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中核派による女系天皇反対論

 初めに言っておきますが、私は皇位継承問題について現行の皇位継承順位を変えるべきと言う立場では、ありません。
 ただ、あらゆる可能性に備えることも大切です。過去には時の天皇に息子がいない場合、娘を即位させたり傍系の男の子を養子に向かえたりしていました。
 明治以降、女性天皇も養子縁組もどちらも否定されたのは、必ずしも今の時代に合致するとは限らないため、大御心に基づいて「皇室典範」を改正する必要性はあると考えます。
 また、大御心を忖度する際には天皇陛下に対する敬意を持つことが第一です。
 現在の議論を見ると、男系派の竹田恒泰氏にも女系派の小林よしのり氏にも、奇妙な共通点があります。それは「陛下の側室に反対しておきながら、自分は浮気をしている」という事実です。
 言うまでもなく不倫は良くないことですが、他人の不倫を非難できるのは自分が配偶者や恋人を一筋に愛している方だけでしょう。況してや、皇室のことに口を挟む際には余程身を清くしておかないと畏れ多いと考えます。
 これは政治家の皆様にも言えることで、我が国には政治家の不倫に寛容な風土がありますが、例えば我が子の堕胎を強要するような男が昨年立候補した事件がありましたが、その様な男が『民法』や『刑法』を改正する権限を持つなど、想像するだけでも悍ましいことです。
 長い前置きになりましたが、皇位継承について臣民が簡単に口を挟むべきでは無いと言いたいのです。
 その「反面教師」として私が挙げたいのが中核派です。
 あまり知られていないですが、中核派は女系天皇反対派です。中核派以外の革共同のセクトも似た見解であるはずです。
 無論、中核派の言う反対論は保守側とは正反対の理由です。令和元年(西暦2019年、皇暦2679年)の『週刊三里塚』で中核派はこう書いています。

 この間マスコミは、天皇代替わり行事で祝賀ムードをあおり、一夜の神事のためだけに27億かけた大嘗祭を無批判に報道しました。総予算166億円。大災害が連続した直後です。これだけあればどれだけ多くの人の生活再建に役立てられたことか! 共産党も立憲民主党も天皇制そのものを問う立場から転向して女性天皇の是非に論議をすり替えています。真に労働者・民衆の党ならば、私たちの頭の上に「国民統合の象徴」と銘打つ世襲の天皇を置くことなど認められないはずです。

北里一枝「北総の空の下で 東京五輪 偽りの「震災復興」」2019年11月25日

 ちょっとよく理解できないのは「立憲民主党も天皇制そのものを問う立場から転向して」と書いてあることです。
 立憲民主党は綱領で象徴天皇制支持を明記しており、転向も何も当初からの立場です。中核派は勝手に立憲民主党に幻想を抱かないでください、と言いたいです。
 また中核派は『前進』2227号で女系天皇を「天皇制延命」という理屈で批判しています。

 11月24日、小泉首相の私的諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」が女性・女系天皇の容認を柱とする報告書をまとめた。現在の皇室には男の子が生まれず、このままでは天皇の後継者がいなくなるという危機に直面している。そこで日帝は、従来「男系男子」に限るとしてきた皇位の継承権を女性にも認めることでなんとしても天皇制の延命を図ろうというのだ。小泉は、来年の通常国会に皇室典範の改正を法案にして提出すると言っている。
 このことをめぐって、政府・自民党の内部、皇族、ブルジョアジーなど日帝支配階級の中で激論が起きている。「つくる会」系のファシストを先頭にした極右派からは、男系男子でなくなれば天皇制の「万世一系の伝統が破壊される」と、絶対反対の声が上がっている。男子誕生のために「側室制度の復活」を公然と要求する声さえある。
 これに対して、日本共産党や社民党は、有識者会議の報告を「妥当である」と積極的に評価し、支持する立場に立っている。女性天皇を認めることは「天皇制の民主的改革の一歩」だとか、「男女同権になってよい」などという意見が、左翼と呼ばれてきた人びとの一部にさえもある。
 だがこれはとんでもないことだ。労働者階級にとって天皇制は、帝国主義による階級支配と差別・抑圧の権化であり、新たな侵略と戦争への動員のための装置である。「女性・女系」に反対するファシスト的論者の露骨な女性差別の言動は、おぞましい限りだ。
 これまで「世界唯一の男系男子の血筋」(これ自体大ウソだが)にしがみついてきた連中が、「女性・女系」を容認してまで、崩壊しかけた天皇制をなんとしても生き延びさせようとしていること自体が、軽視できない大問題である。
 むしろ今こそ、階級支配と戦争と差別・抑圧の元凶=天皇制を廃止し、天皇制を必要としてきたこの帝国主義の国家と社会を根底から変革するために、真っ向から闘う時が来ているのだ。この闘いを放棄して、逆に天皇制の延命に手を貸すことは許されない。

革命的共産主義者同盟全国委員会「天皇制の延命を狙う「女系天皇容認」報告」『前進』2227号

 この「労働者階級にとって天皇制は、帝国主義による階級支配と差別・抑圧の権化」と言うロジックも私にはよく理解できません。何故わざわざ「帝国主義による」という枕詞を付けるのでしょうか?
 中核派における帝国主義は資本主義の一形態ですが、天皇陛下は資本主義以前から存在していますから、中核派のロジックは完全に破綻しています。
 いずれにせよ、皇位継承問題について軽々しく発言すると中核派のような極左過激派に付け入る隙を与えてしまいます。
 と言うよりも、実際に入り込んでいると考えるのが打倒でしょう。その代表例が、男系の皇統を守るべきと言いながら小室圭氏へのバッシングに加担していた連中です。
 眞子内親王殿下の婚姻は、男系の皇統を守る上では渡りに船であったはずです。眞子内親王殿下が臣籍降下される既成事実を作れば女性宮家の実現は一気に遠のくからです。
 ところが一部の男系派のはずの皆様は、眞子内親王殿下の婚姻に反対して小室圭氏をバッシングするどころか、眞子内親王殿下や秋篠宮殿下にまで批判の矛先を向ける始末でした。皇位継承順位第一位の方をバッシングするとは、信じられないことです。
 そもそも秋篠宮殿下は皇位継承順位第一位でありながら皇太弟になっていないことも異常です。今の日本には皇太弟も皇太子もいない異常事態になっているのです。
 仮に秋篠宮殿下が皇太弟になることを拒否されているならば、敬宮殿下を皇太子にするのか、それとも、悠仁親王殿下を今上陛下の養子にして皇太子にするのか、そのいずれも先例のあることですから、政府は先例に則り粛々と法整備を進めるべきですが、恐らくは秋篠宮殿下のご意向も実際には確認していないのでしょう。
 当たり前の話ですが、スパイは必ず味方の振りをします。
 皇室バッシングに加担することの無いよう、落ち着いて大御心を忖度することが大切であると考えます。

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