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対物から対人へを実践する方法

今日は「対物から対人へ」を実践する方法について書きます。

今日の記事は正に僕が実践してきたことですし、また現在進行形で挑戦している内容です。
前回の記事では対物から対人へを実践する際に必要なマインドセットの整理方法について書きました。続いて対物業務の整理方法について紹介したいと思います。

業務内容がこれほど劇的に変化する(させる)ためには今まで抱えてきた対物業務の整理と非薬剤師へのタスクシフトが必須ですが、同時に自らのマインドセットの整理が必要になります。
これまでの対物業務+マインドセットに加えて、新たに対人業務+マインドセットを積載するようなことは到底不可能です。病気になります。

1)業務を言語化・図表化する

前回の記事と同様に自分が今行なっている業務を全て言語化して4象限に仕分けしていきます。
この方法はハザマ薬局で用いられている手法で日経DI(0402通知を読み間違えないための3つのポイント)にわかりやすく紹介されています。

プレゼンテーション.001

例えば「ピッキング」「一包化」「発注」「服薬指導」「訪問指導」「棚卸し」のように自分の1日の仕事風景を思い起こしながら書いていきます。

薬学的専門性と業務的重要性の2つの軸を使うことは、これまでの慣習や既成概念に囚われないようにするためにも重要だと思っています。
なぜなら今まで自他共にそれをやるのが当たり前だという環境や認識が前提にあると、感情的なノイズが入りうまく仕分けることができないからです。
0402通知が出て1年が経ちましたが、薬剤師の中にも未だに否定的な姿勢が残っていることの理由のひとつだと考えています。

2)タスクシフト/シェア、思い切って捨てる

ひとりで整理できることと人に助けてもらわないと整理できないものがあります。

1)で作成した図表を象限ごとに見てみます。

第Ⅲ象限(ひとりでできそう)
薬学的専門性、業務的重要性共に低い業務です。もっとも手をつけやすい領域だと思います。積極的に手放していきます。

第Ⅳ象限(人に助けてもらう必要がある)
薬学的専門性は低いが業務的重要性が高い業務です。ピッキングや一包化、レセプトや棚卸しなどが該当します。タスクシフト/シェア可能な領域です。

こちらの記事でも書きましたが、僕はパートナー(非薬剤師スタッフ)3名とチームで働いています。彼女たちが第Ⅳ象限の仕事を積極的に連携しながら進めてくれています。
昨夏の日本在宅薬学会学術大会で僕の担当患者数や業務内容について紹介したところ、パートナーに関する質問がシンポジウム終了後も続きました。

印象的だったものをいくつか挙げてみます。

「これだけの業務をするために何時間くらい残業していますか?」
→「残業は月に1時間くらいです。」

「(100人超の)施設のエンシュアの残数はどれくらい正確に把握していますか?」
→「1本単位で把握しています。ただし残数を数えているのは僕ではなく配薬を行なっているパートナーです。」

「施設で外用剤が適切に塗布されているのか心配です。」
→「塗っている現場・時間を狙って訪問してみてはどうでしょうか。」

すべての質問に対する答えの背景にパートナー(非薬剤師スタッフ)との連携があります。薬剤師の時間・気力・体力を対人業務に注ぎ込む仕組みです。
パートナーについては日本在宅薬学会ですべてオープンにされていますのでよろしければご参考にされてください。またハザマ薬局では随時見学の受け入れも行なっています。
パートナー制度の導入は組織的な改革が必要になり、僕にそのノウハウは無いのでここでは詳細にお話しできません。

業務を整理したり捨てたりする際に絶対に蔑ろにしてはいけないのは、自分がやらない(やる)理由を他人が納得できるレベルまで言語化しておくことです。
人は本質的に変化を嫌います。薬剤師もパートナーも納得のいかないままにタスクをシェア/シフトされると確実に反発するでしょう。
薬剤師は自分の行動を言語化し、患者さんのためにならないことが見当たるのであればひとつずつ潰していくべきだと思います。
その上でチームメイトと対話し業務を整理していきます。(それでも嫌われる勇気は必要です笑)

現在僕はこれまでⅠやⅡだと考えていた業務が実は他の医療スタッフ等とタスクシェアすることで省力化・効率化できることがわかってきたため積極的に整理しています。
これだけが理由では無いですが、施設への往診・訪問業務だけでも以前と比べて週間で7時間以上短縮できました。
もちろんサービスの質は以前より向上しています。

繰り返しになりますが、根本的な業務整理を行うには、トップの決断の下で組織的な改革が必要です。
僕が現在行なっている業務整理は4名で構成されるチームの範囲ですが、かなり先進的なチームになっていると思っています。
内容はサークル内で随時共有していきますが、実行するにはかなり勇気が必要でした。実際失敗も多いです笑
業務整理を実行できた理由は自分が慢性疲労症候群(CFS)でダウンした経験が活きています。(今は良くなりました、とてもわかりやすい漫画を紹介します)
この病気を得たことで日常のあらゆる動作がどれくらい脳を疲労させるかが身体で解るようになりました。(めちゃくちゃラッキーだと思っています。)
例えば、努めて標準語で話すことや急いで身支度をすることもかなり脳が疲れます。

この経験を基に、今までおかしいなと思いながらもなかなか実行できない・言い出せなかったことも言うようにしました。みんなとても協力的で本当に感謝しています。

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