寅さん

前に、渥美清のドキュメンタリーを見たが…。

寡黙、人嫌い、秘密主義と寅さんのイメージとは全く違う実像に、逆にスゴい親しみを感じる。こぎみよいテキ屋の口上は渥美清のアドリブだったんだね。

同世代のコメディアンへの嫉妬と異常なライバル視や、周りのことを考えない突然の意思変わり、様々な役者や会社との軋轢、山田洋次監督も知らないプライベート(それから語られないけど家族へのDV)は、俺がイメージする昭和の破天荒な役者そのものだなぁ。渥美清はけっこう冷たく気難しい性格だったんじゃないか。

本人は寅さんのイメージに縛られたくないと葛藤したみたいだが、結局それから逃れられなかった。というか無理だろう。いくつか脇役も含め反戦映画にも出たが、やっぱり失敗作となってしまったという。拝啓天皇陛下様?観てみたいなあ。

渥美清は実は喜劇役者じゃなく悲劇役者だよね。笑ってても、細い目の奥に暗い虚しい全てを悟りきったようなネガティヴな光が見える。寅さんでも、ふと押し黙った表情に突き放すような、人を拒絶するようなものを感じることがある。まあ、実像を知ったからだろうけど。

しかし「八つ墓村」になんで出たんだろ?後でやっぱり角川ともめたみたいだが。

脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。