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元Jユース・現コンサルタントの私 Vol.3

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Jユースの高校生活

Jユースの高校生活ですが、そもそも学校の選択肢として、
・公立高校
・私立高校
・通信制高校
に分けられます。

サンフレッチェ広島や京都サンガのU-18では、同じ学校に通っているそうですが、こうしたケースはレアです。

サッカーの強豪校ですと、特待生として学費免除の様なケースがありますが、ユースの所属選手たちは、学校選びは、
・学業レベル
・通いやすさ(家と練習場)
を重視していると思います。

私の頃はメジャーではなかったですが、近年は有望選手だと通信制高校を選択し、学業とサッカーの活動のバランス(サッカーの比重が高い)を取って、やりくりしている印象です。

個人的に、サッカー選手でなくても、特技への没頭と言う意味で、今後は通信制の学校がよりメジャーになるのではと思います。

リモートで働く、大学の授業がリモートなど、ある種「通信」的な世の中になっていますので、高校なども主要な選択肢となる認識です。

練習は放課後、試合は週末なので、学校生活は、朝から15時くらいまでの通常の流れです。
部活の方とは異なり、帰宅部的な扱いに近いです。

監督やコーチ、アカデミーの統括担当の方などが、定期的に学校を訪問し、担任の先生とコミュニケーションを取っているようでした。

ユースの選手の中にはヤンチャな選手もいて、そうしたケースでは、学校と密にコミュニケーションを取るようです。

トレセンやアンダーの代表に選ばれる選手の場合、国内合宿や海外遠征があり、学校を休むことになります。

また、選手によってはトップチームの活動に呼ばれることもありますので、基本的には練習は午前中の活動になり、授業に参加できないことになります。

学校のサッカーへの理解は非常に重要だと感じます。

Jユース後の進路

Jユース後の進路、つまり高校を卒業した後の進路ですが、
・トップチーム昇格
・別のプロ/JFLへの入団
・大学への推薦入学
・大学への一般入試入学
・就職など
のケースが挙げられます。

トップチームへの昇格を目指して、切磋琢磨しますが、プロになれるのは強豪のユースで1学年で多くて2~3人、場合によっては昇格0というケースもあります。

特に契約はないはずですが、紳士協定的に育成を行ったトップチームへの昇格がマストになっていると思います。
ムラ社会ですので、ルールの中でスカウト活動を進めています。

自チームで昇格できなかった場合には、その他のJクラブやJFLなどの選択肢があります。

一方で、プロにはならずサッカーの強豪大学へ行くケースも多いですね。
強豪大学のサッカー推薦の枠は、全国大会での成績や選抜チームでの実績、学校によっては学業などを総合的に見て判断するケースが多いです。

最近のケースですと、Jユース→強豪大学→Jクラブ(戻り)というケースが目立っています。

私が応援しているフロンターレのケースでも
・三笘選手(川崎U-18→筑波大学→川崎)
・脇坂選手(川崎U-18→阪南大学→川崎)
・早坂選手(川崎U-18→横浜桐蔭大学→川崎)
が挙げられます。

Jの18歳~22歳の育成が弱い部分を大学がカバーしている図式になっていると私は見ています。

個人的な意見を言わせて頂きますと、日本のサッカー選手の市場価値という意味では、この仕組は良くないです。

世界的に見れば、22歳の選手がプロデビューしていない、24歳くらいで初めて、海外のクラブに移籍する、
現在だと、5大リーグの1部ではなかったり、1部でも下位のチームです。

次のステップアップを見ると、26歳~27歳ですので、上手くいってもプレミアやブンデスの中堅クラブに留まります。

そこからビッグクラブ(ヨーロッパの上位10~15)に行ける可能性はかなり狭いでしょう。

三笘選手の様な稀有な才能の選手の例を話しているので、極端な例かも知れませんが、日本代表になれるクラスの選手であれば、大学3年生くらいでは大学のサッカー部を退部し、Jのトップで活躍していてもらいたいものです。

ただし、推薦で入っている場合、
・在学中の大学への著しい貢献が求められる
・ちゃんと大学を卒業する(単位を取得する)
という前提に引っかかってしまい、3年次の退部は厳しいのではないでしょうか。

Jリーグの特別指定制度も契約が前提に現在はなっていますので、大学3年生(20歳)がJリーグクラブとプロ契約するのは非常にハードルが高くなっています。

ヴィッセル神戸の武藤選手の場合、もともと高校から慶応で、大学へは内部進学でした。
2年次にユースから所属していたFC東京に特別指定登録され、4年生の前に、退部しFC東京にプロ入りしています。

育成制度に関する思いは、また別の機会で書いていきたいと思います。

大学にサッカー推薦で入ることのデメリットは、サッカーを何らかの理由で続けられなくなるかも知れないということです。

サッカーの怪我であれば、在籍は可能かも知れませんが、それ以外のケースでは、学校に居場所(物理的/精神的)がなくなってしまうリスクがあります。

大学は別にサッカーをしに行く場所ではありません。あくまでも学業を行う場所です。(教育機関というより研究機関)

サッカー推薦で入るにしても、ある程度の学力、
入学後のサッカーとは別の「学びたいこと」が明確であることを本来は大学は求めるべきではないでしょうか。

※一般入試の方でも、「学びたいこと」がぼんやりとしているケースは多いと思いますが、、、

学びとスポーツが一体化し、商業化してしまっている、我が国の現状を杞憂しており、この様な記載をしました。
ご理解頂けると幸いです。

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