気分を良くするコントロール法

◎「気分」が良いとき、悪いとき

「気分」って、つかみどころのない、ずいぶんアバウトなものですが、
じつは、これほど私たちの幸せに直結しているものはありません。
「何が幸せか」と聞かれたら、「気分がいいこと」だからです。

しかも、これは単に「気のせい」ではなく、
「科学的な理由」があるのです。

気分がいいとき、私たちの脳のなかでは、
βエンドルフィンなどの快感ホルモンが分泌され、
「幸福感」を感じたり、「きっと大丈夫」と思えたりします。

また、神経伝達物質のドーパミンもほどよく働いて、
ものがよく覚えられる、やる気・良いアイディア・勇気が湧いてくる、
考えがまとまる、身体が軽くなってテキパキ動けるーーという、
とても心地よい状態になれるのです。

さらに、ナチュラルキラー細胞も活性化するので、
病気にかかりにくく、かかってもすぐに治り、体調も快適です。
まさに、幸せな人生に役立つ効果がどっさり!

そんな自分を見ると、「私、いい感じ」と思えるので、
さらに快感ホルモンが分泌され…と、「良い循環」になっていきます。

自分で自分のエネルギーを作り出す「自家発電状態」になれるのです。


一方、気分が悪いときはどうでしょう?
気分が悪いと、悪性ホルモンが分泌され、
イヤな緊張感や焦燥感を感じます。
そのうえドーパミンの分泌が抑えられるため、ものが覚えにくい、
落ち込む、イライラする、堂々巡りで考えがまとまらない、
やる気が起きない、体調が悪いなど、
心身ともにとてもつらい状態になります。

すると、思うようにいかない自分を責めてしまい、
それでまた悪性ホルモンが出る…という悪循環を起こしてしまうのです。
「あらゆる病気の7~8割は、この悪循環から生まれる」
と言われるほどです。

これではいくら「自信を持とう」「前向きに考えよう」「頑張ろう」
としても、できるわけがありません。

でも、これはすべて「気分の悪さ」からくる悪性ホルモンのせい。
あなたが弱いからでも、ダメな性格だからでもありません。


◎「良い環境」を作り出そう

では、悪循環に陥らないためには、どうしたらいいのでしょう?

答えは簡単。気分の良い状態を毎日の生活に意識的に取り入れて、
「良い循環」を作り出せばいいのです。

否定的に考えるクセがあった人も、良い循環が定着すると、
自然と考え方が前向きになり、生きることがとても楽になります。

「でも、『意識的に取り入れる』って言われても、どうすればいいの?」
と思った方も大丈夫。
ちょっとした工夫で、「気分はコントロールすることができる」のです。

「プラス思考でいこう!」などと言われても、
漠然とし過ぎていて困ってしまいますが、
次にあげるようなことをすることによって、
気分の良い状態を作り出すことは、誰にでもできます。

🌸何でもいいので、
 とにかく楽でホッとできることをする

あなたが心地よいこと、好きなこと、楽なこと、楽しいことなら、
何でもOK。
好きな音楽、映画、マンガ、美味しい食べ物、おしゃべり、ドライブ、
カラオケ、料理、洗濯、手芸、昼寝、アロマ、ゆったりお風呂など、
いろいろあります。

インドア系、アウトドア系、一人で・グループでなど、
人によって楽しみ方は違いますが、リラックスすることが目的なので、
頑張らずに、気軽にいろいろ試してみましょう。

🌸何でもいいので、感動する

感動には、ものすごい「癒しパワー」がありますし、
私たちに元気をくれます。
ミュージカル・芝居・コンサートなど生の舞台は、
演じる人々の「気」がダイレクトに伝わってきます。
映画や読書には感動が詰まっていますし、
美術展や博物もお勧め。
時を超えて働きかけてくる何かがあります。

お花見、ハイキング、キャンプ、海水浴、野菜作り、天体観測など、
大自然に触れるのも、日常では得られない感動や解放感、安堵感、
癒しがあります。

また、ボランティア活動などを通して、
「誰かの役に立っているんだ」と思えるときも、
快感ホルモンが活性化するので、良い環境作りにはもってこいです。
まさに「人助けは自分助け」ということを実感できるでしょう。

🌸何でもいいので、身体を動かす

身体の疲れを取るには、睡眠や休養が一番ですが、
心の疲れを取るには、身体を動かすのが効果的。
スッキリして、元気が回復します。

ウォーキング、ストレッチ、水泳、テニス、ガーデニング、窓ふき、
自転車、ヨガ、フラダンスなど、いろいろあります。

腹式呼吸も、いつでも・どこでもできるので、
身に付けておくと強い味方です。

どれをやっても、体調が良くなる、家がキレイになる、
お肌がキレイになる、などの「おまけ付き」ですから、
まずは気軽にトライしてみましょう。

🌸何でもいいので、笑う

「笑い」は、心身の健康に絶大な効果をもたらします。
特に大笑いすると、横隔膜が活発に動くので、
体内に充分な酸素が取り入れられ、楽しい気分になったり、
思考力が高まったりします。

自律神経やホルモンのバランスも良くなり、
自然治癒力が高まるので、「笑い」は、
大病院でガンの治療にも使われているほどです。

お笑いの番組を見る、落語のCDを聞く、寄席に行くなどもいいですし、
笑えるマンガも使えます。

さらには、誰かにくすぐってもらうのも、最高に効きます。
「ちょっと、くすぐってくれる?」
このひと言でまず笑って、実際にくすぐってもらったらまた笑って…。
子ども時代に戻ったかのように、無邪気に笑えますよ。

どうしても笑えないときは、「笑顔を作る」だけでも効果はあります。
笑顔の筋肉の動きが、快感ホルモンを分泌するように、
脳内に働きかけてくれるからです。
「作り笑顔なんて…」と言わず、試してみてください。


◎過去の体験がヒントになる

私たちは、気分が「ダウンする原因」は結構わかっているものですが、
「アップするきっかけ」はわかっていないことが多いですね。

でも、これまでも、悪い気分をそのまま引きずって、
落ち込み続けていたいわけではなく、何かのきっかけで、
気分を上向きにしてきているのです。

「いつの間にか元に戻った」と思っているかもしれませんが、
じつは、何らかの「きっかけ」があったはずなのです。
まずは自分をよく観察して、「これで気分が上向いた」という
きっかけを探り、有効利用しましょう。

あのCDを聴く、あの人に電話をする、あの歌を歌う、思いを書きまくる、
ちょっと走る、買い物をする、犬の散歩に行く、運転する、深呼吸する、
チョコケーキを食べる、シャワーを浴びるなど、人それぞれのはず。
「自分流」を見つけましょう。

それをやることによって、ともかく下降線だった気持ちがそこで止まり、
たとえ少しであっても、上昇し始めるのです。

「そんなの、単なる«その場しのぎ»じゃないの?」とお思いですか?
でも、傷を負ったとき、適切な応急処置をすることが
その後の回復を早めるように、
つらくなり過ぎて動きが取れなくならないように、
心の傷を無意味に長引かせないために、大切な対処法なのです。

重要なのは、すぐにできそうなものを5~6個わかっていること。
一つだけだと、それを使えない場合、
余計にストレスが溜まることがあるからです。

いくつか見つけておいて、「落ち込みがきたな」と思ったら、
使えるものから試してみてください。
そうすれば、今までよりも早く、つらい気持ちから抜け出せること、
間違いなし!
こうして早めに対処すれば、悪循環にはまることもありません。

さて、気分のコントロール、イメージできましたか?
何となく「これならできそう」と思っていただけたと思います。
それに、「気分を自分でコントロールできる」とわかっただけで、
ちょっとは気が楽になったのではないでしょうか?

まず、あなたの取りかかりやすいことをいつか選んで、
「良い環境作り」を楽しんで始めてみましょう。


~30代女性のための心と体の健康アドバイザー~

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