「テロルの昭和史」

三月・十月事件、血盟団事件、五・一五事件、神兵隊事件、永田鉄山刺殺事件、死のう団事件、そして、二・二六事件…。

昭和5年(1930年)からの、昭和初期に起こったテロルとその背景を探ったもの。

右翼陣営からの、国の現状を憂い、義挙に駆り立てられた、当時の政治家を標的にしたテロルが中心なのだが、昭和維新断行のイデオロギーやテロルの効果などは別にして、煮詰まった出口の見えない暗い不安の時代に、原初的な、動物的な衝動に駆られて、どうしても跳ね上がってしまう人間が、一定数、生まれてしまうのではないだろうかと思った。意図しないでも、風穴を開けるために。現代の、真の国賊暗殺や増税クソ眼鏡へのテロル未遂も同様だ。

自分の行動を正当化するためには、敵を作り、それを憎むという感情が必要で、これが実際のテロルを起こす大きなバネとなる。二・二六の青年将校らは、当時、こういう感情に支配されていて、いつでもテロルに転化できるような心理状態にあったのだ。昭和初期は、それだけ猟奇的な時代であったということでもある。

二・二六事件への流れを読むと、背景に派閥争い等を含めて旧陸軍(特に東条ら)が暗躍していて、軍事政権の樹立、そして、太平洋(大東亜)戦争へと至る道を進んでいることがわかる。

テロルを鎮圧する側、警察など官憲の国家テロルも盛んであったようだ。特に、神奈川県警(特高)の残虐非道ぶりは凄まじいね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。