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黒澤友貴の日報

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マーケティングの仕事をしたり、NPOの仕事をしたり、北欧に視察へ行ったり…領域を越境しながら生きている中での学び・発見を書いたことのまとめマガジン
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#ブランディング

自社資源を再解釈してアイデアやコンセプトをつくる考え方

ジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」に書かれている有名な法則です。 アイデアのつくり方を読み返す中で、 「既存の要素を組み合わせるポイント」が自分なりに整理ができてきました。 その図がこちらです。 特定のブランド事例を読み解きながら整理してみましょう。 ニューバランス・990 ナイキやアディダスなどの強い競合が存在するシューズカテゴリーにおいて、売上・市場シェアを順調に伸ばしているのがニューバランスです。 2023の売上高は、年度比で23%急増し65億米

ドーミインの何が顧客を幸福にしているのか?ウェルビーイング因子と顧客体験の関係性

日経クロストレンドの連載:新指標「顧客幸福度」ランキング2024 この中で、ドーミインがビジネスホテル業界トップのスコアになっているとありました。 ドーミインのサービスレベルが、ビジネスホテルの一般基準より高いな… とは、宿泊したことがある人であれば実感されている人が多いのではないでしょうか。 自分も出張時は、8割以上ドーミインに宿泊します。 ドーミインの体験エピソードを読むと、改めて凄さがわかります。 これらの体験のどこにウェルビーイングとの関係性があるのかを考え

新しい市場・文化をつくる4つの視点

これらは、多くのマーケティングに関わる人が向き合っている問いではないでしょうか? 自分自身も、マーケティングの仕事を通じて新しい文化をつくることをテーマとして働いています。 文化づくりとは何のことなのか?しかし、文化づくりという表現を使うと、数字でとらえることも難しく曖昧さが残ってしまいます・ 具体的にどんなプロセスで考えると良いのかを教えてくれる愛読書があり、改めて読み返しています。 「新しい市場のつくりかた」です。 新しいアイデアを社会・市場に定着させる4視点「

マーケティングのジレンマを乗り越える

最近、マーケティングのジレンマについて考えています。 マーケティングのジレンマとは何か?差別化・独自性を強化するために、 市場・競合を分析し、データと睨めっこし、組織内で合意形成など、 一生懸命に努力をする中で… あれ、いつの間にか「他と一緒」になってしまう… このような事象を「マーケティングのジレンマ」と表現しています。 良かれと思ってマーケターが取り組んだことが… 具体的には、 ・フレームワーク分析 ・データ分析 ・ユーザーインタビュー etc こ

ブランドの歴史は価値に変わるのか?

ヒストリカル・ブランディング 脱コモディティ化の地域ブランド論 を読みながら「ブランドの歴史」をどのように解釈し、戦略的に活用できるかを考えています。 ヒストリカル・ブランディングの書籍に書かれている内容を要約します。 この2つがポイントだと整理しています。 図解して、ヒストリカル・ブランディングの全体像を整理してみました。 ブランドの歴史を再解釈して、顧客にとって新しい意味を創ること =脱コモディティ化(他と同じ状態から抜け出すこと)につながる思考を整理できました。

欧州の「修理する権利」から考えるブランド体験づくりの変化

EUの「修理する権利」の法改正は、ブランド体験設計に大きく関わってくる変化だと考えています。 前提のルールが変わっている先月に欧州を回ってみて、ブランド体験をつくる前提ルールが変わってきているので、生活者の行動も変わってきていると感じました。 そのわかりやすい例が「修理体験」です。 EUの法改正にある「独立した修理業者が修理しやすい環境をつくる」が義務付けられると、 ・消費の素材選び ・保証期間やアフターサポートの仕組み などを根底から見直す必要が出てきます。 修理の

「市場を俯瞰して捉える」とは何かの整理

プロジェクトの中で「市場を俯瞰して捉えるの得意ですよね」と褒めていただける機会がありました。 (褒めてもらえたのか、抽象度が高いからもっと具体的に、と指摘いただいたのかの真意は確認していません) さて、マーケティングの仕事をする上で、市場を俯瞰してみる、つまり社会トレンドや顧客ニーズの変化などの大きな流れを掴むことの大切さはよく語られます。 しかし、 どうやって大きな流れを掴むの? どの順番で考えるとよいの? が曖昧になりやすいと感じています。 サボってはいけないと思

どうすれば戦略を自分ゴト化できる組織をつくれるのか?

よく「自分ゴト化して考えよう」と言われます。 たしかに、戦略を考えるときに、チーム全員が テーマとなる領域を自分ゴト化 できていたら強いですよね。 自分ゴト化=自分だったらどう捉えるか? の視点をもつことは、マーケティングの仕事においてかなり重要だと思っています。 でも「自分ゴト化」ってけっこう難しくないですか? 興味ないものを自分ゴト化してくれ!と言われても心構えでどうにかなるものではないなと… そんなモヤモヤに対するヒントになる本と出会いました。 リサーチのは

新しい市場や文化を創り出すブランドに共通する「遊び」について

コンテンツがあまり面白くない… 仕掛けにもっと遊びが大切なのではないか… このようなことを感じたり、フィードバックをもらうことありませんか? 遊びって何?この遊びが足りないという感覚は、大切であることはわかるけど、 何をもって遊びを入れることができているのか? が曖昧になりやすいと感じています。 今日は、市場や文化創造と遊びについて書いていきたいと思います。 遊びと人間冒頭に書いたテーマを考えている中で、遊びとは何かを根底から捉え直そうと読んだ本がこちらです。 遊

欧州で感じたブランドコミュニケーションの変化

欧州(アムステルダム、コペンハーゲン、パリ、ブリュッセル)を回りながらヨーロッパのブランドコミュニケーションについて調査をしてきました。 その中で、確実に変わってきているトレンドがあると感じることがありました。 ブランドコミュニケーションは 1. 「機能性だけではなく、地球・社会にとっての意味」を伝える 2. 「課題解決だけではなく、問題提起」を伝える が重要になってきていることです。 以前から何となく重要だなと感じていた視点なのですが、日本で考えられているレベルと全く

世界中のクラフトビールファンを熱狂する「ミッケラー」から学ぶ、小さくても強いブランドのつくり方

欧州のブランド戦略を観察していると、「小さいけど魅力的かつ成長しているブランド」が多くあります。 これらのニッチブランド戦略が上手だと感じているのが「ミッケラービール」です。 コペンハーゲンのミッケラーのバー。 平日の16時過ぎに訪れたのですが、席はほぼ満員。 コペンハーゲン市民の憩いの場となっています。 日本でも販売されており、特徴的なパッケージデザインが記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。 ミッケラービールは、2006年にデンマークのコペンハーゲンで創

地域を持続可能にするブランドコミュニケーションとは?(アムステルダム篇)

欧州(オランダ・コペンハーゲン)を訪れると、観光戦略や都市のブランドコミュニケーションが大きく変わってきていると感じています。 BBCが「アムステルダム 悪質な観光客と戦う欧州の首都」と題した記事を2023年8月に出しています。 悪質な観光客来ないで、をストレートに打ち出すアムステルダム市の観光戦略のテーマが変わってきているとのこと。 何が変わってきているのか? ・観光客と地元住民の双方に利益をもたらすこと ・クリエイティブで持続可能なアクティビティーを増やすこと

オランダ発のサーキュラーブランド「MUD JEANS」から学ぶ、顧客・産業・地球の3つの循環サイクル

オランダ・アムステルダムに来ています。 1週間ほどで、アムステルダム→コペンハーゲン→パリ→ブリュッセルを回る予定です。 今回の旅のテーマは、 未来に求められるブランド戦略って何? を考え直すことです。 ヨーロッパは、 「脱成長戦略」 「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」 など新しい考え方をもとに国の戦略が進められています。 その中でも、アムステルダムは2050年までのサーキュラーエコノミー戦略を実現する戦略を大々的に打ち出しており、欧州の中でも先行事例として注目

真鶴町から学ぶ、小さくても強いブランドをつくるヒント

神奈川県の真鶴町という町をご存じですか? 先日に建築家の方と話をしていて、神奈川県真鶴町の魅力を教えてもらいました。 条例に「美の基準」を定めて、まちづくり・景観づくりをしているとのことです。 真鶴町は、この数年は移住者が増えており、その理由も「美の基準」をもとに守り続けてきた風景と文化にあるとのこと。 たしかに、町の条例に「美」という定性的で捉えどころが難しい判断軸を持ち込んでいる取り組みが興味深く、ずっと気になっていたので、足を運んでみました。 訪れてみて、この