【古典洋画】「ロビンソン漂流記」

大好きなルイス・ブニュエル監督の、1954年の作品「ロビンソン漂流記(Adventures of Robinson Crusoe)」。Amazonプライムにて。

初期のメキシコ時代の、有名な冒険譚だが、ブニュエル監督らしい味付けが光る、面白いサバイバル・ストーリーであった。

ロビンソン・クルーソーの乗る船が、アフリカからブラジルへ向かう途中、激しい嵐に遭遇して難破、這這の体で辿り着いた無人島で、以来、島に白人が来るまで、28年2ヵ月19日(!)もの日々を過ごすという話だ。

まず、孤独に耐えつつ、工夫して送るサバイバル生活が、定石だけど、めっちゃ面白い。

連れていた犬や猫を癒しとしつつも、気が狂わんばかりの孤独感に襲われるロビンソン。必要な生活用品や住む場所を作り、食物を育てる畑を耕し、島を抜け出すためのカヌーを作る日々だが、あっという間に年月は過ぎて行く。

ある日、浜に原住民がいるのを見つけて、殺されようとしていた原住民の若い男を助ける。彼のことを、金曜日に出会ったからフライデーと名付けたロビンソンは、彼と共同生活を送るようになるが、まずは言葉を教えて、簡単な文明の利器を使った生活を教示する。

最初は、白人の植民地主義を反映して、原住民を人喰い人種と見て、奴隷的な扱いをしていたが、徐々に平等な信頼関係を築いていくエピソードは見応えがある。

ロビンソンとフライデーの、神と悪魔の存在についてのやり取りで、フライデーが「神は悪魔を必要とするのではないか?」と問い、ロビンソンが言葉に詰まるのは、アンチ・キリスト、アンチ・教会主義のブニュエル監督らしいシーンでニヤリとほくそ笑む。

そして、ついに、白人の船が捕虜を連れて島にやって来た。ロビンソンらは、捕虜となった船長らを助けて、この島に金があるかのように見せかけて、欲に目がくらんだ彼らを島に残して、フライデーも連れて故郷イギリスへと向かう。

児童文学の古典だが、孤独であっても、創意工夫でサバイバル生活を送り、決して希望を失うことはないという人間本来の強さを示すような物語は、15〜17世紀の大航海時代の植民地主義が背景にあったとしても、やはり万人受けするものだ。探検・侵略・征服・奴隷化は人間の歴史そのものだからね。
そういや女人が全く出て来ないね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。