見出し画像

「コックリさんの父〜中岡俊哉のオカルト人生」

中岡俊哉先生の「恐怖の心霊写真シリーズ」は全部持ってたな。夜は怖くて開くことはなかったけど。

中に、三島由紀夫が海水浴場でくつろぐ写真があり、首のところに斜めに白い線が入ってて、“近い将来、首が落ちるのを予言してる”みたいな中岡先生の解説があったと記憶してる。

俺がよく見てたのは、中岡先生よりも、新倉イワオ先生が出演してた昼のワイドショーの「あなたの知らない世界」だった。

本を読んで、YouTubeでウpされてる「水スペ」「木スペ」の動画を見たが、小さなことでも全体で一気に恐怖を盛り上げていく内容に感心しながら、とても懐かしく見た。

超常現象評論家の中岡先生しか知らなかったけど、若い頃は中国に渡り八路軍の兵士として国民党と戦い、その後、北京放送のアナウンサーとして活躍して、帰国後はしばらく公安が張り付いてたなんて。

意外と、闘いに次ぐ闘いの連続の人生で、少年誌などに、自ら聞いた中国の怪談・奇談を書いてるうちに、“超常現象”と出会い、70年代の超能力・心霊ブームの中心的存在の一人となる。

視聴率しか頭にないテレビメディアと決別し、ハンドパワー、ヒーリング、スピリチュアルとのめり込んでいく姿にちょっとイタさも感じるが、私財を注ぎ込んでもトコトン研究に没頭する姿勢は凄まじい。

七疑三信(10のうち7つを疑って3つを信じる)を信条として、誰に肩入れすることもなく、あくまで客観的立場から、研究材料として現象を見ていく姿勢を最期まで貫いた、はいいが、やっぱり体験・経験が何よりも第一で“ある”という結果が全てのベースになってる。

中岡先生がブームを作ってしまった「コックリさん」も、コインが勝手に動くから心霊現象はある、は揺るぎない事実となり、そこに参加者の心理や無意識の筋肉の動きなどの科学的要因は考慮されてないのだ。

胃ガンになっても、手術も抗ガン治療もさせないで、ギリギリ動けるまで仕事を続けた姿勢は尊敬できるけど。

波乱万丈の人生は楽しく読めた。

脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。