見出し画像

元Jユース・現コンサルタントの私 ファイナル

前回の記事

3回に渡って、Jユースでの経験などを書いてきました。
中学年代の有力選手が「Jユース」「強豪校」の選択肢で、どちらが良いかというのを記事で読んだことがありますが、私なりの視点から分析します。

サッカーの環境(ハード面)

練習環境ですが、近年のJユース(J1、J2上位層)の25ぐらいのクラブであれば、ほぼ人工芝のナイターグラウンドで行えているのではないでしょうか。

強豪校も私立の学校は近年は人工芝化されており、練習環境は同程度(超強豪高校はそれ以上)です。

一方で、Jユースの場合、
家→学校→練習場所→家
と「学校→練習場所」の分だけ移動時間が掛かりますし、電車代も学割がきかない区間だとプラスの費用になります。

時間があれば、自主練に割いた方が、合理的ではないでしょうか。

※自主練の大切さは風間八宏さんが発信しています

トップチームがメインの芝のグラウンドを使用していない場合、ユースに開放するケースがありました。

これは他のJクラブでもそうであるかは分かりませんが、芝のグラウンドを利用できるという贅沢な環境です。
私はGKだったので、芝のグラウンドでの練習は、大変助かりました。

メンバー数

強豪高校の部活となると、100人~200人の大所帯の様です。
学校活動の一部なので、ある程度の門戸は開かなければいけないのだと類推します。

残念ながら、限られたグラウンドスペース、指導者の数から、そうした人数を見るのは難しいと言えます。

30人程度が練習のキャパと見た時に、6~7チームに分けてとなると思いますが、指導者が10人以上必要となる計算です。

Jユースであれば、人数が多くても40人程度ですので、時間内の有効活用という面では大きいと思います。
1年生であっても、しっかりと練習に参加できます。

飛び級

特別指定制度が契約を前提とした制度に変わってしまったため、高校の部活に所属している生徒が飛び級できるチャンスがなくなっています。(うろ覚えです)

もともとかつての強化指定制度というのは、小野伸二選手の様な圧倒的な才能を伸ばすために始まったと記憶しています。

それが今ではほぼ大学生向けの仕組みとなってしまいました。
圧倒的な個の高校生が部活にいないという現状があるのかも知れません。

Jユースであれば、トップチームにケガ人が出た時や、代表で不在の時など、数名が練習に呼ばれます。

もちろん有望選手であれば、将来への昇格のため、高校1年生(早ければ中学3年生)で練習やキャンプに参加します。

頑張れば自分も呼ばれるかもしれない、
先に呼ばれた選手を追い越せば、チャンスがあるかもしれないという環境で切磋琢磨できます。

私はしがない選手でしたが、GKの数が足りずに、トップチームの練習に参加したこともありました。

元ポルトガル代表のFWのシュートを受けるなど、普通の公立の高校生が体験できない貴重な機会を得られました。

より高い環境を経験することは、成長に繋がると信じています。
ですので、この点はJユースの方がメリットが大きいです。

指導者

高校サッカーにも数多くの素晴らしい指導者がいらっしゃいます。
高校サッカーの方が、長く同じ学校に携わる(特に私立は)ことができる印象です。
監督のフィロソフィーを明確に示すことができるのは大きな利点です。

Jユースの指導者はステップアップ的な要素があります。いずれはトップチームのコーチや監督を目指している方々です。

ですので、シーズン途中で交代になるというケースもあり得ます。

そうした意味で一貫した指導と言う面では、高校サッカーに分がありそうです。
ただし、監督やコーチと上手くいかないというケースでは注意が必要です。

クラブチームであれば、その場合、移籍で解決すると思いますが、高校サッカーの場合、移籍のハードルは非常に高いです。

特待生やサッカー推薦で入学しているケースが多いので、金銭面も絡んでくることでしょう。

3年間、ずっと同じ環境で頑張れるかと言うのは、検討した方が良いポイントです。

選手は試合に出て、成長すると信じているので、
試合に出れるチャンスを増やすというドライな考え方が、今後育成でも必要になるのではないでしょうか。

進路

プロになれるくらいの選手の場合、Jユースだと所属しているチームのトップチームに昇格することになります。

前回の記事でも記載しましたが、紳士協定があるんだろうと思います。
場合によっては、海外移籍を視野に入れて、高校在学中にプロ契約を結んでいます。

一方、高校サッカーであれば、どのJリーグクラブに行くかと言うのは、選択が可能です。

Jリーグが開幕した頃は、高校サッカーからの流入が多かったので、小野伸二選手の様に、10以上のクラブから声が掛かるというケースがありましたが、今はレアケースと言えます。

高校サッカー(街クラブも)の有望選手はいくつかのクラブの練習に参加して、チームの文化や哲学、雰囲気などで総合的に判断するようです。

選択肢が多いというのは、大きなメリットです。

16、17歳でプロになる、19、20歳までにヨーロッパに行くという明確な目標を持った選手は、Jユースの方が向いているかも知れません。

余談ですが、私はメンバーに入れませんでしたが、イタリア遠征をJユースでは行っていました。
強豪高校も海外遠征があるかも知れませんが、海外との結びつきは、Jクラブの方が強いです。

大学にサッカーで入るという意味では、Jユースも強豪高校も優劣はないと思います。

最後に

結局は、個人がどう頑張って、自己を成長させるかだと思います。
全国高校サッカー選手権の魔力には思春期の10代では、なかなか太刀打ちできません。

それぞれメリット・デメリットがある中で、
どちらの方が頑張れるかだと思います。

ただ、どうしても学校と合わなかった、馴染めなかったという場合、学校生活とスポーツを切り離して考えることができない点は注意が必要です。

もし、どちらが良いかという悩みを抱いている中学生やその親御さん、関係者の方々にとって参考になれば、幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?