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黒澤友貴の日報

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マーケティングの仕事をしたり、NPOの仕事をしたり、北欧に視察へ行ったり…領域を越境しながら生きている中での学び・発見を書いたことのまとめマガジン
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#日経COMEMO

東北の伝統工芸「こけし」の価値をマーケティング視点で考えてみる

最近は、こけしの価値に注目しています。 みなさん「こけし」にどのようなイメージをお持ちですか? 自分は、 祖父母の家にあった置き物… のようなイメージでした。 そこまで良いイメージがあったわけではない「こけし」だったのですが、 こけしの名産地である福島県の土湯温泉でプロジェクトに関わっている中で 「こけしの価値はもっと高められるのでは?」 と感じるようになりました。 新・ラグジュアリー視点で捉えるこけしこれから求められるブランドとは何か?を考える上で参考にしているの

自分の常識を捨てるためにフィールドノートの技法を学ぼう

マーケティングリサーチで大切にしたい態度がまとまっている記事を、日経クロストレンドの連載で見つけました。 赤ちゃん向けの玩具を開発するピープル株式会社が運営する「ピープル赤ちゃん研究所」という、赤ちゃんの行動観察を行う専門組織の取り組みが紹介されていました。 研究所のコンセプトが素敵です。 記事の中で、このような行動観察の「心得」が紹介されていました。 調査前に決めつけていないか?私も、普段の仕事で行動観察(エスノグラフィーと呼ばれるもの)をプロジェクトで取り組むこと

ドーミインの何が顧客を幸福にしているのか?ウェルビーイング因子と顧客体験の関係性

日経クロストレンドの連載:新指標「顧客幸福度」ランキング2024 この中で、ドーミインがビジネスホテル業界トップのスコアになっているとありました。 ドーミインのサービスレベルが、ビジネスホテルの一般基準より高いな… とは、宿泊したことがある人であれば実感されている人が多いのではないでしょうか。 自分も出張時は、8割以上ドーミインに宿泊します。 ドーミインの体験エピソードを読むと、改めて凄さがわかります。 これらの体験のどこにウェルビーイングとの関係性があるのかを考え

話題の経営ゲーム「Coffee Inc 2」から学ぶ、自分の欲しい・理想を追求するからこそ生まれる優位性

濃すぎる経営ゲームと話題の「Coffee Inc 2」の裏側が面白く、学びに溢れていました。 自分も遊んでみたのですが、本当にこのゲームひとりで開発したのですが… と驚くレベルです。 逆に考えると、ひとりでこだわり抜いて開発したからこそ生まれた体験なのかもしれないとも考えています。 自分がやりたいゲームを追求したからこそよくマーケットイン発想が大切だと言われます。市場や顧客のニーズから逆算をして戦略をつくることは、もちろん大切です。 しかし、中途半端な市場調査が、一見

欧州の「修理する権利」から考えるブランド体験づくりの変化

EUの「修理する権利」の法改正は、ブランド体験設計に大きく関わってくる変化だと考えています。 前提のルールが変わっている先月に欧州を回ってみて、ブランド体験をつくる前提ルールが変わってきているので、生活者の行動も変わってきていると感じました。 そのわかりやすい例が「修理体験」です。 EUの法改正にある「独立した修理業者が修理しやすい環境をつくる」が義務付けられると、 ・消費の素材選び ・保証期間やアフターサポートの仕組み などを根底から見直す必要が出てきます。 修理の

マーケティング発想で公共トイレを捉え直す

日本が世界に誇れるものは何か? 最近に海外に行く機会が増えてきて、考えることが増えてきた問いです。 日本の公共トイレは世界一では?日本には多くの誇れるものがありますが、これは間違いないと感じているのが「公共トイレ」です。 無料で、綺麗で、しかも建築までこだわっている公共トイレがあるなんて、おそらく日本だけではないでしょうか。 パリを訪れた時は、とにかくトイレの数が少なくて、やっとたどり着いた百貨店のトイレは有料で…とどれだけ日本が恵まれているかを身体で理解してきました

欧州で感じたブランドコミュニケーションの変化

欧州(アムステルダム、コペンハーゲン、パリ、ブリュッセル)を回りながらヨーロッパのブランドコミュニケーションについて調査をしてきました。 その中で、確実に変わってきているトレンドがあると感じることがありました。 ブランドコミュニケーションは 1. 「機能性だけではなく、地球・社会にとっての意味」を伝える 2. 「課題解決だけではなく、問題提起」を伝える が重要になってきていることです。 以前から何となく重要だなと感じていた視点なのですが、日本で考えられているレベルと全く

地域を持続可能にするブランドコミュニケーションとは?(アムステルダム篇)

欧州(オランダ・コペンハーゲン)を訪れると、観光戦略や都市のブランドコミュニケーションが大きく変わってきていると感じています。 BBCが「アムステルダム 悪質な観光客と戦う欧州の首都」と題した記事を2023年8月に出しています。 悪質な観光客来ないで、をストレートに打ち出すアムステルダム市の観光戦略のテーマが変わってきているとのこと。 何が変わってきているのか? ・観光客と地元住民の双方に利益をもたらすこと ・クリエイティブで持続可能なアクティビティーを増やすこと

マーケティングに求められる、複雑さと矛盾を乗り越えて考える力

マーケティングは、売上・利益をつくり、組織の成長"のみ"を考えれば良いわけではなくなってきています。 2023年はサステナビリティ情報の開示義務化も進みました。 ブランドの活動が、 1. 地球への良い影響 2. 社会への良い影響 3. 生活への良い影響 この3つのバランスを保てることが重要になってきています。 ESGはSDGsといった言葉の理解を深めることは、 Want to(できると良い) ではなく、 Must(必須であり前提) となってきていると感じています。 で

任天堂が独自なゲームをつくることができる裏側をトレース

2023年に最も影響を受け、尊敬したブランドはどこか? 自分にとっては… 任天堂です。 自分は、社会人になってから全くと言っていいほどゲームをやらない人間になってしまっていました。 学生の頃は、ポケモンをゲームボーイでプレイし、家族で任天堂DSで脳トレをみんなで遊んでいました。 仲良くしている友人が、任天堂Switchに激ハマりしていたことをきっかけに 今年の夏にNintendo Switchを購入しました。 任天堂らしい体験Switchの体験は、ゲームに苦手意識を

岩手県紫波町「オガール地区」から学ぶ、地域ブランディング

国の補助金に頼らない公民連携の成功事例として紹介されることが多い紫波町。 仕事のプロジェクトで公民連携を調査していて知ったのですが… 裏側をトレースしていくと、地域のマーケティング・ブランディングに取り組むヒントに溢れていました。 街を活性化するために、 ・とりあえず人気のテナントを集める ・有名な建築家に依頼をする などではなく、 マーケティング思考をもって地域が持続的に成長する仕組みをつくるとは、こういうことか… と考えさせられました。 マーケティング思考をもっ

僕ビール君ビールの「どっち推し?」から考える、親しみやすさをつくるブランドコミュニケーション

人は「どっち派?」論争が大好きです。 イヌ派・ネコ派? 夏派?冬派? ごはん派?パン派? AとBどっちが好き? は誰でも答えられる問いであり、コミュニケーションの定番の型です。 僕ビール君ビールのどっち推し?コミュニケーション家の近くにローソンがあり、疲れたからビールでも買おうかな…と考えたときに「面白いどっち派?」の問いかけを見つけました。 ヤッホーブルーイングの僕ビール君ビールです。 新しいパッケージで青色の「ジョーカーくん」を登場させて、以前からある「かえるく

相手の話を聞く力とマーケティング思考

先日にオードリー・タンさんの思考・習慣からの学びに関してツイートをしました。 ツイートした5つの習慣について抜粋です。 「オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと」という本を読み感銘を受けまして、最近取り入れていることをまとめたものとなります。 最も大事だと感じた「傾聴」の習慣・8時間の睡眠 ・集中するためのポモドーロメソッド など、自分も取り入れたい! と皆さんからコメントもいただきましたが… 自分が最も大切にしたいなと感じたのは、 5. 傾聴についてでした。

生成AIがブランド体験に与える影響の考え方について

生成AIがビジネスにどのような影響を与えるかを考える上で重要な記事が日経新聞に出ていました。 まだ正式に会社立ち上げが決まっているわけではないようですが、 AIとの対話で「より自然で直感的なユーザー体験」を提供する機器の開発 を目指した動きが出ているとのこと。 今回のOpen AIとジョニー・アイブ氏の連携が進み、ChatGPTにAppleのiPhoneのようなハード、iOSのようなソフトがセットになったら… Appleが起こしてきた変化と同レベル・もしくはそれを超えるよ