting Smaller - Snarky Puppy  Snarky Puppy。今では、現代最強のインストゥルメンタル軍団として確固たる地位を築いている彼らの初期の作品をセレクト。  昨年リリースされた『Empire Central』はそのサウンドの厚みやゴージャスさに圧倒されるアルバムで、間違いなく最高傑作なのだが、本作はそこから比較すると明らかにこじんまりとしている。しかし、それと比較して本作が魅力的ではないというわけでは全く

          #1日3アルバム開拓 2023/8/9