【洋画】「ザ・ブルード/怒りのメタファー」

大好きなヘンタイ監督デヴィッド・クローネンバーグの、1979年の作品「ザ・ブルード/怒りのメタファー(The Brood)」。Amazonプライムにて。

前に観たとは思うけど、忘れてた。ちょうど監督自身が離婚問題を抱えていた時期だからか、精神異常となった妻との崩壊する関係が描かれている。

妻は、施設でグループ治療を行うカルト的な精神科医に洗脳されて、ついに、憎しみの感情を物体化させることができるようになった。その治療法は、患者の肉体に生理的な変化を起こすことで、抑圧された感情を解放するというもので、“サイコプラズミクス”という。

結局、妻が精神疾患を発病した要因は、母親からの虐待だった訳だが(精神疾患は母親との関係に要因がある場合が多い)、憎しみの感情が起こる度に、次々と性別のない小人のような異様な怪物を、腫瘍となった子宮から生み出していた。そして、それが人に危害を加えていたのだ。

特別、過激でも、グロくも(ちょっとグロいシーンはあるけど)、スプラッタでもないけど、クローネンバーグらしく、捻れた精神医学、サイコパスによる人間の変貌がテーマとなってる。

母親による虐待という抑圧が解放されて、その抑圧の部分であった負の感情が、抑えの効かない、自分の分身ともいえる怪物となって現れる。母性ってのは、人間の精神に、一生もんともいえる程の大きな影響を与えるものだ。

離婚問題も影響があると思うが、クローネンバーグには特別に母性に対するトラウマでもあるのだろうか?


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。