【古典邦画】「支那の夜」

1940(昭和15)年に作られた邦画「支那の夜」(伏水修監督)。「上海之夜」とも「蘇州夜曲」ともいう。YouTubeにて。

主演は、長谷川一夫と李香蘭こと山口淑子。

日本人の船員の長谷哲夫(長谷川一夫)と抗日運動をしていた中国人の娘・桂蘭(李香蘭)の恋愛メロドラマなのだが、大日本帝国の満洲など中国進出を正当化する国策映画とも、ヒロインの李香蘭が長谷に好意を抱く場面も一方的で中国人を弱く描いている(長谷が桂蘭を殴って桂蘭が長谷に好意を示す)とも、日本人の山口淑子が李香蘭という名をかたって中国人の娘を演じているとも(中国では中国人と信じられていた)、中国側からは屈辱的だと様々に批判を受けた映画である。

支那という呼称が問題として度々、タイトルも変更されている。

まあ、確かにそうかもしれないが、俺は、当時の社会情勢を背景にした、プロパガンダじゃない、単なる恋愛ドラマとして鑑賞した。

メロドラマとしては完成度が低くてイマイチだったけど、李香蘭こと山口淑子が出演した歴史として観れば価値があるかも。

メッチャ中国語が上手いし、小悪魔女子のような瓜実美人顔はスゴい魅力的だ。薄汚れて浮浪者のようだった彼女が、長谷の家で風呂に入り、寝巻きを着て出て来た姿はとても可愛くて、長谷川一夫じゃなくとも惚れてしまうね。

彼女が唄うテーマ曲は、俺もメロディは知ってた。

山口淑子は日本よりも外国で活躍していたから、売国奴だとかスパイだとか、いろいろと問題にされたようだ。でも、この映画は日本だけでなく、世界各地で大ヒットしたという。

桂蘭が長谷と出会って、抗日組織の邪魔が入って、2回大きな危機が訪れるが、最後はハッピーエンドで終了、運河にかかる石橋の上で抱き合うというもの。

日中戦争の国策映画と批判されたわけだが、李香蘭の魅力だけで持ってる映画だな。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。