【古典洋画】「イントレランス」

YouTubeで名作「イントレランス(Intolerance)」が観れた。しかもメッチャ高画質。“映画の父”ことD・W・グリフィスの監督・脚本、1916年(日本は大正5年!)公開のアメリカの古典サイレント作品だ。

イントレランスとは「不寛容」のことで、①当時のアメリカで、ある青年が無実の罪を着せられて、死刑の宣告を受ける現代篇をメインに、②古代イスラエルでパリサイ人の迫害を受けて、磔刑されるキリストのユダヤ篇、③不寛容な神官の裏切りがキッカケとなってペルシアに征服されるバビロンのバビロン篇、④フランスのカトリックがプロテスタントを迫害したサン・バルテルミの虐殺の中世篇、の4つの「不寛容」エピソードを交差させつつ描く。

4つの物語の繋ぎ目には、女性がユリカゴを揺らしてるシーンが挿入される。この女性はグリフィスの映画ではお馴染みのリリアン・ギッシュだ。

歴史ものであるため、巨大な城塞などのセットに、多数のエキストラを使用しており、かなりのお金をかけたのだと思われる。それだけグリフィス監督が力を入れた超大作であるが、4つの物語を交互に描くという斬新な手法が、観客には難し過ぎてウケずに惨敗だったという。

グリフィスが、この映画の前に監督した「國民の創生」で、白人の視点から、KKKによる黒人虐待を正当化するかの如く描いているので、お前が不寛容でもねえだろうと思うが、大量の資金を投じた作品で、画期的な撮影技術も導入して、後年に多大な影響も与えているので、アメリカ映画の古典的名作として歴史に刻まれているものと思われる。

結局、不寛容よりも、博愛と寛容を訴えているような悲劇の物語であり、教科書みたいでもあるが、まず「國民の創生」でわかるように、この当時は多分、白人の世界でという条件付きである。

物語の継ぎ目に挿入される、ユリカゴを揺らす女性のように、不寛容な人間をも寛容に優しく見守るという構図は理解できる。

つまりは、そもそも人間とは、自分と異なる価値観を持つ人間に対して攻撃的になる不寛容さを持った生き物なのである。

だからこそ、こういう映画をはじめ、様々な文化を育んだのだ。そして、この映画が公開された後に2つも世界大戦を起こすのだから。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。