【古典映画】「海底二万マイル」

子供の頃、ジュール・ヴェルヌの翻訳か絵本かを読んだことがある1954年のディズニー映画「海底二万マイル(20000 Leagues Under the Sea)」。

監督は「ミクロの決死圏」「絞殺魔」「トラ・トラ・トラ!」のリチャード・フライシャーだったなんて。

確かディズニーランドにアトラクションがあったよね。

127分と長めの映画だけど、子供だけじゃなく、オトナが観てもこんなに楽しめるなんて。

時代は1686年。
世界各地の海で、船舶が謎のモンスターに襲われて沈む事件が頻発してた。
アメリカ政府の役人に依頼され、海洋学者の教授が助手と共に調査船に乗り込む。
3ヶ月間、探索するがモンスターは発見できずに調査の打ち切りを決めた時、モンスターに体当たりされて調査船は沈んでしまう。
海に投げ出された教授と助手、水兵の3人は海を漂流した後、モンスターの正体である潜水艦ノーチラス号に辿り着いて、艦を操るネモ船長に捕らえられてしまう。
ネモ船長は教授の研究に興味を持って歓待し、教授も高度な技術によって、海底で自給自足の生活を送るネモ船長に興味を持つ…。

ノーチラス号の動力が、名前は出てこないものの、人類の未来のエネルギーで、使いようによっては再生にも破滅にもなるということで、これは絶対に原子力に違いないだろう。

19世紀末ではあり得ないような高度な技術を駆使して作ったノーチラス号で、ネモ船長と乗組員は世界各地の海で船舶に体当たりして沈めている。

ネモ船長は、ある孤島で武器の開発のための奴隷として強制労働をしてた過去を持つ。それ故に、地上の人間社会を、平和を謳いながらも裏では戦争の準備を進める矛盾と欺瞞の世界と嫌悪しており、海洋の世界を絶対的な崇高な神に近いものとしている。

カルトっぽいけど、007のスペクターのプロフェルドと一緒だなぁ。そういや007にもノーチラス号のような潜水艦が出てきた(「ダイヤモンドは永遠に」だっけ?)けど、この映画を参考にしたのかしらん。

最後に、ネモ船長は、攻撃を受けて、人間に絶望したとして、地上の基地など全てを破壊して乗組員も一緒に自らも死んでしまうが(ガイアナ人民寺院みたい)、彼の言葉には示唆するものが多い。

一般社会と断絶することで、今だに神秘が多い海洋の世界を絶対視するから、こういう結果になるのであって、人間は平和を望めば、戦争も望むアンヴィバレンツな存在であることを自覚してれば、まだ未来も待ち受けていただろう。知性の高いネモ船長だけになんとももったいないことだ。

この映画のウリの一つである巨大タコ?ダイオウイカ?との死闘は特撮みたいで面白い。

50年代アメリカSF冒険活劇の古典的名作だと思う。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。