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アイスランド大失敗日記①/長崎日々日記番外編

8月4日にアイスランド・レイキャビクに到着した。

6日まで首都のこの町に滞在、その後、8月23日まで同国にとどまり、時計回りに広いアイスランド島を一周する計画だった。

ところが出だしで見事に失敗、いま、島一周を断念、この原稿をレイキャビクのホステル(ドミトリー)に戻って書き始めている。

いま8月9日夜8時(現地時間)。この原稿が完成するまで3日は、かかるかもしれない。

これは、よく事前に調べもしないで、「まあ、行けば何とかなるだろう」と高をくくって見事失敗した、還暦すぎの「ジイさん」の記録である。

たぶん、かなり、長くなる。
自分の備忘録としてつづる。

読んで「バカなヤツめ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!~~~~~ハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!」と嘲笑していただいたら、感謝感激、まっこと、感に堪えない。


パンデミックで世界中が海外旅行を自粛しているかのような状態が続いている。しかし、アイスランドは違った。ワクチン接種その他、一切、問われることなく、自由に入国できる。面倒なのは、帰国時にアイスランドでPCR検査を受けて、国内入国時にその証明書(72時間以内検査)を見せる必要があるだけだ。

「これは、いま、行かず、いつ、行く?」

そう思った。

夏ではあるが、北極圏に近い国、現地の8月の平均気温が、わたしが住む長崎の冬の平均気温とほぼ同じ。また、トレッキングにもそれなりの装備が必要、ジーンズで臨むなど「もってのほか」とサイトにあったので、いちおう、あれこれと必要な防寒具はそろえて臨んだつもりだった。

これまで、アジア各国と中東イランしか旅の経験はなかった。ヨーロッパは初めてだった。サイトを調べると、キャッシュレス社会で、カードが必須らしいとも知った。デビットとクレカ、計4枚用意した。

それと念のためにドルも一応、キャッシュでそれなりに。

これまでの経験上、首都の空港にたどり着いてから、どちらの方向を目指すかだいたいの目算を立てて、「気ままで、自由な旅」を満喫すべく、宿泊先はあえて、首都の第1日ぐらいしか予約を入れずに旅立っていた。

アイスランドもそうした。

しかし、予約を入れる段階で、その宿泊費が目を剥くほどバカ高いのには、驚き、ちゅうちょした。

現地で十分情報をとる時間が必要かもしれない…そう考えて、レイキャビクで2泊予約を取った。これは6月3日の話である。航空券も同じころ予約したので、決して遅かった…わけではないと思う。

ただ、2泊の宿泊先はドミトリーだった。

自慢にしか聞こえないだろうが、ドミ経験がない62歳。

初の海外は35歳からのピースボートと「遅咲き」ながら、決して海外旅行の回数がそんなに少ないわけではない。しかし、ドミトリーは安全性に問題があり、また、何より孤独が好きな自分自身が「くつろげない」という理由で避けてきたのだった。

しかし、トリップアドバイザーなどのよく使うサイトを、いくらあれこれ見ても、日本の、例えば「東横イン」のような価格で個室が確保できるホテルは一切ない。ワンステイ290ドル以上が普通。それでやむなく「まあ、2泊しかしないから、ドミでも仕方ないか。地方に行けば事情変わるだろう」と、「ホステルB47」のリザーブをポチッたのだった。

2泊で1万1000円。どう思います? ディスるわけじゃない(ディスってるか)、ドミですよ!? 「半値だったら、わかるけどな~」と、あくまで自分中心でモノを考え、やむことのないワタシだった。

「これは、これまでの旅の経験、通用しないかも」…そう思った時点で、もっとよく下調べをすべきだった。まあ、今更、遅いよね。

一抹の疑念と不安を抱きながら、雑用に追われて、8月3日、長崎ー福岡ー羽田ー成田ートロントと乗り継ぎ、4日朝、アイスランド・レイキャビクの地を踏んだのだった。

なぜか、感激はわかなかった。

体調がいま一つ優れなかったせいかもしれない。

ホステルB47は、ロケーションは市内中心部、バスターミナルにほど近く、歩いていける距離で、スタートは上々だった。

部屋は5人ぶんのベッド。しかも男女混合。「混合」…わかったのは午後3時ごろ、日本人女子が部屋に入ってきたからだった。

大喜び? いやいや、相手は数段旅慣れた女子ですよ。元気もないし。

「あのう、日本人に見えるけど」とわたしが例によって、使わず、より”磨きがかかった”ブロークンの英語で話しかけると「日本人です、日本語でどうぞ」。

聞くとアイスランドは4回目の訪問だという。

「好きなんですよね。この国が。ここから今回もスタートしようと思って」

「あ、アイスランドからまたどこか、別のところ、ヨーロッパを回るんだ」

「ええ、まあ、そうですね。アイスランドにいつまで?」

「23日までいるつもり」

「だったら、ゆっくりできますね~~~」

「う~ん、そうなんだけど、この国の宿泊、なんだかすごく高くない? オレ(若いっ子ぶり)、ドミ泊まるの初めてなんだけど」

「え? わたし、ドミしか泊まったことない」

ここで会話も止まった。

翌5日

レイキャビクの最大の「観光案内所」がパンデミックのせいか、閉所になっていたので、市役所に代わる施設を紹介してもらっていた。

そのメールを頼りに場所を探し当て、「あのう、アイスランドに来たのはいいけど、ノープランなんです」と正直に言った。

その市役所が紹介したツアー会社なら、ホテルなどのブッキングもやってくれるんじゃないかと思っていたのが、間違いの始まりだった。

「いつまでこの国にいるんですか」

「8月23日にレイキャビクを発つ予定です」

「なら、時間はたっぷりあるね、この島を一周して、いろいろなことが楽しめるよ」「温泉地を訪ねたり、島最大の氷河を見るトレッキングとか」

「そうですか、よかった。島、一周できるんなら、そうします」

「まず、あした、バスに乗って、北部にあるこの国第二の都市、アクレイリに行くといい。ホエールウォッチングができるし、ミーヴァトン湖の日帰りツアーも楽しめる」

「じゃ、そうします。バスの乗り方、教えてください」

応対に出た男性は、日本に30年近く前、行ったことがあるという。「とにかく食べ物がおいしかった。東京に友人がいてね。いろんなところに連れていってくれた。食べ物の名前は全部忘れたけど」と言いつつ、「ありがとう」「さよなら」の超初歩日本語を披露してくれた。

アクレイリへのバス乗り場、初発の時間を聞いたあと、そのツアー会社を離れた。「いいカモ来た」と、ホテルやオプショナルツアーを片端からふっかけられて、それに乗るのも悪くないか、面倒だし、と思っていたから、少し肩透かしをくらった感じだった。

ホステルB47に帰って、さっそく、アクレイリの6日からの予約を探した。10日まで滞在するつもり、つまり4泊5日だ。

もう、ドミトリーは避けて、ゆっくりした時間を取りたいと願った。

しかし、これは、まさに「捕らぬ狸の皮算用」とでもいうべき、アホな自分勝手な願望で、ヨーロッパ有数、観光で食べているといっていいアイスランドという国にあって、6月から8月にかけての観光シーズン最盛期、いくら検索かけても、リーズナブルな価格での「プライベートルーム」がとれるわけなんてないのだ!!!!!!!!!!!!

だが、人間、誤算を簡単に認めたくない。しつこく探し続けた。250ドル台でいいから、個室とれないかなあ。なんどやっても無理。一度、386ドルという数字が出てきて、「お、もうこれに決めちまおうかな?」と心が傾きかけた。しかし日本円に換算すると「20万円」超すではないか。

海外でそんな散財、したことがない。

あきらめずに続ける。やはりドミトリーしかない。それも、現在宿泊しているホステルB47と同じ金額。

しかたない、もうドミで手を打つか。

そうあきらめて、ドミの条件いいところを検索開始するけど、さっき引っかかったところが、出てこない、全部「フル」になってる!

「なんか、いよいよ追い込まれた」

チェックインを6日から7日に変えても、状況は動かない。

いよいよマズいことになった…そう考えながら「検索の仕方がよくないのかも」と思い直し、予約を取ったことがない「Hotels.com」というサイトで検索をかける。

すると。

あるではないか!

1泊1万5000円。4泊約6万円。

これなら、まあ、許容範囲じゃない? この高額アイスランドにあって。

名称はゲストハウス ヒムナスヴァリル (Guesthouse Himnasvalir)
IS, 561, Akrahreppur, Road 759

アグレイリ閉鎖ゲストハウスP 2022-08-10 041027

疲れていたし、さっそくポチった。

それでも、地図を見てみると、さすが、「安すぎる(今から思えば)価格」、アクレイリへのアプローチは大丈夫なんだろうか、相当、距離が離れているように見えるけど。

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(赤い円が”ラリった”あまり、ポチってしまったゲストハウス。×印が目指す都市アグレイリ。この地図見て、『変!』と感じない点でツーリスト大失格。あとで、このゲストハウスの地点からアクレイリまで車で飛ばして40分以上かかると判明するのだが、このときはもう、頭がどうかしてた)


ちょっと電話かけて確かめてみよう。

レイキャビクのコンビニでSimカードを確保して、使っていなかったSimフリーの初代iPhone SEにセットしていたので、電話をかけるのは簡単だった。

ところが。
アイスランド語で「???」と繰り返されるばかり、さっぱり要領を得ない。

ホステルのマネジャーにアイスランド語を訳してもらった。

「この電話は現在使われておりませんって、言ってるよ」

この時点で、「こりゃ、何かがおかしい」と気づくべきだった。

「もし、ゲストハウスがなかったら、どうする? アクレイリの町から相当離れているみたいだし、取り返し、つかないことになりかねない」

とはいっても、そこはどこまでも浅はかなワタシだった。

「いや、しっかりしたサイトで紹介、『確認の電話もかける必要はない、予約は確保されました』とメールが来てるじゃないか」

人間、やはり情報は自分が都合よく解釈したいもの。

まあ、大丈夫なんじゅやないか。いけば、なんとかなるんじゃないか。

なんとか、ならないんです。

還暦すぎても、この人生に対する基本的な甘さ、治らない。

アクレイリへ向かうバスは9:00出発。市内中心部から少し離れた市外へ延びる路線のバスセンター。

乗り過ごしてはいけない。そのことだけを考えて、「あしたは、ドミではなく、個室でゆっくりくつろげるだろう」と眠りについたのだった。

このときは、すべてが順調に運んでいるように思えた。

結論からいうと、このゲストハウスは、ちょっとよぎった悪い予感が見事当たって、閉鎖になっていたのだった。

しかも海外旅行初の『惨事』が待つ受けていようとは、どこまでも緩いわたしは気づくすべさえ、なかったのだった。

この項続く。

またあした、カキコできるかどうか、わからない。

死んでるかもしれないし(冗談、ジョーダンです)。

しかし、「バカめ!!!!!!!   HAHAHAHAHA ハハハハハハ!!!!!!」と、わたしの自虐の詩をともにうたってあげよう、という人の期待を裏切らないことを約束したい。

公開備忘録なので、そこはきっちり、ケリつける。

よかったら、②も目を通してください。

たぶん、あさってまでには②を出稿できるかと。

※パスポートを失くす、という事態がなぜか、幽霊ゲストハウスを探す途中で、起きるのだった。

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