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ぶった斬り街路樹から見る、街のグリーン #0081

先日、街でこんな街路樹の剪定現場を見ました。
なんとまあ強引な剪定です、、。

よく見かける街路樹の「強剪定」

こういうの、見たことありません?
おそらくたくさんの地域でこんな風景を見たことがあると思います。実に醜悪なシロモノで、景観を作るための街路樹が、景観を悪くしている、ということになってしまっているわけです。

電線にかかってしまうから、、というのが言い分なのでしょうが、なぜこんな切り方をしてしまうのか。剪定の基本からこの辺を見てみましょう!


*剪定の基本

さて、剪定教室のようになって参りましたw
剪定の基本をざっと説明するとこんな感じです。興味ない人はココは飛ばしてもらって大丈夫です!!

①時期を見定める
 剪定時期は樹種によって決まった時期があります。ざっくり言うと、常緑樹と落葉樹の違いです。街路樹は落葉樹が多いので、ベストシーズンは落葉後の秋か、芽が出る前の春先ですね。

②大きくしない
 日本の場合、できるだけ大きくしない剪定を心がける必要があります。主に電線があることが理由です。大きくしないためには、簡単に言うと「先を切る」ですな。しかし本当は、外国のように巨大な街路樹を作るのには憧れがありますよねー。

③人の目に「自然」にする
 これが割と大事なのですが、人が見て「自然」と感じる剪定をすると、景観が整います。簡単に言うと、不要な枝を払って、緑の濃さを揃える、と言う感じですな。不思議なもので、山の木のような「自然」の木は、人間の目(特に街中)では自然に見えないのです。

*ぶった斬ると、木はどうなるのか?

今回の街路樹のように木を太い部分でぶった斬ると、木は傷口を回復しようとして切り口が大きく太く、コブのようになります。毎年同じ部分で切るので、同じ部分のコブがどんどんと大きくなって、バケモノのような姿になっていくわけです。

これが夏になると、コブに葉が密集してこんもりした姿になります。こうなると病気や虫の発生を招くので、どんどん状況が悪くなっていきます。
毛虫が大量発生したり、枯れて枝が落ちたり、、と外的な影響が出てくるわけです。

コブだらけのボコボコの木

*なぜこんな切り方をするの??

では、なぜこんな切り方をしてしまうのでしょうか。

それは一言で言うと「予算がないから」です。
なぜ予算がないことでこうなってしまうかと言うと、上記のような剪定にはとにかく「手間」がかかるわけです。「手間」がかかると当然、人件費がかかると言う具合。
なので行政としては、造園業者が安く動ける時期に、短時間で終わらせる、という方法をとるわけです。町の景観の維持管理、なんてことは考えていない。公園から街にかけての「緑の連続性」とか、人が集まるグリーンシティみたいな考え方ができないわけです。あくまでも、「電線にかかったら危ないから毎年同じように切ってしまえ」と言うしょうもないルーティン仕事なわけです。

そんな発注を受けてしまう造園業者も造園業者だけどね。

*キレイな街路樹とは!?

一方で、街路樹をキレイに保っている街もあるわけで、例えば代表的な街だと仙台。都市計画そのものはともかく、イチョウ、ケヤキ、メタセコイア、、と色々な樹種を用いて、さらに大きく育てているわけです。
ここまで大きい状態で保っていると、ヒートアイランドへの対応や公園との連続性、例えばベンチを置くことで人が集まる場所にできる、など人間の活動に寄与するわけです。また、自然との距離を近づけることもできるわけです。

この辺りは、そもそも当初の都市計画自体のあり方を見直した方が良い、と言う部分がまずあります。だが、そんなこと考えてないよ、と言うのであれば、毎年維持管理費をかけるのをいっそやめて(つまり毎年同じように切ってしまう木は無くしてしまう)別の区域に限定的な緑化地域を作った方がよっぽど安上がり、かつ歩行者が集まりやすいと思うのです。
電線無くしただけで、より殺風景になっちまった都市道路なんていくらでもあるわけだからね。そういうところを事前に再整備計画立てておけば良いのにね、と思うわけです。

*緑を考えるなら街路樹でなくても良い

ここまでは街路樹の話をしてきたのですが、なんなら街路樹じゃなくてもいいわけです。

以前コペンハーゲンの記事でも書きましたが、こんな感じで店先10cm四方で庭を作る方法があります。または住民発で、通りに植栽を設ける取り組みも多く行われています。
コペンハーゲンに住む友人に聞いた話だと、持ち回りでこのような植栽は管理していると言うことでした。このほうが、自分たちが好きな植栽を植えられて良いですし、造園業者側は、緑のコンサル的な活動もできそうです。

また先月、山形市に行った際、七日町付近でもこんな植栽を見かけました。

各店先に、統一された木の鉢カバーがある

この辺りは歩行者が多いので、街路樹はなくても、ちょっとした緑があると歩行環境がグッと良くなると思います。
根が張ってインターロッキングを持ち上げてしまう、なんて事例もよく見かけるので、いっそこの方法の方が良いのではないかと思いますね。
さらに、雪が多い地域では出し入れがしやすいと撤去がラク。またレイアウトの自由も効くので、住人が自分で好きな方法を試せると言うメリットもあります。

この方法はこれからもっと使っても良いなーと思いました。

と言うわけで、気の毒な街路樹から色々見てみました。
皆さんの街でもできるグリーンの整備があると思うので、行政に頼らず、住民側からグリーンを入れてみてはいかがでしょうか!?

ではでは!

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