公明党から選挙葉書が来ましたが・・・

 高校時代の友達で、創価学会の講師の資格を持っている方から、公明党の候補者への投票を呼び掛ける選挙葉書が届きました。葉書には公明党候補と安倍首相の2ショットが大きく載せられています。

 兵庫県では、安倍首相が公明党候補の応援演説をするなど、公明党陣営がかなり本腰を入れています。

 平野貞夫先生が自民党と公明党の「病的癒着関係」を指摘してから十年以上の歳月が経っていますが、今の兵庫県はまさに、自民・公明が病的に癒着しています。

 生長の家が安倍自公政権への不支持を表明した背景には、この自民党と公明党の病的癒着関係も、当然にあります。

 生長の家初代総裁・谷口雅春先生は、公明党=創価学会が政権を握ることを、非常に危惧されていました。

 私は基本的に、他の宗教団体を否定はしません。が、宗教団体が政治活動を行う際には、客観的な批判の元に晒すのは、公益に適うことです。

 例えば、私は靖国神社のことは大好きですが、靖国神社の宮司が雅子妃殿下(当時)について「週刊誌レベル」の情報をもとに発言した際には、それを批判しました。

 私の周辺にも公明党や創価学会の関係者は少なくないでしょうが、それでも公明党を支持できない理由を書かせていただきます。

公明党と創価学会の関係

 まず、公明党と創価学会の関係について、意外に知らない方が多いので述べさせていただきます。

 公平を期すために、公明党の公式HP内にある「公明党のなりたちについて」という文章から引用をします。これは、公明党自身が公表している文書ですから、公明党嫌いの方が事実をゆがめているわけでは、ありません。

公明党は、1964年11月17日に、池田大作創価学会会長(当時)の発意によって結成された政党です。以来、創価学会の仏法の理念に基づき、「個人の幸福と社会の繁栄が一致する、大衆福祉の実現」「人間性の尊重を基調とした民主主義をつくり、大衆とともに前進する大衆政党の建設」を目指してきました。

 ここでハッキリと、公明党が創価学会の仏法の理念に基づいた政党であることが、明記されています。また、

公明党と創価学会は現在でも不定期で「連絡協議会」を開催し、協議内容はマスコミ公開されています。

とも記されており、創価学会の教義の上活動していることは、マスコミに対して公開されている、公然の事実なのです。

「創価学会の仏法」とは「日蓮仏法」なのか?

 では、自民党と共に安倍政権を支えている公明党の「理念」となっている、創価学会の仏法とはどういうものなのでしょうか?

 それについても、創価学会自身の公式ホームページを見てみましょう。

創価学会は、大乗仏教の真髄である日蓮大聖人(1222~1282)の仏法を信奉する団体です。

 なるほど、創価学会は日蓮大聖人の仏法を信仰している、と言います。

 私の家は高野山真言宗の檀家ですが、日蓮宗の最上稲荷の信徒でもあるので、本当に日蓮聖人の教えを信じている方ならば、親近感が湧きます。

日蓮大聖人は「自分の幸福を願うならば、まず周囲の平和を祈るべきである」と述べ、個人の幸せは世界の平和・安穏なくしてはありえないと説いています。その意味で創価学会は、一人一人の幸せのみならず、真の平和・幸福社会の実現を目指しているのです。

 これも、本当ならば素晴らしいですね。「真の平和・幸福社会の実現」を創価学会が目指しており、そして、その「理念」に基づいて公明党が政治活動をされているならば、何も言うことはありません。

 ですが、私は残念ながら、この「公明党=創価学会」の主張を額面通りに信じることは、出来ません。

日蓮聖人と創価学会の「天皇」観の違い

 まず、創価学会の「天皇」観について、次のような報道があります。

 創価学会の池田大作名誉会長の主著『人間革命』には次の一節がある。〈仏法から見て、天皇や、天皇制の問題は、特に規定すべきことはない。代々つづいて来た日本の天皇家としての存在を、破壊する必要もないし、だからといって、特別に扱う必要もない。(略)具体的にいうなら、今日、天皇の存在は、日本民族の幸、不幸にとって、それほど重大な要因ではない。時代は、大きく転換してしまっている〉
 これは、戸田城聖・創価学会第2代会長の言葉として書かれているもので、事実上「創価学会の教義」である。

 私自身は『人間革命』の当該部分を読んではいませんから孫引きになってしまいますが、これについて創価学会信徒からの反論は見当たりませんし、私自身、創価学会の信徒の発言や出版物から天皇陛下を尊崇する言葉を見出したことは、一度もありません。

 これは、日蓮系の宗教団体としては、異例のことです。

 少しでも歴史に詳しい方であれば、宮沢賢治が信仰していたことや「仏前結婚式」を提唱したことでも知られる日蓮系の在家宗教団体「国柱会」が天皇信仰の右翼宗教であることを、知っているはずです。

 それは何も、たまたま右翼思想の日蓮信奉者がいた、というわけではありません。リベラル派でも、日蓮上人の教えを学んでいる方は、天皇陛下を崇敬している方が多いのです。

 例えば、大分県日田市の妙栄寺の住職で、「憲法九条を守る日田の会」の副代表というバリバリのリベラル派でもある掛橋泰定上人のブログには

 全国戦没者追悼式での天皇陛下のお言葉
 「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い」
 再び繰り返さないために有効なことは、国民レベルでも国家でも「他を脅さない」という気概をしっかり持つことです。
 「脅しに負けない」なんて言ったり思ってたら、絶対再び繰り返します。「脅さない」と強く誓うこと、それしかありません。
 宗教者は亡くなった方の供養を勤める者でもありますから(中にはそうではないという宗旨もありますが)、命を奪うことは悪であるとすることに条件をつけるべきではありません。命に軽重はないのですから。

と、天皇陛下の言葉を引用しての平和主義が語られています。

 その背景には、他ならぬ日蓮聖人自身が深い天皇信仰の持ち主であったことが、挙げられます。いくつか例を挙げると

「日本国の王なる人は天照大神の御魂の入りかはらせたまふ王なり」『高橋入道殿御返事』
「此の日本国は外道一人無し。其の上神は又第一天照大神、第二八幡大菩薩、第三山王等の三千餘社、晝夜に我国を護り朝夕に国家を視(みそなはし) 給ふ。其の上天照大神は内侍所と申す明鏡に浮べ影内裏に崇められ給ふ」『神国王御書』

といったものがあります。こうしてみると、創価学会は「天皇」というもっとも根本の部分で、日蓮大聖人とは大きな「ズレ」があることが判ります。

 一宗教団体の「天皇」観は信教の自由の範囲内ですが、政権与党の「天皇」観は我が国の在り方に深刻な影響を及ぼすので、もっと関心が集まるべきでしょう。

「戦争参加法制」推進が「真の平和」?

 さて、上記の「天皇」観は日蓮大聖人と異なっているように見受けられますが、宗教において解釈の違いが存在するのは当然のことであり、それも「信教の自由」の範囲内である、ということはできます。

 しかし、私が公明党を批判しているのはこの件だけでなく、「言っていること」と「やっていること」とが違うことが、あまりにも多いからです。

 一例をあげると、創価学会は「真の平和」を目指すと公式ホームページに明記しており、その「理念」に基づいて政治をしていると主張する公明党は「平和と福祉の党」を名乗っています。

 しかし、それを信じることはかなり難しいでしょう。

 かつて安倍政権が「戦争参加法制」を強行採決しようとしていた際、私の家に「平和安全法制」(無論、その実態は「戦争参加法制」)への賛成を呼び掛けるパンフレットが届いていました。

 そこでは「戦争参加法制」が平和のための法律である、ということが力説されていたのです。

 これを読んだ私は「一体、どこの誰がこんなアホなことを書いているのか?」と思って、パンフレットの発行者を見てみると「自由民主党」でも「日本会議」でもなく、なんと「公明党」であったことに、愕然としました。

 この「戦争参加法制」は、アメリカの侵略戦争に参加するための法律であって、日本の安全保障のための法律でも世界に「真の平和」を実現させるための法律でも、ありません。

 しかし、この「戦争参加法制」への賛成を呼び掛けるパンフレットを、公明党は自民党や日本会議以上に、熱心に配布していたのです。彼らの言う「真の平和」とは、一体何なのでしょうか?

 ところで、最近指摘されるようになってきましたが、創価学会は別に戦前も戦争に反対していたわけでは、ありません。靖国神社参拝は推奨していましたし、創価学会が弾圧されたのは伊勢神宮参拝を否定したからです。

 ちなみに、当時生長の家は「海ゆかば」の斉唱に反対して弾圧を受けていました。当時は当局の方針に少しでも逆らうと弾圧を受けていた時代であり、別に反戦宗教だったから弾圧されたというわけでは、ありません。

 というよりも、権力に弾圧される側であったころなら今知らず、政権与党として権力側に立った今でも「戦争参加法制」を推進している時点で、彼らの言う「平和」がどういうものか、判ろうと言うものです。

 なお、生長の家は平成28年(西暦2016年、皇暦2676年)から国政選挙の度に、この「戦争参加法制」賛成を理由として自民党と公明党への不支持を表明しています。

日本が中共になる「スーパーシティ構想」

 さて、生長の家は今回の参院選で自民党と公明党への不支持理由として、新たに「原発」「スーパーシティ構想」「気候変動」の三点の政策を挙げました。

 原発や気候変動は生長の家がかねてから重視している政策であり、また、世間一般でも注目を集めていますが、ここで公明党も賛成しているスーパーシティ構想について触れたいと思います。

 生長の家の声明のスーパーシティ構想に関する部分を引用します。

2.国や大企業が国民を管理する制度につながる「スーパーシティ」構想に反対します
自民党公約の「経済再生」では、ロボット、IoT(物のインターネット)、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)等の先端技術をあらゆる産業や国民生活に取り入れる方針を掲げています。その一環として、同党はAIやビッグデータなどを用いて都市の超効率化をはかる「スーパーシティ」構想の実現を掲げています。「スーパーシティ」構想とは、車の自動運転やキャッシュレス決済、ドローン(小型無人飛行機)による物流などを一体的に取り入れた都市形成を目指す構想のことです。
この構想は、都市のほぼ全ての情報(人・物・金の動き)をインターネットで収集し、そのデータをAIで分析して超効率的に都市を動かすシステムを構築するものです。政府は、無人運転の車での移動、顔認証によるキャッシュレス決済、ドローンによる宅配などによって、個人が便利で快適な生活が送れることを強調しています。
しかし、この仕組みは、高度技術によって各個人の行動に関わる様々なデータが国や大企業に収集されることになるため、政府や大企業がそのデータを使って国民を管理する制度を構築する危険性を伴います。たとえば、顔認証の多用は、路上に設置された監視カメラの映像を利用すれば、特定の個人の行動を監視して記録することが可能になります。これは犯罪者を探し出すのには便利ですが、政府にとって都合の悪い人物を監視・記録して嫌疑をかけ、警察が不当に身柄を拘束することも可能になります。また、大企業が各個人の購買や移動の履歴を収集して、ある個人に特定の製品やサービスを購入するよう誘導する手段にも利用できます。実際に中国に於てはキャッシュレス決済がこのような監視のもとに行われています。このような危険を回避する方法については、政府も自民党も何一つ説明していません。
国や大企業が高度技術を利用して国民を管理する制度が構築されるならば、個人の基本的人権は侵害され、立憲民主主義の基盤を失うことになるため、「スーパーシティ」構想に、生長の家は明確な反対の意思を表明するものです。

 要するに、日本を中共並みの監視社会にする怖ろしい構想が、この「スーパーシティ構想」なのです。

 そして、安倍政権側はこの構想が中共をモデルにしていることを、隠してもいません。

 内閣府国家戦略特別区域諮問会議議員等として安倍政権のブレーンと知られる竹中平蔵教授は、「スーパーシティ構想を安倍政権のレガシーにするべき」と主張しており、その中でこう述べています。

 8月末に中国のアリババの本社を訪問する機会があった。周知のようにアリババは、ジャック・マー氏が19年前にアパートの一室で始めた企業だ。それがいまや日本最大の企業の数倍の企業価値を持ち、アメリカのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に迫る存在感を持つようになった。
 この会社は、決してネット販売の会社ではない。同社の決済システムであるアリペイは中国で5億人が使用し、中国のキャッシュレス化の象徴だ。またそのスコアリングシステムは、人々の行動をも変えつつあるといわれている。要するに同社は、ビッグデータとAIを組み合わせて社会を変える、まさに第4次産業革命企業だ。
 とりわけ印象的だったのは、本社玄関の巨大スクリーンに杭州市の主要道路の自動車運行情報がリアルタイムで表示され、このビッグデータにAIを活用し交通信号の最適化を行っていることだ。結果的に市内の混雑率は2割低下し、極め付きは救急車が出動してから現場に到着するまでの平均時間が、半分に短縮されたという。

 ここではスーパーシティ構想で中国が便利になったことばかりを強調していますが、言うまでもなく中国共産党はこの技術を駆使して市民生活への騰勢を強めています。

「一帯一路」で深まる中共と安倍自公政権の癒着

 よく安倍政権になってから「日本が右傾化した!」と言われていますが、実際には日本はかなり「左傾化」しています。

 それは、政府が明治維新記念式典に陛下を招聘しなかったことでも明白です。無論、「天皇の存在は、それほど重大な要因ではない」と言う創価学会の教義を「理念」としている公明党は、こうした安倍政権の暴挙には沈黙です。

 この「スーパーシティ構想」も日本を中共並みの監視社会にする構想ですが、日中国交正常化以来、公明党は一貫して自民党と中国共産党の橋渡し役になっていました。

 既に述べたように「公明党=創価学会」の「天皇」観や「平和」観は、私には到底同意できないものですが、別に私は彼らの思想・信条の自由を否定する気はありませんし、創価学会信徒の友人と絶縁する気も毛頭ありません。

 安倍信者にも良い人がいるように、創価学会にも良い人はいます。しかし、「スーパーシティ構想」に代表される安倍自公政権の今の政治を放置しておくと、本当に日本が亡んでしまうのです。

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