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【息子のサッカーを見て、見えてきたこと Vol.74】サッカー王国のゴールキーパー像

こんにちは!

前回はコッピーニャ(U-20のサンパウロ州選手権)について記載しました。

今回のブラジル視察で王国ブラジルで求められるゴールキーパー像について感じたことがありますので、こちらに触れたいと思います。

かつて、Jリーグのアカデミーにゴールキーパーとして在籍した私ですが、トップチームのゴールキーパーコーチがブラジル人の方で、ユースの選手にも度々指導をしてくださりました。

当時はまだ、ユース専属のゴールキーパーコーチのスタッフを置くクラブは珍しく、初めて本格的な指導を受けることができました。

そんなご縁がありますが、ブラジルと聞いて、どちらかとイメージするのはフィールドプレーヤーが多い印象を私は持っています。

もちろん、リバプールのアリソンやマンチェスターシティのエデルソンの様に、メガクラブのゴールマウスをブラジル人選手が守っています。

彼らに共通するのは、体が大きく、シュートストップが上手く、ビルドアップにも参加でき、一発でパントキックなどで裏を取ることができるという事です。

そして、今回の視察においても、こちらを痛感しました。

まず、プロになれるゴールキーパーは基本的に身長が190cmないと厳しい現実があります。

そこを前提として、シュートストップや守備範囲の広さを求められ、そのためにはスピードが必要となります。ここはアスリート能力に比例してきます。

また、ビルドアップへの参加(ボール捌き)も必須要素です。今回、コッピーニャを数試合視察する中で、街クラブのようなあまり強くないクラブであっても、ゴールキックは繋ぐことを選択します。マイボールとしてディフェンスラインから繋ごうという意志を持っています。特に育成年代ですので、そこの失敗があってもそこから学びがあれば、良いのだろうと類推しました。

クラブの方が、このゴールキーパーは良いという評価をする際に、必ず、「シュートストップ」と「足でのボールの扱い」について触れます。

以前は私は圧倒的にシュートストップやクロスへの対応の重要性を挙げていました。ただ、デゼルビのフットボールを見ているとこの点を改め始めました。マイボールで保持できれば守備機会は減るはず(カウンターは発生しますが)です。このマイボールでの保持と言う側面において、ゴールキーパーが重要な役割を果たしています。

昨シーズンのフロンターレの苦戦の側面はゴールキーパーからの繋ぎと言う面にあったと解釈しています。チョンソンリョン選手はシュートストップやクロスへの対応と言う面では強さがある一方で、バックパスの繋ぎに対して、個人的には難がある印象です。

もちろんこの前提としては、センターバックやサイドバック、ボランチが協力して、相手の前からのプレスを回避できる能力があることではありますが、ゴールキーパーも常に1枚数的優位を作る上では、大事なポイントです。

この点でもフットサルでの機会がゴールキーパーのボール捌きの向上に繋がっていると感じます。フィールドプレーヤーとしてプレーするのも一理ありますが、ゴレイロとしてプレーする上で、ボール回しに参加することです。

私の主宰するフットサルサークル(小学生向け)では、バックパスルールはゲームの際には設定していません。まずはボール回しや確実な数的優位の中で駆け引きを行うことを低学年から実感してほしいからです。

ただ、日本人で190cmのゴールキーパーは中々出てこないと感じます。高く、速く、強いゴールキーパーでないと、世界のフットボールマーケットでは評価を受けることができません。それでいて、フィールドプレーヤーと同等のボール回しが必要となった時点でかなり限定されるでしょう。

一方で、ブラジルにはそうしたゴールキーパーが溢れています。そして、職にあぶれています。初めは安くても良いので、日本でプレーしたいと思っています。つまり日本人ゴールキーパーは今後、こうした選手たちとポジション争いをしなければいけません。

また、韓国人ゴールキーパーは高く、俊敏でかつブラジル人選手に比べて、日本語能力に秀でています。彼らも強力な競争相手と言えます。

こうした現状を前提に、日本人ゴールキーパーの育成が必要であり、不足しているゴールキーパー指導者(グローバルな視点を持ち、学習に貪欲である)の育成も急務と言えます。

残念ながら、現在のJFAのスタンスでは、こうした課題解決に繋がっておらず(ライセンス制度など)、4種や3種の重要な面で出遅れています。

プロのフィールドプレーヤーでも分かりにくいポジションであり、特殊なポジションだからこそ、より深い議論が行われることを望んでいます。

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