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大学教育における単位認定基準の不思議

大学の仕事もしている関係で、「大学の単位認定基準」について調べる機会がありました。
学生時代は全く意識しなかったのですが、改めて知ると「??」と思ってしまいました。

大学の単位認定基準は?

大学の単位は、「45時間の学習で1単位を認定すること」が基準です。

この45時間のうち、授業時間は「15~30時間の間で学校が任意に定めてよい」ということになっており、例えば(最低ラインの)15時間を授業に充てると、事前学習15時間+授業15時間+事後学習15時間=45時間がモデルケースになります。

通常、半期の授業では1科目2単位で認定されるので、学生が勉強しないといけない時間は90時間。大学側が実施するべき授業時間は15時間×2単位=30時間以上となります。

これを半期(15週間=約4ヶ月)で消化するには、毎週6時間の学習が必要で、講義は週に2時間以上となります。

そんなに授業あった?

自分の学生時代を振り返ってみると・・・通常の科目(2単位)は週に90分講義が1回×15週でした。
残りの30分はどこに消えたのでしょうか?

実は、「45分の講義で1時間分と見做す」という謎の慣行があるのです。
その理由付けも、「学生の集中力を維持するための休憩時間や、移動時間の分を差し引くから」という不思議なものです。

また、額面通り「2単位で毎週6時間の勉強」となると、毎日(平日)12時間勉強したとしても、1日4単位分×5日=20単位しか取れません。
参考までに土日も使って週に7日すると28単位です。

自分自身の大学初年度を振り返ると・・・教養単位を早く揃えて後々の負担を軽くするために、とにかく入れられるだけ講義を入れていました。
計算上は、週5日×5時限=25コマ×2単位=50単位分入れられるわけですが、必要な学習時間は50単位×6時間=300時間となり、物理的な上限(7日×24時間=168時間)を軽く超えてしまいます。

実際は・・・授業を登録してもほとんど授業には出ず、予習・復習どころか教科書を一度も開かず、2単位で90時間どころか、(授業によっては)試験で60点を超えるための数時間の勉強で済ませたものもあるのですが・・・。

見直した方がよいのでは?

大学によっては「半期で25単位まで」と履修上限を定めています。
しかし、それでも週に6時間×25単位=150時間の学習が必要となります。

基準通りの運用だと、4年間で卒業基準(124単位)を満たすには、平日は講義と自習を合わて10時間ほど勉強する必要があります。就職活動はもちろん、アルバイトやサークル活動も難しいです。

さすがにこれは実情との乖離が大きすぎるので、基準(ルール)の方を改めるべきではないでしょうか?
特に、「45分の授業を1時間分と見做すので、週に90分授業でOK」という理屈は詭弁でしかないと思います。

教員の立場からすると、学生さんに「1単位45時間の勉強が必要なので、予習・復習をしっかりしてください!」とは言いにくいです。
教育機関でありながら、誰の目から見ても非現実的な基準を掲げ続けたまま、変な理屈を付けて実運用で違うことをしているのですから。

例えば、授業は90分×15回=22.5時間。自習で同じ時間を確保してもらって、合計45時間で2単位分(現行基準の半分)が現実的だと思います。

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